「失笑」という言葉をご存知でしょうか。「笑いを失う」と書くため、「笑いも出ないほど呆れる」という意味だと思っている方も多いのではないでしょうか。実はこの意味だと間違いになります。誤用の多い代表として、しばし挙げられることも多い「失笑」ですが正しい意味は何なのでしょうか。そこで今回は「失笑」の正しい意味や使い方について解説してきます。その他「爆笑」や「冷笑」についても紹介します。正しく使うためにも、今一度意味についてしっかり確認しておきましょう。
「失笑」は「笑いを失う」と書くため、「笑いも出ないほど呆れる」「笑いを通り越して呆れてしまう」「あざわらう」ことを表していると思っている人が多いですが、間違いです。 例えば、「彼女の場違いな発言に失笑した」と言うと「彼女の場違いな発言に笑いも出ないほど呆れる、馬鹿だと思う」と解釈してしまいがちですよね。 このように、「失笑」は言動や行動がおかしい様子を馬鹿にしたように『フッ』と笑う、冷淡な笑みを浮かべるといったイメージが強いですが、誤用になります。 最近ではtwitterでも、「()」という表現が使われています。これは「(笑)」から中の笑が失われていることから、「失笑」を表しているそうです。「笑えない」という意味で使っているならまだしも、「呆れて笑えない」という意味で使っていると間違いなので注意しましょう。 「あざ笑うこと・さげすみ笑うこと」を表したい場合は「冷笑」「嘲笑」を用います。 「冷笑」「嘲笑」については下記で紹介します。 では、本来の「失笑」の意味はどうなるのでしょうか?
「失笑」の意味は「(笑ってはならないような場面で)おかしさに堪えきれず、吹き出して笑うこと」です。 「笑ってはいけないんだけど、こらえられない...」というニュアンスです。 「失」は「うっかり出してしまう」を意味します。この意味では、『失言』『失火』といった言葉があります。 ですので、「失笑」も”押さえるべき”笑いを、つい外へ出してしまうという意味で、「不意を突かれたとき、我慢しきれなかったときについ笑ってしまう様子」を表します。 「失笑」には相手を見下すといった、ネガティブな感情は含まれません。 「吹いた」「吹き出す」という代わりに、「失笑」と表現することができます。 あざけ笑うのではなく、本当におかしくて自然と笑いが起きてしまうことを表すときに使うのが適切です。 文化庁の調査では、本来の意味とされる「こらえ切れず吹き出して笑う」で使う人が27%、本来の意味ではない「笑いも出ないくらいあきれる」で使う人が60%という結果が出ています。 「失笑」の誤用には十分注意しましょう。
そもそも「笑いを失う」と書くのに、なぜ「思わず笑ってしまう」という意味なのでしょうか? 「失」の意味は、
となります。 「失」という漢字には、「なくす」だけでなく「あやまち」「しくじり」という意味も含まれます。 ですので、「失笑」は「あやまって笑ってしまう」と捉えることができます。 以上のことから、「失笑」は「笑ってはいけない場面で思わず笑ってしまう」という意味で納得できますよね。
「失笑」は、本当におかしくて自然と笑いが起きてしまうことを表すときに使います。 例えば、「彼の踊りが下手で思わず失笑した」「彼女の大袈裟な転び方に失笑する」などと言います。 「失笑」を使った言い回しを紹介します。 失笑を買う:愚かな言動のために笑われる 失笑を禁じ得ない:吹き出して笑うことを抑えることができない 失笑もの:思わず笑ってしまうような物事のこと 失笑が漏れる:思わず笑ってしまうこと 失笑が広がる:笑いが大きく展開すること
例文
「爆笑」も「失笑」と同様に、誤用されていることが多いです。 「爆笑」の意味は「大勢が大声でどっと笑うこと」です。 「爆」は「はじけるように激しいさま」を意味します。 例えば、一人でお笑い番組を見て、一人で大笑いすることを「一人で爆笑しちゃったよ〜」と表すのは間違いになります。ほとんどの人がこちらの意味で使用しているのではないでしょうか? 本来の「爆笑」は「大勢の人が一斉に笑うこと」を表すので、例えば、劇場などで、演者が面白いことを言って場内の皆が笑うような状況を指します。よく「爆笑の渦に包まれる」などと言いますよね。 一人でテレビやネットを見ていて、ものすごく笑っていたとしても、一人しかいない場合は「爆笑」と表すことはできません。 「一人や数人でどっと笑うこと」を表したい場合は、「大笑い」を使うのが良いでしょう。 ただ、現在、一部の辞書で、「一人や数人で大笑いする」という意味で紹介されることが多くなりました。本来は「大勢が笑うこと」ですが、こちらの意味での使われ方も一般的に許容されつつあります。
例文
「苦笑」の意味は「にがわらい」です。 「苦」は「にがにがしいこと」「非常に不愉快であること」を意味します。 「苦笑」は「心の中で自分や他人に対して、不快感や戸惑いを持ちながら、仕方なく笑うこと」を表します。 ”心の中では苦々しく思っているのを隠す”というニュアンスです。 「苦い笑い」 ==> 「苦笑い」 ==> 「苦笑」となりました。 本当は笑いたくないけれど、動揺を紛らわすため、その場しのぎのために笑うときに使います。 よくメールなどで「あいにく先約があり、参加できません(苦笑)」などといったように、(苦笑)が使われていることがありますよね。送る人の気持ちとしては、「申し訳なく思う気持ちを”苦笑”で表した」などかもしれませんが送られた人にとってはあまり気分が良くないので注意しましょう。
例文
「冷笑」の意味は「あざわらうこと」「さげすみわらうこと」を意味します。 ”相手をさげすみ、冷ややかに笑う”ことを表します。 「他人を自分より能力・人格の劣るもの、または価値の低いものとみなす」という意味合いです。 「冷笑」には、相手を見下すようなニュアンスが含まれます。 「冷笑」の意味に含まれる「蔑」という言葉には、「馬鹿にする」「無視する」「軽んじる」といったように相手を見下す感情が強く含まれます。 ですので、「冷笑」は「非常に相手を蔑んでいる」「人を馬鹿にしている」というイメージになります。 良い言葉とは言い難いので、他人に対して”冷笑”するようなことはしないようにしましょう。 また、「冷笑的」という形で使うこともあります。これは「あざけるさま・さげすんだような態度を伴うさま」を意味します。「冷笑的な待遇」「冷笑的な扱い」などと言います。
例文
「嘲笑」は<ちょうしょう>と読みます。 「嘲笑」の意味は「あざけってわらいものにすること」です。 「嘲」は「人を馬鹿にする」「悪く言う」「からかう」を意味します。 「嘲笑」も「冷笑」と同様に、相手を見下すようなニュアンスが含まれますが、「嘲笑」は「冷笑」に比べると相手を見下す度合いは弱いです。 例えば、「人の失敗を嘲笑する」といったように使います。これは「他人の失敗を馬鹿にして笑う」というニュアンスになります。 自分が他人に”馬鹿にしたように笑われた”ということを表現したい場合は、「嘲笑される」とします。 また、「嘲笑う」という形でも使うことができます。この場合は「あざわらう」と読みます。「嘲笑う」の意味は「人をばかにして笑う・せせら笑う」です。
例文
吹き出す (意味:こらえきれずに笑いだす) 「おかしくてつい吹き出してしまう」 どっと笑う (意味:大声を出して笑う) 「思わずどっと笑ってしまう」 どかっと笑う (意味:つい笑い出してしまう) 「おかしな行動にどかっと笑う」 噴き出す (意味:我慢できなくなって笑い出す) 「堪えられずに噴き出す」 抱腹絶倒する (意味:腹をかかえてひっくり返るほど大笑いすること) 「彼の唐突な発言に抱腹絶倒する」
「失笑」の英語は、
などで、「思わず笑ってしまう」というニュアンスです。
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「失笑」について理解できたでしょうか? ✔︎「失笑」の正しい意味は、「おかしさに堪えきれず、吹き出して笑うこと」 ✔︎ 誤用して使われている「失笑」の意味を持つのは「嘲笑」と「冷笑」 ✔︎「失笑」を「笑いも出ないほど呆れる」という意味で使うのは間違い ✔︎『笑い』を表す言葉には、「爆笑」「嘲笑」「苦笑」などがある