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「なかんずく」「よしんば」の意味と使い方、語源、類語、英語表現

「なかんずく」と「よしんば」という言葉をご存知でしょうか。「なかんずく好きだ」「よしんば何か起きても」などと使います。日常会話ではあまり使わない言葉のため、聞いたことないという人も多いかもしれません。確かに「なかんずく」「よしんば」と聞くと、古めかしい感じがしますよね。なんとなく難しいイメージがしますが、意味をしっかりと知っておけばすぐにでも使えるようになります。そこで今回は「なかんずく」と「よしんば」の意味について解説していきます。それぞれをきちんと覚えて、正しく使えるようにしましょう!

「なかんずく」と「よしんば」は全く別の意味

「なかんずく」・・・数ある事柄の中で、特に一つを取り上げるさま 「よしんば」・・・もしもの事態を仮定するさま

「なかんずく」の意味・使い方・類語・語源

意味

「なかんずく」の意味は「たくさんの事柄の中から、特に一つを取り上げるさま」です。 「なかんずく」=「取り分けて。主に。その中でも」ということになります。 「なかんずく」は漢字だと「就中」と書きますが、ひらがな表記が一般的です。

使い方と例文

数多くある物事の中から、一つの事を取り上げるという場合に「なかんずく」を使います。 例えば、「映画はジャンルを問わず何でも見るが、なかんずく見ていてドキドキするスリラー映画が好きだ」と言えます。 これは、「映画はコメディーやアクションなど数多くあるが、中でもスリラー映画が一番好き」ということを表します。 このように、「なかんずく」は他の物事よりも優れている・好む・素晴らしいなどと、プラスなことを評価する場合に使うのが適します。 「映画のジャンルが様々だが、なかんずくロマンス映画が一番嫌いだ」といったように、悪いことをあれこれと指し示すという意味では使いません。 「なかんずく」は少々堅い表現なので、日常会話というよりも、手紙などの書き言葉として用いることが多いです。

例文

  • このドラマは全シリーズ面白いが、なかんずくシリーズ4が好きだ。
  • 昔のことはほぼ頭に入っているが、なかんずくあの事件については鮮明に覚えている。
  • 実験の授業はとてもワクワクするが、なかんずくカエルの解剖が楽しかった。
  • 美味しいものだったら何でも好きだが、なかんずくケーキやアイスなど甘いのものを好む。
  • 音楽はジャンルを問わず何でも聞くが、なかんずくテンションが上がるパンクミュージックが好きだ。
  • 彼は理科を得意としていて、なかんずく動物の生態についてとても詳しく知っている。
  • A監督が作る物語は全て面白いが、なかんずくバッドエンドで終わる傾向がある。
  • 料理をする際はいろいろな調味料を使うが、なかんずく塩をよく使う。
  • 全学年に言えるが、勉強であったらなかんずく英語が大事である。

類語

中でも (意味:多くの中でも特に) 「何でも好きだが中でも釣りが好きだ」 殊に(ことに) (意味:他のものと比べて目立っているさま) 「今日の雨は殊に強い」 特に (意味:多くの物事の中で際立っているさま) 「一つ足らなくても特に問題ない」 取り分け (意味:同じような物事の中でも、際立っているさま) 「取り分け野菜が好きだ」 格段に (意味:程度がはるかに超えているさま) 「前よりも格段に良くなっている」 ひときわ (意味:他と比べて一段と) 「彼女はひときわ目立っている」 殊更(ことさら) (意味:特に抜き出ているさま) 「いつもより殊更元気そうで安心した」 一入(ひとしお) (意味:一段と際立っているさま) 「こんな結果になるとは感慨も一入だ」 取り立てて (意味:多くのものの中で特に取り上げる) 「取り立てて彼のオーラはすごい」 数ある中で (意味:たくさんある中でも) 「数ある中で君の考えた案が一番良い」

語源

上記でも説明したように、「なかんずく」は漢字だと「就中」と書きます。 「就中」を漢文訓読すると「中に就く(なかにつく)」で、だんだんと「なかんづく」となりました。 さらに「なかんづく」の「づ」が「ず」と混同されたことから、「なかんずく」も徐々に用いられるようになったのです。 古くは「なかについて」という形でも使われていましたが、「なかについて」が先に使われていたか「なかにつく」の方が早く使われていたかについてははっきりとしていません。 「なかにつく」から「特に。取り分けて」という意味が生まれたのではなく、漢語の「就中」自体が「特に。主に」を表します。 このように「なかんずく」は漢語「就中」を読み下したものが、そのまま使われるようになった語となります。

「よしんば」の意味・使い方・類語・語源

意味

「よしんば」の意味は「究極の事態を仮定するさま」です。 「よしんば」=「たとえそうでも。仮にそうでも」ということになります。 「よしんば」は漢字だと「縦しんば」と書きますが、ひらがな表記が一般的です。

使い方と例文

主に、「よしんば◯◯としても...」「よしんば◯◯であっても...」「よしんば、そうなっても...」という形で用います。 このように、「よしんば」の後は本当の話ではなく、仮の話を続けます。 例えば、「よしんば明日台風が来たとしても、予定は変わることはない」と言えます。 「よしんば明日台風が来たとしても、予定は変わる」とは言えません。 このように「よしんば」を使う場合は、「よしんば◯◯であれば△△する」と肯定の言葉ではなく「よしんば◯◯であれば△△しない」と否定の言葉を伴うことが多いです。

例文

  • よしんば一人揃わなかったとしても、何も困ることはない。
  • よしんば雨が降ってきたとしても、屋内開催なので問題ない。
  • よしんば泥棒に入られたとしても、防犯ブザーが鳴るようになっているから安心して寝られる。
  • よしんばスピードをもっとも早く出したとしても、時間には間に合わないだろう。
  • よしんばお金が多くあったところで、その問題が解決するわけではないよ。
  • よしんば都合が悪いとしても、別の日にすれば良いから不安に思うことはないよ。
  • よしんば彼に裏切られたとしても、君の味方はたくさんいるんだから気にする必要はない。
  • よしんばその時は逃げられたとしても、ゆくゆくは捕まってしまうに違いない。
  • よしんば彼がやって来たとしても、私達の所には来ないだろうから特に支障ない。

類語

万が一 (意味:物事の実現の可能性が低いことを想定するさま) 「万が一参加できなかったら、私の代わりに頑張って」 たとえ (意味:ある物事が生じた場合でも、事は問題なく進むさま) 「たとえそこまで行ったとしても、彼女には会えないよ」 仮に (意味:もしものことがあった場合) 「仮に行けなくなったら連絡するよ」 もしも (意味:はっきりとは分かっていないことを想定するさま) 「もしも大事な物が消えてしまったら、落ち込んでしまう」 仮定 (意味:念のために想定すること) 「物事を仮定してみる」 想定 (意味:ある物事を仮に考えてみること) 「本番を想定してリハーサルを行う」 最悪の場合でも (意味:物事が上手くいかなかったケースを考えるさま) 「最悪の場合でも逃げることはできる」 ものともせず (意味:問題にしないで進めるさま) 「怪我をものともせず参加する」 そうであっても (意味:ある物事が起こると想定するさま) 「そうであっても無事に済むだろう」

語源

上記でも説明したように、「よしんば」は漢字だと「縦しんば」と書きます。 「縦し」は「納得はいかないが、仕方ない。想定する」を意味します。このように、「縦」は「たて」という意味以外にも、仮定を表す場合にも用います。 仮定を表す「縦し」+条件を表す「んば」とすることによって、今現在使われている「かりに。たとえ」という意味になります。 方言だと思っている方が多いですが、「よしんば」は「大和言葉」に当てはまります。「大和言葉」は日本独自の言葉遣いで、ある決まった地域のみではなく、幅広く使われています。

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