「あながち」という言葉をご存知でしょうか。「あながち間違っていない」「あながち嘘ではない」などと聞き覚えありますよね。「あながち」は古めかしいか印象を受ける言葉ですが、今でも使われることが多いです。よく使う言葉ですが、具体的に「あながち」はどのような意味なのか、どの場面で使うか、疑問を多く持っているかもしれません。また、「あながち」には「必ずしも」や「まんざら」などと似ている言葉があります。それらをしっかりと使い分ける必要があります。そこで今回は「あながち」の意味や使い方、類語との違い、語源について解説していきます。「あながち」を正しく知って、上手く使えるようにしましょう!
「あながち」は副詞です。 「あながち」の意味は「一方的に物事を決定できないさま。必ずしも。一概に。まんざら」です。 物事を全面的に、それが本当であるかどうかははっきりと判断できない気持ちを表します。 他にも色々と形容動詞としての用法もありますが、現代においては上記の意味で使う場合がほとんどです。 古語としての使い方は後半で解説します。
「あながち」は漢字だと「強ち」と書きます。 一般的には、「あながち」とひらがなで表記することが多いです。 「強」は音読みで「キョウ・ゴウ」、訓読みで「つよい・したたか・あながち」と読みます。 「強」は「力や勢いがある。固く丈夫だ。つよい」を意味します。
「あながち」は、断定することはできない気持ちを表します。 主に「あながち」は「あながち◯◯ではない」といったように、下に打ち消しの語を伴って使います。 例えば、「彼の年齢であの子にアタックするのは無茶な気がするが、あながち無理なことではない」と言います。 これは「年齢を考えたら、彼があの子に告白するのは無茶とは思うけど、必ずしも無理とは言い切れない」という意味です。 「あながち」を使うことによって、「100%本当だとは決め付けられない」「まだ可能性はある」ということを表せます。 断定するのではなく、婉曲的に否定あるいは肯定するのが「あながち」の特徴です。 相手を強く否定したり肯定したりすることなく、自分の思いを伝えたいという場合に適している表現となります。 言い回しとしては、
などとなります。 「あながち」は目上の人から目下の人に使う表現です。 目上の人に向かって「あながち間違いではない」などと言ってしまうと、上から目線な印象を与えてしまいます。
例文
「必ずしも」の意味は「(下の打ち消しの語を伴って)かならず〜であるとは限らない」です。 「あながち」は「一方的に物事を決定できないさま」 「必ずしも」は「一部分はそうであっても、全部がそうではないさま」 例えば、「外国車が必ずしも良いというわけではない」だったら「外国車には良いこともあるが、”必ず”とは言い切れない」という意味になります。このように、「必ずしも」は「部分否定」の意を表します。 「あながち」も「必ずしも」も、婉曲的に否定または肯定することを表します。 ただ、「必ずしも」にはこの用法以外にも、強く否定する場合にも用います。 「金持ちだからと言って、必ずしも幸せではない」などと使います。 「あながち」は婉曲的にしか使えないので、「金持ちだからと言って、あながち幸せでない」とは言い換えられません。 このように、「あながち」は「そうとは言えない」という意味合いなので、「〜ない」と断言することはできないのです。
例文
「まんざら」の意味は、
です。 「まんざら」は漢字だと「満更」と書きます。 「あながち」は「一方的に物事を決定できないさま」 「まんざら」は「否定の意味をやわらげたり、むしろ逆であるの意味を表す」 「あながち」と「まんざら」では意味が異なります。 例えば、「あながち無理というわけではない」「まんざら無理というわけではない」と言うことができます。 これは「無理とは言い切れない」「無理ではない。むしろできる」という意味です。 「まんざら〜ない」と否定はしているものの、「全く無理とは言えない」=「無理ではない」と否定的な意味を和らげたり、逆に「かなり良い」などと肯定的に思うということを表します。 「まんざら」は、本当は良いと思ってるのにあえてぼかして表しているのです。
例文
「いささか」の意味は「ほんの少し。ちょっと。わずかに」です。 気持ちや物の数量、程度を主観的に表しています。 「あながち」は「一方的に物事を決定できないさま」 「いささか」は「数量や程度が少ないさま。少しも。全然」 このように、「あながち」と「いささか」は全く意味が異なります。 「いささか◯◯ない」という形で使うことがあるため、「あながち」と混同されがちになったと考えられます。 「いささか」の後に否定形を伴った場合は、「少しも〜ない」「全くない」という意味になります。 「ちょっと」「少しだけ」だと軽い印象を与えてしまいがちです。代わりに「いささか」という言葉を使うことによって自分の感情や状態を控えめに伝達することができます。 「いささか」を自己のことに対して使う場合は、建前としては「少しばかり」でも心の中では「かなり」の意味合いで用いる謙遜のニュアンスを含む場合もあります。
例文
「一概に」の意味は「(多く下に打ち消しの語を伴って)ひっくるめて。おしなべて」です。 すべて同じようには扱えないさま・細かい違いを考慮しないでひとまとめにして扱うさまを表します。 「一概に◯◯ではない」という形で使います。主に「一概には言えない」という表現を使うことが多いです。 「それらが全て◯◯とは言えないけれど」という意味合いになります。 「一口には言えない」「一括りにはできない」などと言い換えることができます。 「一概に〜」はクッション言葉として使うこともできます。自分の意見を伝える時に「一概には言えないけれど〜」と言えば、強く言っているわけではなく柔らかな印象を与えられます。
例文
「あながち」は平安時代「あながちなり」という形で使われていました。 「あながちなり」は「強引。無理矢理。一方的」という意味で、ゆとりを持っていない様子を表していました。 「あながち」は「あな(己)」+「かち(勝ち)」で成り立っていると言われています。 「己が勝つ」=「自分自身が最優先」=「自分勝手に物事を進める」ということで、「あながち」という言葉ができました。 現在「必ずしも。一概に」という意味で使われている「あながち◯◯ではない」という表現は、中世以降に生まれました。 このように、「あながち」は方言ではなく、昔から使われていた言葉です。
古語としての「あながち」は、
という意味です。 「あながち」は、「自身の意思を強く押し通す」という意味で使われていました。 そこから転じて「ひたむき。一途」という意味を表すようになりました。 「はなはだしい。強いて」という意味で使う場合は「あながちに」という形で使います。
「あながち」は英語で、
になります。
You are not exactly wrong.
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「あながち」について理解できたでしょうか? ✔︎「あながち」は「一方的に物事を決定できないさま。必ずしも。一概に」という意味 ✔︎「あながち◯◯ではない」といったように、下に打ち消しの語を伴って使う ✔︎「あながち」は、強く否定する場合には使うことができない ✔︎「あながち」の類語には「一概に」がある