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「淘汰」の意味と使い方、類語、「排除」との違い

「淘汰」という言葉をご存知でしょうか。学生時代、生物の授業で聞いたことがあるという方も多いと思います。実は、「淘汰」はビジネスシーンでも使われることがある表現です。ものだけでなく、人や企業に対しても使います。「淘汰」と聞くと、何となく難しそうな感じがしますが、正しい意味を知って使いこなせるようにしましょう。そこで今回は「淘汰」の意味や使い方、類語、「排除」との違い、「淘汰」を含む四字熟語について解説していきます。

「淘汰」の読み方と意味

「淘汰」は<とうた>と読みます。 「陶器」の「陶」という字と非常に似ていますが、こちらは”さんずい”になるので間違えないように注意しましょう。 「淘」は音読みだと「トウ」、訓読みだと「よなげる」と読みます。 「淘」は「水洗いをして不純物を取り除く」「より分ける」を意味します。 「汰」は音読みで「タ」と読みます。 「汰」は「不要のものを流し去る」「良いものと悪いものをより分ける」を意味します。 「淘汰」の意味は、

  • 不用の物を除き去ること。不適当の者を排除すること
  • 環境、条件などに適応する物が残存し、そうでないものが死滅する現象。選択
  • 流水や風による運搬の過程で、堆積物 (たいせきぶつ) が粒径・形状・比重などに応じて選別される現象

となります。 2つ目の意味では生物学用語として、3つ目の意味では地学分野の言葉として使われます。主に、1つ目2つ目の意味で用います。

「淘汰」の語源

「淘汰」の「淘」は水洗いして選び分けること、「汰」は勢いよく水を流してすすぐことを意味します。 そこから、「水洗いして選び分ける」という意味になりました。 それが、転じて「淘汰」は「不用なものを取り除き、良いものを残す」という意味で使われるようになりました。 また、米を川で洗ったり、研いだり、あるいは砂や異物の混じった野菜などをザルにでも入れて揺すりながら選り分ける作業の状態から、悪いものを選り分けるという意味になったと言われています。

「淘汰」の使い方と例文

「淘汰」は生物について使う場合は、「環境、条件などに適応する物が残存し、そうでないものが死滅する現象」という意味になります。 生物以外について使う場合は、「不用の物を除き去ること」という意味になります。 「不用の物を除き去ること」という意味では、「不良企業が淘汰される」などと使います。 ビジネスシーンでは、物については言うのはもちろんですが、人や企業についても使われる表現です。 例えば、「淘汰」の場面としては、

  • ある業界でA社B社は繁栄しているが、C社は業績が悪くなって倒産する
  • 新しい商品が生み出されて、古い商品は廃れて廃盤となる
  • 能力の低い人が消えて、能力の高い人が生き残る

などとなります。 このようなことが起こって、結果的に良いもの・勢いの良いものが残ったという場合に「淘汰」を使います。 意味的にも、「淘汰する」というよりも「淘汰される」と受け身の形で使うことが多いです。

例文 「不用の物を除き去ること」という意味

  • 新製品が出ると、古い製品は淘汰されていく。
  • 当地に合わないいくらかの品種は淘汰した。
  • 悪影響を及ぼす人物は淘汰されるべきである。
  • 不景気で何百という企業が業界から淘汰された。
  • 様々なお笑い芸人が出てくるが、実力のないものは淘汰されテレビから消える。
  • 美味しくて安いレストランが人気となったため、周りにある不味いお店は淘汰されてしまう。
  • マニュアル車の淘汰が進んでいて、最近では滅多に見かけない。

「環境、条件などに適応する物が残存し、そうでないものが死滅する現象」という意味

  • この生物は過酷な淘汰の結果、生き延びることができた種である。
  • これらは砂漠の土地で淘汰された存在である。

「淘汰」と「排除」の違い

「淘汰」は、不用なものを”排除”することです。 このことから、「淘汰」と「排除」は類義語であると言えます。では、2つの言葉に違いはあるのでしょうか? 「排除」は<はいじょ>と読みます。 「排除」の意味は「おしのけ取り除くこと」「排斥」です。 ものや人に対して、いらないものを取り除く、いらない人を追い出すことを表します。 「淘汰」と「排除」はどちらも、いらないものを取り除くことを表していますが、ニュアンスが少々異なります。 「淘汰」は「いらないものを取り除いて、良いものを残すこと」、 「排除」はあくまでも「いらないものを取り除くこと」を意味します。 「淘汰」はただいらないものを取り除くだけでなく、それによって適したものや必要なものを選んで残すことを表す表現です。

「淘汰」の類語

取捨選択 (意味:悪いもの・不必要なものを捨てて、良いもの・必要なものを選び取ること) 「取捨選択して、アドレス帳を整理する」 選別 (意味:選び分けること。より分けること) 「ゴミを選別する」 振るい分け (意味:良いものを残し、悪いものを捨て去ること) 「米糠や穀粒を振るい分ける農具を発明する」 除却 (意味:取り除くこと) 「同盟より除却せられんとする」 排出 (意味:内部にある不要の物を外へ押し出すこと) 「ガスを排出する」 除去 (意味:邪魔なものを除き去ること) 「道から雪を除去する」 えり分け (意味:よりわけること) 「野菜のえり分け作業を行う」

「淘汰」の対義語

受容 (意味:受け入れて、とりこむこと) 「他国の文化を受容する」 導入 (意味:外部から導き入れること) 「新規サービスの導入を検討する」 包摂 (意味:一定の範囲の中につつみ込むこと) 「知識はその中に包摂されている」 共存 (意味:二つ以上のものが同時に生存・存在すること) 「自然と共存する」 許可 (意味:願いを聞き届け、ある行為・行動を許すこと) 「施設の使用を許可する」 許諾 (意味:相手の希望や願いを聞き入れて許すこと) 「提案を許諾する」 許容 (意味:そこまではよいとして認めること) 「何とも許容しがたいミスである」

「淘汰」を含む四字熟語

自然淘汰

「自然淘汰」の意味は「生物は周囲の状態に適したものだけが生存し、そうでないものは滅びること」です。 「自然淘汰」は「淘汰」とほとんど同じ意味になります。 ダーウィンが提唱した『自然淘汰説』では、生物進化において、ある種の個体群を構成する個体間で、ある形質を持つ個体がそれを持たない個体よりも多くの子孫を残すことができ、しかもその性質が遺伝するなら、その性質が後の世代により広く伝わるようになること。このような過程が集積することによって、適応的進化が生じたとしています。 生物は生息する周囲の環境に適応し子孫を残せる生物がいる一方で、環境に適応できず消えていく生物もいます。自然界では、適応能力・繁殖力の高低によって生き残ったり繁栄・衰退していく現象が起きます。 そういったことから、「自然淘汰」は環境に適応できないものは(自然と)消えてなくなっていく」ということを表します。

人為淘汰

「人為淘汰」は「自然淘汰」の反対語となります。 「人為」は「人の力で何かを行うこと」「自然の状態に人が手を加えること」を意味します。 「人為淘汰」の意味は「生物の品種改良において、目的にかなった型の個体を何代も選抜・育成して交配し、その形質を一定の方向に変化させること」です。 人の手によって優秀な個体を育成し、より良い個体へと育て上げることを表します。 「自然淘汰」と「人為淘汰」は淘汰が自然に行われるか、人為的に行われるかの違いになります。

冗員淘汰

「冗員淘汰」は<じょういんとうた>と読みます。 「冗員淘汰」の意味は「必要のない人員を減らして整えること」です。 「冗員」は「無駄で、有り余った人員」を意味します。 類語としては、「人員整理」「定員削減」などがあります。

生物学における「淘汰」と「選択」

生物学における「選択」は、「進化において、生物個体や形質などが世代を経ることによってその数や集団内での割合を増していくこと」を意味します。 逆に、割合を減少させていくことを「淘汰」と言います。 このような変化が起きることを「選択が働く」「淘汰が働く」、この差を生む要因を「選択圧」「淘汰圧」とします。 二つの仕組みを総称して、選択または淘汰という場合があります。ただ、文脈によっては選択と淘汰を区別しなければならないこともあるので注意しましょう。 また、「自然選択説」という用語があります。 「自然選択説」とは、”進化を説明するうえでの根幹をなす理論。厳しい自然環境が、生物に無目的に起きる変異(突然変異)を選別し、進化に方向性を与えるという説”です。 「自然選択説」は別名、「自然淘汰説」とも言います。

「淘汰」の英語

「(自然)淘汰」は英語は「selection」と言います。 「(企業)淘汰」は「shakeout」と言います。

There has been a shakeout of small and medium-sized enterprises in the manufacturing industry.

製造産業の中小企業の淘汰があった。

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まとめ

「淘汰」について理解できたでしょうか? ✔︎「淘汰」は<とうた>と読む ✔︎「淘汰」は「不用の物を除き、良いものを残すこと」を意味 ✔︎ 生物用語の「淘汰」は「環境、条件などに適応する物が残存し、そうでないものが死滅する現象」という意味 ✔︎「淘汰」の類語には、「取捨選択」「選別」「振るい分け」などがある

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