公開日: 2018.05.24 更新日: 2018.05.24

褒め言葉？「愚直」の意味と使い方！「実直」の違い、類語、英語表現

「愚直」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「愚直な人」「愚直に取り組む」などと、何となく見聞きしたことがあるという方が多いと思います。「愚直」は見た感じ、あまり良い意味ではないかなと思ってしまいますよね。しかし、実は「愚直」は良い意味が含まれています。では、「愚直」は褒め言葉なのか、「愚直な人」とはどう言った特徴があるのか気になりますよね。そこで今回は「愚直」の意味や使い方、「実直」との違い、類語、反対語、愚直な人の特徴について解説していきます。「愚直」の意味を正しく知って、上手く使いこなせるようにしましょう！

「愚直」の読み方と意味

「愚直」は＜ぐちょく＞と読みます。「愚」は音読みだと「グ」、訓読みだと「おろか」と読みます。「愚」は「ばか」「おろか」「おろかな者」を意味します。「直」は音読みだと「チョク」「ジキ」、訓読みだと「ただちに」「なおす」「なおる」と読みます。「直」は「正しい」「心が素直」を意味します。「愚直」の意味は「正直すぎて気の利かないこと」「馬鹿正直」です。 正直なばかりで、臨機応変の行動をとれていないことを表します。 「”愚”かなほど”真”っ直ぐ」という文字通り、決して愚かな行動をしているということではなく、他のことを考えずに一つのことを馬鹿みたいに真剣に行なっていることを指しています。

「愚直」の使い方と例文

「愚直」は日々一生懸命やっていることをへりくだって言ったり、ぶれずに真っ直ぐやっていくことを宣言する場合に使います。他にも、人を褒める時にも、侮辱する時にも用います。 「愚直に頑張っているね！」と言われたら、「着実に足元を固めていっている、すごいね」と褒められていることになります。基本的には良い意味ですが、「愚」という言葉が使われていることもあって、相手によっては侮蔑的な意味にも聞こえてしまいます。褒める場合に、そのようなつもりがなかったとしても、侮蔑であると捉えられる可能性もあるので使用する際は注意しましょう。 また、曲がったことが許せなかったり、嘘がつけずに結果的に自分が損をするような人を「愚直な人」と言います。「愚直に生きる」と言った場合は、「一生懸命ただひたすら生きる」という意味になります。

言い回し愚直なまでに愚直な男愚直に取り組む愚直に生きる愚直に行う愚直に勤め上げる愚直に進める

例文

愚直に基本的なことを繰り返している。
彼は愚直で誠実な男である。
日々愚直に、弊社の発展に努めてまいりたいと考えております。
愚直ともいえるまともさで、真っ向からぶつかる。
彼は愚直なほどに、正直な人間である。
成功するには、運と根気と愚直さが必要となる。
あの人からは愚直ともいえる生き方が感じられる。
祖母の愚直すぎる一言に、その場にいた人たちは苦笑いするしかなかった。
愚直だけが取り柄である。
そのラーメン店は愚直な経営を行なっていたが、不況を上手く切り抜いた。
この味は代々、愚直に守り続けてきたものである。

「愚直」と「実直」の違い

「実直」は＜じっちょく＞と読みます。「実直」は「誠実で正直なこと」「律儀」を意味します。「実」は音読みだと「ジツ」、訓読みだと「みのる」「み」と読みます。「実」は「まごころ」「まこと」を意味します。「直」は音読みだと「チョク」「ジキ」、訓読みだと「ただちに」「なおす」「なおる」と読みます。「直」は「正しい」「心が素直」を意味します。「愚直」は正直なばかりで、臨機応変の行動をとれていないことを表します。「実直」は誠実で正直で、裏表のないことを表します。どちらも、正直で誠実な様子を表現しています。しかし、「実直」が正直で誠実なことを表しているのに対して、「愚直」は誠実さや正直さが、良くない結果へとつながる可能性があることを表します。 ニュアンスが少々異なるので、間違えないように注意しましょう。また、褒めるときに「愚直」を使うことができますが、相手によっては侮蔑であると捉えられる恐れがあるので、誠実さを褒めたい場合は「実直」「地道」「真っ直ぐ」「真っ正直」という言葉を使うのが良いでしょう。

例文

実直で立派な男性である。
彼は実直に勤めている。

「愚直」の類語は「馬鹿真面目」

「馬鹿真面目」の意味は「極めて物事に対して真摯で、それゆえに融通が利かない人物のこと」です。言われたことや命令などに対して、一切疑問・疑いなどを抱かず行動に移すことを表します。「馬鹿真面目に行動する」「馬鹿真面目にひたすら行なっている」などと使います。他にも、「クソ真面目」「生真面目」「四角四面」と表せます。「四角四面（しかくしめん）」とは、「ひどくまじめで堅苦しいこと。非常にかしこまっていること」を意味します。ただ、「真面目」というよりも、真面目すぎて逆に融通が聞かないなどといった意味合いが強くなります。

「愚直」の反対語は「狡猾（こうかつ）」

「狡猾」の意味は「自分だけ得しようと、こっそりと卑怯な手段をとること」「わるがしこいこと」「こすいこと」です。「愚直」は「正直すぎて、逆に損をすること」を表しているので、反対語は「ずるい」「ずる賢い」となります。他の反対語を紹介します。 老獪＜ろうかい＞ （意味：いろいろ経験を積んでいて、悪賢いこと）「実に老獪なやり方である」 トリッキー （意味：罠やひっかけがあって油断ならないさま）「トリッキーな問題である」 ずる賢い （意味：悪知恵がはたらく。狡猾である。悪賢い）「なんてずる賢い奴なのだろう」 こすっからい （意味：ずるく抜け目がない。悪賢い。また、ずるくて、けちけちしている）「あの人はいつもこすっからく振る舞っている」莫連（意味：すれていてずるがしこいこと。また、そのような女性。あばずれ）「あの女性はああ見えて、なかなかの莫連だ」

「愚直」の人の特徴

◯素直 愚直な人は威張ることなく、ぶれることなく、いつもの自分をさらけ出して前に進みます。分からないことは分からないことを認めて、周りの人に聞きます。聞く前には自分で調べて努力を惜しまずにいい加減には済ませません。そして、それを確実に自分の力とします。 ◯必死に努力する 要領が悪く世渡りが下手であっても、必死に一つのことを成し遂げようと努力し続けます。 ◯恥や失敗を恐れない 恥を描くことを恐れずに、失敗することを恐れずにただひたすらに前を向きます。目的地まで、最短で行くことができない分、様々なことを幅広く学ぶチャンスがあって、遠回りしながらでもそこから得た知識、経験を自分の力にします。 ◯騙されやすい ひねくれた人であったら、すぐに表と裏の違いだったり言葉の裏に隠された皮肉に敏感に反応してしまいますが、愚直な人というのは他人の言葉をそのまま受け取ってしまいます。そのため、悪い人に騙されたり利用されたりしやすいです。 ◯どんな環境でも変わらない 愚直な人は恵まれた環境でも、逆境であってもスタイルや生き様に変化はありません。