「席巻」という言葉をご存知でしょうか。「世を席巻した」「欧州全土を席巻した」などと歴史の授業で聞いたことがあるという方も多いかもしれません。また、「席巻」の読み方がわからない、聞いたこともないという人もいると思います。「席巻」という字面から何となく難しそうな感じがしますが、意味を理解すれば簡単に使うことができます。そこで今回は「席巻」の意味や使い方、読み方、「圧巻」との違いについて解説していきます。しっかりと言葉の意味を知って、上手く使いこなせるようにしましょう!
「席巻」は<せっけん>と読みます。 「席」は音読みだと「セキ」、音読みだと「むしろ」と読みます。 「巻」は音読みだと「カン」「ケン」、音読みだと「まく」「まき」と読みます。 「せきまき」や「せっかん」ではなく、「せっけん」と読みます。 以前、NHKのアナウンサーが「せきまき」と誤って読んでしまったことでも話題になりました。 「せっけん」と読む言葉には他にも、「石鹸」「接見」「石剣」「赤圏」などと数多くあるので間違えないように注意しましょう。
「席巻」の意味は「凄まじい勢いで勢力を広げること」です。 「席」は「むしろなどの敷物」、「巻」は「まく・まきとる」を意味します。 「席を巻く」という文字通りに、「席を巻くように、片端から領土を攻め取ること」を表します。 ある範囲や時期において絶大な人気を獲得することや、圧倒的な強さを発揮した人などを言い表す言葉です。 片端からくるくると勢いよく場所を回収する、自分の領土を広げるようなイメージになります。
「席巻」は漢字で「席捲」と表すこともできます。 「巻」は「巻物・書物・巻いたものや書物を数える語」を意味します。 「捲」は「まきとる・まきつける」を意味します。 「巻」という字は元々「卷」でした。しかし、昭和24年の「当用漢字字体表」で、当用漢字以外の漢字を使わないように制限したり(改"竄"→改"ざん")、当用漢字の字体を簡略化したり(學→学)することで日本語を平易にしようという動きが活溌になりました。そのため、当用漢字に含まれていた「卷」も簡略化の対象になり、現在の「巻」という字体が標準となりました。 一方、当用漢字に含まれなかった「捲」はそのまま残ったとされています。 「席巻」でも「席捲」でも意味は同じですが、一般的に「席巻」を使うことが多いです。
「席巻」は中国前漢の歴史書『戦国策』に出てくる表現の一つで、「席(むしろ)を巻くように片っ端から領土を攻めとること」「むしろを巻き取るようにひといきに領土を拡大すること」を意味していました。 「席(むしろ)」とは「わらやイグサなどを編んで作った敷物のこと」です。 席(むしろ)をくるくると巻き取るところから、比喩的に「席巻」という言葉が誕生しました。 これが転じて、「席巻」は「凄まじい勢いで勢力を広げること」という意味になりました。 このように、「席巻」は戦争における勢力の強さを表す言葉から、競争におけるの勢力の強さを表す言葉へと変化しました。
「席巻する」は「シェアを拡大する」「業界に旋風を巻き起こす」などと同様の使い方をします。 力をつけて勢力を広めているものであったら、人に対してでも物に対してでも使うことができる表現です。とにかく、勢いが激しく広がっているものに関してのみになります。 現在では、「席巻」は市場で圧倒的競争力を発揮するような状況について用いることが多いです。 例えば、新商品が市場シェアを急激に拡大し独占する様子を「市場を席巻する」と表すことができます。 他にも、「ある商品が市場シェアを席巻する」「あのアイドルは90年代を席巻した」「麻疹が日本を席巻している」といったように使います。
言い回し
例文
「圧巻」は<あっかん>と読みます。 「あっけん」「あつかん」とは読まないので注意しましょう。 「圧巻」の意味は「全体の中で、最もすぐれた部分」です。 よく「ラストシーンが圧巻である」と言いますが、これは「ラストシーンが作中で最も優れている」という意味になります。 「圧巻」は「古代中国において『巻』(官吏の登用試験の答案)の最も優秀なものを全ての答案の一番上に載せたこと」に由来しています。 そこから転じて、「本や劇などの中で最も優れた部分」「全体の中で最も優れているもの」といった意味を表すようになりました。 「席巻」は「凄まじい勢いで勢力を広げること」を表しているのに対して、「圧巻」は「全体の中で最も優れた部分」を表しています。 「席巻」と「圧巻」は字形は似ていますが意味は全く異なるので、間違えないように気をつけましょう。
例文
「席巻」の類語を紹介します。
脚光を浴びる (意味:世間の注目の的となる) 「彼の研究は国境を超えて世界で脚光を浴びた」 持て囃される<もてはやされる> (意味:盛んに褒められる。多くの人が話題にする) 「若い人に持て囃されているバンドのボーカル」 今を時めく (意味:現在、盛んに世間でもてはやされている) 「彼女は今を時めくアイドルである」 耳目(じもく)を集める (意味:人々の注目を集める。多くの人の注意を引きつける) 「世に発表した作品は耳目を集めた」 時代の寵児(ちょうじ)となる (意味:その時代の風潮に合った才能を発揮し、人々に持て囃される人になる) 「彼は芸能界に彗星の如く現れて、時代の寵児となった」 旋風を巻き起こす (意味:事件を起こして社会的に大きな話題になる、世間を騒がせる) 「その歌は世に旋風を巻き起こした」 フィーバーする (意味: 極度に興奮すること。熱狂すること) 「大観衆がフィーバーした」 センセーションを起こす (意味:世間の耳目を驚かせる事件や事柄を起こす) 「このグループは一大センセーションを巻き起こした」 大評判になる (意味:多くの人々から高い関心や評価を得ること) 「この食べ物は一躍大評判となった」
「席巻している」は英語で、
などと言います。 これらのフレーズを自動詞として単体で使うことも、他動詞として目的語を持つこともできあます。 「take over」や「conquer」などは元々「征服する」などの意味ですが、そこから転じて「席巻する」というニュアンスで使うことができます。
At the SPA industry, UNIQLO is taking over the world.
衣服の製造小売業業界ではユニクロが世界を席巻している。
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「席巻」について理解できたでしょうか? ✔︎「席巻」は「せきまき」や「せっかん」ではなく、「せっけん」と読む ✔︎「席巻」は「凄まじい勢いで勢力を広げること」を意味 ✔︎「席巻」は、勢いが激しく広がっているものに対して使う ✔︎「席巻」の類語には、「脚光を浴びる」「今を時めく」などがある