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「不文律」の意味と使い方、読み方、例文、類語、対義語、英語表現を徹底解説

「不文律」という言葉をご存知ですか?なかなか日常生活では耳にしない言葉なのではないでしょうか。今回は「不文律」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。また、「不文律」の類語や対義語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。

「不文律」とは

「不文律」の読み方は「ふもんりつ」ではなく「ふぶんりつ」

「不文律」は、「ふぶんりつ」と読みます。 「不」は音読みで「フ・ブ」 「文」は音読みで「ブン・モン」、訓読みで「ふみ」 「律」は音読みで「リツ・リチ」 と読みます。 「ふもんりつ」と読み間違える人が多いので注意しましょう。

「不文律」の意味は「お互いに暗黙のうちに守られている決まり」

「不文律」の意味は、「お互いに暗黙のうちに守られている決まり」です。 「不文律」の「不文」は、「文」に打ち消しの「不」をつけて「文章に書き表していないもの」という意味になります。 「律」は「おきて・定め」という意味がある漢字です。 「不文律」は直訳すると「書き記していない定め」という意味で、スポーツなどの各業界での「暗黙のルール」や「成文化されていない法律」を指します。 例えば、家庭内で「トイレットペーパーは最後まで使い切った人が補充する」という決まりを作ったならば、これも「不文律」になります。

「不文律」の使い方と例文

「不文律を守る/従う/破る/壊す」などの形で使う

「不文律」はルールや決まり、法律を意味する言葉なので、それらの言葉と同じように

  • 不文律を守る
  • 不文律に従う
  • 不文律を破る
  • 不文律を壊す

などの形で使用されるのが一般的です。

例文

  • 集団生活をしていく上で不文律を守ることは当たり前のことである。
  • 不服だと感じながらも不文律を破る勇気は私にはありませんでした。
  • 昔からあった不文律を壊した社長は本当に偉大な人だと思います。

「不文律」は日本などの国家や会社・職場などの組織にある

日本には「空気(を読む)」という名の日本社会独特の文化的ルールがあります。 例えば就業の時刻になって自分の仕事が終わっている状態でも、上司が忙しそうにしていると「お先に失礼します」とは言いにくいですよね。 「部下は上司よりも先に帰宅してはいけない」となっている企業も多いのではないでしょうか。 このように国家や会社、職場などの組織にある暗黙の了解のルールや習慣も「不文律」にあたります。

「不文律」は野球やサッカーなどのスポーツ界にも存在

「不文律」は野球やサッカーなどのスポーツ界にも存在します。 「野球は攻撃と守備を9回繰り返す」「サッカーは手を使ってはいけない」といった基本的なルールではなく、スポーツの長い歴史を経て形成されていったものです。 例えば、「野球」では「危険なスライディングをしてはいけない」「投手は野手に文句を言ってはいけない」などの不文律があります。 その他にも、 競輪(ロードレース)「すね毛は剃らなくてはならない」 相撲        「張り手をしてはいけない」 テニス       「コートボールになったら手を挙げて謝らなければいけない」 卓球        「相手が0点の状態で無理に点数を取りにいってはいけない」 といったように、スポーツには様々な不文律があります。

「不文律」の具体例は英国憲法

イギリスの憲法はよく「不文律」の例として、大学などで取り上げられます。 イギリスには日本の「日本国憲法」のように決まり事をまとめた文章が存在しません。 しかし、文章としてまとめていないだけでイギリスにもきちんと憲法はあります。 イギリスの憲法は、裁判所が重ねてきた判例の蓄積や慣習に委ねられています。 まさに「不文律」と言えるでしょう。 日本のように文章化している憲法を「成文憲法」といい、イギリスのように文章化されていない憲法を「不文憲法」といいます。

「不文律」の類語・言い換え

「不文律」の類語①は「不文法」「不文憲法」

「明文化されていない規則」を意味する「不文律」の類語には、

  • 不文法
  • 不文憲法

があります。 慣習法・判例法などがそれにあたると言えるでしょう。 文章になってはいませんが、「法」として人を拘束するものです。

例文

  • 私達の済む日本は、成分法ですが不文法と言われるものがあります。
  • イギリスは長年不文憲法だが、国民が混乱を招くことはないのだろうか。

「不文律」の類語②は「暗黙の了解」「掟」「不文習慣」「紳士協定」

「お互いに暗黙のうちに守られている決まり」を意味する「不文律」の類語には、

  • 暗黙の了解
  • 暗黙のルール
  • 口約束
  • 不文習慣
  • 紳士協定

などがあります。 「暗黙の了解」は「言葉にしなくてもみんなが了承している様子」という意味で、最も一般的に使われる言葉であると言えるでしょう。 「掟」もよく使われる言葉で、「とりきめ」や「定め」を意味します。 一般的に使う「掟」は明文化されていないことが多いです。 しかし、「守らなくてはいけない」という強制力が強いと言えるでしょう。 「紳士協定」は「Gentlemen's agreement」の和訳で、「書面で取り交わさずともお互いに遵守するものとして結ばれる協定」のことを言います。

例文

  • 暗黙の了解で繁忙期に有給休暇をとることはできない。
  • うちでは父の目の前に出されたおかずに手を出してはいけないという暗黙のルールがある。
  • 部活内恋愛禁止という掟を破って彼らは退部させられることになった。
  • 遺産を相続してくれるなんて口約束だけでは不安なので遺言書を書いてもらっていいですか?
  • 男子校には男子校の不文習慣があるに違いない。
  • あの時紳士協定を結んでいたはずなのに、どうやら裏切られてしまったようだ。

「不文律で」の言い換えは「阿吽の呼吸で」「以心伝心による」「言わず語らずのうちに」

「不文律で」の言い換え表現には、

  • 阿吽の呼吸による
  • 以心伝心による
  • 言わず語らずのうちに
  • 口約束で

などがあります。 「阿吽の呼吸」とは「言わなくても分かり合えること」「言葉にしなくても通じ合うこと」を指します。 家族や恋人などで言えば、「メガネがないと思ってキョロキョロとすれば、さっと家族がメガネを渡してくれる」といったことが「阿吽の呼吸」です。 「以心伝心」も「言葉に頼らずお互いの言いたいことや思っていることがわかるように通じ合うこと」を意味している言葉です。 「言わず語らず」は、「何も言わないこと」「言葉で表現しないこと」という意味があります。 「口約束」は「証文によらない、言葉だけの約束」です。明記されていない点で「不文律」と似ています。 ちなみに「諾成契約(だくせいけいやく)」という言葉があり、当事者の間の合意があれば口約束でも契約が成立する場合があります。

例文

  • スポーツにおけるダブルスは阿吽の呼吸で動くことが大切であると言えるだろう。
  • 離れていても以心伝心で彼女の気持ちはわかります。
  • 祖父の病状に祖母も言わず語らず心を痛めていたに違いない。

「不文律」の対義語

「不文律」の対義語①は「成文法」

「明文化されている規則」を意味するのは「成文法」です。 「成分法」は、「文章で表現されている法」のことを言います。 「法律」や、「条例」「条約」などが「成分法」にあたります。 文章にされていない「不文律」とは反対に、文章にしてまとめてある法を指す言葉なので「成分法」が対義語になります。

例文

  • 日本では成分法を採用しています。
  • 成分法にしないと、法の内容が不明確になってしまう恐れがある。

「不文律」の対義語②は「規定」「合意事項」「契約」

「お互いに暗黙のうちに守られている決まり」を意味する「不文律」の類語には、

  • 規定
  • 合意事項(ごういじこう)
  • 契約

などがあります。 この3つの言葉には「物事の決まりや、やり方を決まった形で定めること」を意味しています。 つまり、きちんとお互いの合意の上で成立し法律的効果が発生するものになるので「不文律」の対義語になります。

例文

  • 一定数以上の入園があった場合には、入場規制をかけるという規定があります。
  • 今回の契約について、合意事項をまとめたものを後日郵送させていただきます。
  • このアパートの契約は来月いっぱいとなっている。

「不文律」の英語

unwritten law / unspoken rule

「不文律」の英語は、

  • unwritten law
  • unspoken rule

などというのが一般的です。 「unwritten law」は直訳すると「書かれていない法律」、「unspoken rule」は「暗黙のルール」になります。 「unwritten」「unspoken」の類語には、

  • unsaid
  • wordless

などがあります。

uncodified constitution

「uncodified constitution」は少し難しい表現なのですが、「不文憲法」という意味の英語です。 「codify」で「〜を成文化する」「〜を法典化する」という意味の英語になります。

まとめ

いかがでしたか? 「不文律」という言葉について理解していただけたでしょうか。 ✓「不文律」の読み方は「ふぶんりつ」 ✓「不文律」の意味は「お互いに暗黙のうちに守られている決まり」 ✓「不文律を守る/従う/破る/壊す」などの形で使う など

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