「赴任」という言葉をご存知ですか?ビジネスシーンではよく耳にする言葉ですよね。今回は「赴任」の意味と使い方を例文付きでまとめます。また、「赴任」や「転勤」など類語との違いや対義語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「赴任」は「ふにん」と読みます。 「赴」は音読みで「フ」、訓読みで「おもむく」 「任」は音読みで「ニン」、訓読みで「まかせる・まかす」 と読みます。
「赴任」の意味は「新しい勤務地へ赴くこと」です。 「赴」には「おもむく。出ていく」という意味があり、「任」には「仕事、役目につく」という意味があります。 したがって、「仕事のために出ていく」という意味があるということがわかります。 一般的には会社から転勤の辞令が出て、転勤先に行くことを「赴任」といいます。 県をまたいでの移動など転居を伴うことがほとんどです。
「赴任」は、主にビジネスシーンで「赴任する」「赴任を命じられる」といった使われ方をします。 「赴任をする」は、主に会社から転勤の辞令をうけて実際に新しい勤務地へ行くことを意味しています。 「赴任を命じられる」は、会社から「◯◯支店への赴任を命ずる」というように転勤の辞令をうけることです。 何店舗か支店をもつ大きな企業などでよく耳にする表現です。
例文
「赴任」は、「赴任◯◯」という形で使用されることも多いです。 例えば、
などがあります。 「赴任地」「赴任先」は、「赴任する勤務地」を意味する言葉です。 「赴任手当」「赴任旅費」は、「赴任をするにあたって会社側からもらえるお金」です。 その他にも、
という使い方をすることもできます。 「赴任者」は「赴任してきた人」を指す言葉です。 「赴任中」は「赴任している最中であること」「赴任後」は、「赴任をした後」という意味で使用されます。
例文
「赴任」は、「単身赴任」「海外赴任」という形で耳にすることも多いのではないでしょうか。 「単身赴任」は「家族を現在住んでいるところへ残し、単身で赴任をすること」です。 持ち家であったり、子供を転校させたくないといった様々な理由で、一人だけで赴任先へ行く選択をすることを「単身赴任」と言います。 「海外赴任」は、「海外に赴任すること」です。 海外にも支店がある企業だと、赴任先が海外という場合もあります。 辞令をうけて海外に居住地を移し、勤務をするという場合を「海外赴任」と言います。 海外に赴任する人を指して「海外赴任者」と言うこともあります。
「出張」の意味は、「臨時で勤め先以外のところへ出向くこと」です。 例えば、取引先の本社が県外にあって商談ために直接本社まで出向くことを「出張」と言います。 基本的には、宿泊をしなければいけないなど一日以上職場を離れることを意味しています。 ただ、最近では新幹線や飛行機を使えば遠い場所でも日帰りで帰ってくることができる場所が増えているので宿泊をしない出張もあります。 「赴任」は一時的ではなく、働く場所そのものが変わるので居住先が変わったり所属部署が 変更になります。 「出張」は、あくまでも一時的に通常の職場を離れるというだけなので、居住先が変わったり所属部署が変更になることはありません。
例文
「転勤」の意味は「勤務地が変わること」です。 関東にある勤務地から、大阪の勤務地になるなど県をまたぐような場合に「転勤」という言葉を使用します。 「赴任」と非常に意味合いが似ていますが、 「転勤」・・・「勤務地が変わること」 「赴任」・・・「新しい勤務地へ行くこと」 なのでニュアンスの違いがあることがわかります。 「転勤になったから赴任する」という使い方をすると、完全な同義語ではないということがおわかりいただけるのではないでしょうか。
例文
「出向」の意味は「命令によって他の会社で働くこと」です。 命令によって現在働いている会社との雇用契約はそのままに、子会社など別会社で就労することを「出向」と言います。 昔は「出向」に良いイメージはなかったようですが、現代では若手の成長のためにあえて出向を命じることもあります。 「赴任」は、企業内の新しい勤務地に出向くことです。 企業内の転勤の場合には、「赴任」と言いますが、企業自体が変わってしまう場合は「出向」という言葉を使用します。
例文
「派遣」は「命じて出張させること」です。 会社から何か任務を追わせ、一時的に差し向けることを「派遣する」と言います。 例えば「派遣社員」は、雇用契約を結んだ会社から命令をうけて、別の会社で働く社員のことをいいます。 「派遣」とは非常に一時的なもので、任務が達成すると元の場所に戻ります。 また、予め「◯日の◯時まで」と期間が決められていることもあります。 一方「赴任」は、勤務地そのものが変わることを意味するので一時的なものではないという大きな違いがあります。
例文
「派出」の意味は「任務につかせるために出張させること」です。 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」という漫画が有名ですが、「交番」は1994年まで正式名所は「派出所」でした。 交番(派出所)は、地域の安全を守るという任務を任された警察官を派遣させている場所です。 このように、一時的に任務につかせて出張させることを「派出」と言います。 つまり、「派出」も「派遣」と同様に「一時的なものである」という点が「赴任」との違いになります。
例文
「左遷(させん)」の意味は、「今まで低い役職で人事異動させられること」です。 例えば、部長が何か大きなトラブルを起こしてしまって地方の小さな支社に平社員として移動することになるといった場合が「左遷」にあたります。 勤務地が変わらなくても出世コースから離れた部署に移動させられる場合も「左遷」になります 「左遷」は「勤務地が変わらない場合がある」「低い役職になったり出世コースを外されるという意味が含まれる」という点で「赴任」とは異なると言えるでしょう。
例文
「就任」の意味は、「新しく任務や役職につくこと」です。 例えば、プロジェクトの代表になるなど新しい役目につくことを「就任する」と言います。 「新しい役職に就く」ということがきっかけで勤務地が移動になることもあるかもしれませんが、「就任」=「転勤」ではありません。 なので、「新しい勤務地に行く」という意味の「赴任」とは意味が異なるということがわかります。
例文
「駐在(ちゅうざい)」は「派遣された人が任地に長期間とどまること」です。 ある一定期間、与えられた任務のために通常の勤務地とは別の場所に滞在することを「駐在」と言います。 したがって、駐在している人は任務を終えると元の勤務地に戻ります。 「赴任」は、勤務地そのものが変わることを意味しますが、「駐在」は勤務地が変わるわけではなく、一定期間派遣をされるというイメージです。
例文
「配属」の意味は「人をわけてそれぞれの部署に定めること」です。 「配属」は、主に会社が所属している社員を、「部署」「部門」にそれぞれ振り分けて配属させることを言います。 例えば、まだ自分の立場を与えられていない新入社員を「広報部」「営業部」などにわけることです。 「配属」には、「赴任」とは違って「新しい勤務地に行く」という意味はありません。 ただ、新しい部署に配属されることになった結果、その部署がある場所に転勤になって赴任を するということはあるでしょう。
例文
「転属」の意味は、「所属部署が変更になること」です。 主に、「営業部」から「経理部」というように経験関係なくガラリと仕事内容が変わるようなケースを「転属」と言います。 「転属」は、「部署が変わること」なので、「赴任」のように勤務地が変わるわけではありません。
例文
「還任(げんにん)」は、「一度解任された人が元の官職に戻ること」です。 あまり日常生活では耳にしない言葉ですよね。 昔に使用されていた言葉で、現代で使用されることは滅多にないと言えるでしょう。 「還任」は元に戻ることを意味しているので、「新しい勤務地に行く」という意味の「赴任」とはどちらかと言うと反対の意味がある言葉であると言えるでしょう。
例文
「赴任」の反対をどう捉えるかによって、対義語が複数あると言えます。
「新しい勤務地へ出発する」の反対語としての「着く」という意味では「着任」が対義語になります。 「着任」の意味は、「任地に到着すること」です。 「着」は「たどり着くこと」と意味していて、「任」は「仕事やつとめ」と意味しています。 「赴任」は、勤めていた勤務地を離れるときに使用しますが「着任」は反対に新しい職場で使用することができます。
例文
「新しい勤務地へ向かう」の反対語としての「やめて戻る」という意味では「帰任」が対義語にあたります。 「帰任」は、「一時離れていた任地・任務に戻ること」を意味しています。 例えば、海外赴任していた人が日本の勤務地に戻ることを「帰任」と言います。
例文
「新しい仕事に就く」の反対語としての「仕事を離れる」という意味では「離任」が対義語にあたります。 「離任」は、「離れる」という漢字からもわかるように「任務や任地から離れる」という意味がある言葉です。 退職などで、職場を離れることになる場合に「離任」という言葉を使用します。
例文
同じく「新しい仕事に就く」の反対語としての「同じ職務にあたる」という意味では「常任」が対義語にあたります。 「常任」の意味は、「常にその任務にあたること」です。 例えば、「◯◯の常任となった」だと「常にその任務に就くことになった」という意味になります。
例文
「新しい仕事に就く」の反対語としての「仕事を退く」という意味では「退任」が対義語にあたります。 「退任」は、「今までの任務をやめること」という意味があります。 任務が終わる前に何らかの理由でやめてしまうことを「退任」と言います。
例文
「新しい任務に就く」の反対語としての「任務から離れる」という意味では「解任」が反対語にあたります。 「解任」は、例えば役職を解く場合に使用する言葉です。 例えば、不祥事を起こしたプロジェクトのリーダーが役職を降ろされることです。 「役職を解く」というだけなので、勤務地が大幅に変わったり退職させるというわけではありません。
例文
「辞任」は「今まで就いていた任務を辞退すること」です。 職務を自ら「辞めます」「辞退します」と申し出て、今まで就いていた任務から離れることを「辞任」と言います。 「赴任」は「新しい場所で任務へ就くこと」を意味する言葉なので、任務を離れる「辞任」は対義語になると言えるでしょう。
例文
「assign...」は「...を赴任させる」という他動詞です。 「be assigned to...」で「...に赴任する」という意味になります。 名詞は「assignment」です。
He was assigned to the middle fo nowhere in Asia for some reason.
彼は何らかの理由でアジアのへき地に赴任した。
「新しく赴任した」は「newly assigned」などとクドい言い回しを使わずに単に「new」だけで表現することが可能です。
This is a new teacher, Akiko.
こちらが新しく赴任したアキコ先生です。
赴任が決まったら、新しい職場へご挨拶のメールをいれましょう。 挨拶のメールは、異動が発表されたその日に送るのがベストです。 メールの件名は「着任の挨拶」にします。 きちんとした形式で失礼のないように書きましょう。 本文には、「いつ、どの部署に変わったのか」と明記して赴任後の抱負なども一緒に書けると今後の意欲が伝わるので望ましいです。 詳しい赴任時の挨拶のメールの書き方は、例文を参考にしてください。 また、これまでお世話になった車内の人達や取引先の人に挨拶をしましょう。 直接顔を合わせてお礼を伝えるのが1番良いですが、なかなかそうもいかないので失礼のないよう挨拶のメールをいれるのが基本です。 送信する望ましいタイミングは
です。 着任したことを報告するのと共に、しっかりと移動前にお世話になった感謝の意を書き添えましょう。
件名:着任のご挨拶 ちゃれんじ支店 販売促進部 御一同様 お世話になっております。 この度、4月1日付けで販売促進部へ移動することになりました、小井沼と申します。 これまで入社して5年間、営業部で販売に関する業務に携わっておりました。 今後は、ちゃれんじ支店空野部長のもと、一刻も早く販売促進部に貢献できるよう努力して参ります。 何かとご迷惑をおかけするかと思いますが、お力添えをいただけると幸いです。 本来ならば直接お伺いしてご挨拶するべきところですが、メールにてご挨拶申し上げます。 着任いたしましたら改めてご挨拶させてください。 どうぞよろしくお願いいたします。 営業部 小井沼桜子
いかがでしたか? 「赴任」という言葉について理解していただけたでしょうか。 ✓「赴任」の読み方は「ふにん」 ✓「赴任」の意味は「新しい勤務地へ赴くこと」 ✓「赴任する」「赴任を命じられる」などと使う ✓「赴任地」「赴任先」は「赴任する勤務地」の意 ✓「単身赴任」「海外赴任」といった使い方もするなど