「随一」という言葉をご存知ですか?「当代随一」「社内随一」などと使われていますよね。「唯一」の意味と混同してしまう人も多いかと思います。そこで今回は「随一」の意味や使い方を例文付きで詳しく解説します。また「唯一」「逐一」「屈指」などとの違いも説明します。英語も紹介しますので是非参考にしてみてください。
「随一」の読み方は「ずいいち」です。 「ずいいつ」と読む方多いのですが、誤用ですので注意しましょう。
「随一」の意味は「同類の中の第一位、第一番」です。 要するに、随一は「多数のうちの1番」といった意味合いになるため、比較するものがあるということになります。 「社内随一」と言えば「社内で1番」といった意味になり、他の社員と比較して1番というわけです。
元々「随一」は仏教用語で「多数の中の1つ」といった意味でした。 「全ての中での1つ」の意味が転じ、「全ての中での1番」という意味になりました。
「東京で随一」と「で」を入れて使うこともあります。
例文
「当代随一」の意味は「この時代の中で一番である」です。 同じ時代に存在する他の何と比べても勝っていることを表します。 「当代随一の高齢選手」「当代随一のカメレオン俳優」などと使います。
例文
「随一を誇る」ともよく使われています。 これは「一番であることを誇る」という状態を表します。 自分で一番であることを分かっており、名誉に思って示すことです。
例文
「随一期」という言葉をご存知ですか? これは会計用語になります。 主に国民健康保険などの納期で使われます。 普通徴収の場合納期は7月〜翌年2月なことが多くなっています。 7月を1期とし、翌年2月を8期とした納期を8回に設定されていることが多いです。 しかし国民健康保険の加入の届け出を翌年2月に行った場合はすでに納期がないため、3月を随一期として支払うこととなるわけです。そのまま4月を随二期としてるいるところもあります。
「随一」に続いて、「随二」「随三」とあるのでは?と思うかもしれませんが「随二」「随三」はありません。 「社内で2番」「全国で3番」などと表現しましょう。
えーっと、「随一望」は本郷三丁目にある中華料理店です。 東京ドームがまあまあ近いですよ。
「唯一」は「ゆいいつ」と読みます。 意味は「たった一つだけで、それ以外にはないこと」です。 「随一」は「多くある中の一番」になるため、「随一」と「唯一」の意味は全く異なります。 「唯一」が使われた「唯一無二」という四字熟語もありますよね。 「唯一無二」は「たった一つであり、二つとないこと」といった意味になります。 「無二」で「二つとない」と「たった一つ」であることを強調した言葉です。
例文
「逐一」の意味は「一つ一つ順を追うこと」「いちいち詳細に」です。 「逐一報告」とは「何から何まで全て報告する」という意味になります。ビジネスシーンでも使われることが多い表現です。 また、「〜の逐一」という形でもよく使われていて、「出来事の逐一」「騒動の逐一」「事件の逐一」といったように用います。
例文
「随意」の意味は「制限や支配などの強制がなく、自分の思いのままであるさま」です。 ここでの「随」は「物事がだんだんと変化していくことに任せること」を意味します。 この意味の「随」を使った熟語には「随筆」があります。 「随筆」は「心に浮かんだことなどをありのまま自由に書いた文章」のことです。 「随意契約」という言葉もあります。 これは官公庁が民間会社と契約を締結する際に、競争入札によらず任意で決定した相手と契約を締結することです。 「随意契約」を「随一契約」と誤用している人がたまにいますので注意してください。 さらに「随意筋」という言葉もあります。 これは自分の意志によって動かすことのできる筋肉のことです。 逆に自分の意志で動かすことのできない筋肉を「不随意筋」と呼び、心臓を動かす「心筋」などがそれに当たります。 「随に」で「まにまに」と読む副詞になります。 意味は「他人の意志や事態などの成り行きに従うさま」です。
「きって」は「随一」の同義語です。 意味は「地域や場所を表す言葉のあとに付き、その範囲の中で最も優れていること」です。 現代では「きっての」の形で使われることが多くなっています。 「当代きっての」などと用いられ、この場合は「現代の中で最も優れている」といった意味になります。
例文
「屈指」の意味は「指を曲げること、指を折って数えること」です。 これが転じ「多くの中でも指を折って数えあげられるほど優れていること」となり「トップ5に入ってる」といった意味になります。 「社内屈指の」とすれば「社内で5番以内に入る」といった意味合いです。
例文
「ぴかいち」も「随一」と同義で「多くの中で一番優れている」といった意味です。 元々は花札の手札における言葉で、最初に配られた札7枚のうち1枚だけが20点札(=光り物)であとの6枚がかす札だった場合に「ぴかいち」と読んでいました。 それが転じて現代使われている意味になっています。
例文
「至上」の意味は「最上・最高、この上もないこと」です。 「至」には「ゆきつく、その先がない」といった意味なので「至上」は「これ以上の上がない」という意味になります。 「至高」も同じで「この上なく高いこと、最高」といった意味になります。 他にも「至大」や「至極」などといった言葉もあります。
例文
「一等」と「一番」は「その中で最も優れている」といった意味があります。 「一等賞」や「一等席」と使いますよね。 「一番」も「マラソンで一番」と言えば、最もはじめにゴールをしたことを表します。 「一級」も「等級の中の第一位、優れている品質」の意味があり「一級品」などと使われています。 「一流」も本来は「随一」と同義語です。 ただし現代では「一流」の本来の意味「その分野での第一等の地位」というよりかは、優れた人の集団を漠然と「一流」ということが多くなっています。
例文
「最も優れている、一番」といった意味で「○○一」も使われますよね。 よく使われる言葉に「世界一」「日本一」がありますよね。 それ以外でも「社内一」や「家族一」などと使うこともあります。
例文
「最下」は「一番下、一番最後、いちばん劣っていること」といった意味です。 「最下位」だと「一番最後の順位」ということになります。 「最下」よりも「最下位」のほうが使われることが多くなっています。
例文
「最悪」の意味は「最も悪い状態であること」「最も劣っていて悪いこと」です。 同じように「最低」も「物事の状態などが最も望ましくない」といった意味があります。 二つ合わせて「最低最悪」などとも使われます。
例文
「ビリ」の意味は最下位と同義で「一番最後の順位」です。 「ビリ」は「尻(しり)」が訛ったと言われています。 「尻」は古来から「頭が前(先に行く)」のに対し「尻は後ろ(後ろに来る)」と言い慣わしてきています。 物事の始めを「頭」と言うのがそうです。「では1ページの頭から読んでください」などと言いますよね。 「しり」ではなく「けつ」ということもありますね。「けつの部分をもう一度やって」などと言います。 また、同じ「最下位、最後尾」という意味の「ビリ」と「けつ」を合わせて「びりっけつ」と使われることもあります。 ちなみに、最後から二番目の人は「ブービー」と言います。
例文
「どんけつ、どべ、べべ」の意味も「最下位、最後」です。 「どべ」は大分弁、「べべ」は大阪弁が元となっています。
例文
「随一」は「多数ある中の第一位」という意味なので、英語では最大級を使えばよいです。
など文脈によって使い分けましょう。
This is the most popular sushi restaurant in Tokyo.
こちら東京随一の寿司屋です。
He is the greatest entrepreneur of our time.
彼は当代随一の起業家だ。
いかがだったでしょうか? 「随一」について理解できていれば幸いです。 ✔意味は「多数ある中の一番」 ✔「社内随一」「当代随一」などと使う ✔類語は「きって」「屈指」など ニュース記事やビジネスシーンでもよく使われる言葉なので、しっかりと覚えておきましょう。