「水物」という言葉をご存知ですか?「水物」は2つの意味で使用される言葉です。今回は「水物」の正しい意味と使い方を例文付きで解説します。また、「水物」の関連する語や類語、英語表現なども合わせて紹介しますので是非参考にしてください。
「水物」の読み方は、「みずもの」です。 「水」は音読みで「スイ」、訓読みで「みず」と読み、 「物」は音読みで「ブツ・モツ」、訓読みで「もの」と読みます。 「すいぶつ」と読み間違える人が多いので注意してください。
「水物」の意味は、「飲み物」「水分を多く含む食品」です。 例えば、お水やジュース、お酒など水分として摂取する「飲み物」や 果物やゼリー、寒天のように「水分を多く含む食品」を「水物」と言います。 スーパーなどでも、豆腐やこんにゃくといった水分を多く含む食品は「水物」というカテゴリーでわけられていることが多いです。 「水物を多くとるとお腹を壊しますよ」と言ったりもします。 しかし、現代では「水物」よりも「水分」と表現することが多いので日常会話ではあまり耳にしない言葉といえます。
「水物」はそこから転じて「状況によって変わりやすく予想しにくいこと」という意味でも使用される言葉です。 例えば、川を流れる水ってその時の状況によって何が起きるかわからないですよね。 何も起きていないと思っても水面下では何か大きな動きがあることもあります。 このように、予測しにくいものごとを「水物」といいます。 また、状況によって変わりやすく「あてにならない」という意味でも使用されます。
「水物」は水分を多く含む食品を指す言葉であると上述しました。 会席料理では、「水分を多く含む食品」=デザートの意味で使用されます。 会席料理では、最後にシャーベットや季節の果物が「水物」として出されます。 日本食では、煮物のように「酢」「醤油」「砂糖」を多く使った料理が多くなっています。 そのため、料理に含まれている塩気を中和させるという意味で、最後に「水物」を出すのだそうです。 会席料理の「水物」は、単なるデザートとしてではなくお料理の一つとして、その時の旬の果物を素材を活かした良い状態で提供しているのです。
「水物」は華道では「水辺に育つ花」を指します。 例えば、「蓮」「花菖蒲」「カキツバタ」などがあります。 名前を聞いただけではピンとこないかもしれませんが、川岸や沼、池など周りによく咲いている花です。
「水分の多く含む食品」という意味については、「水」「物」という漢字から見てもおわかりいただけるかと思います。 「状況によって変わりやすく予想しにくいこと」という意味の語源は何なのでしょうか。 「水物」=「水分の多い食物」だから、「水っぽい食べ物は腐りやすい」ということが由来なのかな?と思いますよね。 実は「水物」の語源については諸説あり、はっきりしたことはわかっていません。 例えば、
などが語源になっているのではないかと言われています。 川や水、雨といった状況が変わりやすく人間には中々予測することができないことが語源となっていると言えるでしょう。
「水物」は、「〜は水物だ」の形でビジネスなどで幅広く使用することができます。 特にビジネスでは、
というように、状況によって変わりやすく予想ができないことや、あてにならないと思うことに対して「◯◯は水物だ」と言います。 その他にも、
などに対しても使用することができます。
例文
「水物商売」の意味は「水商売」と同じです。 現代では「水物商売」よりも「水商売」と言われることが一般的です。 「水物商売」は、世間の人気や思考に大きく依存していて収入が不安定な商売を指します。 例えば、「飲食店」などの客のひいきや天候にも左右されてしまうような職業です。 飲食業以外では、芸能人やモデル、クリエイターなどヒットするしないで大きく転落するような職業も「水物商売」になります。 最近では、「クラブ」「ホステス」といった夜のお仕事を「水商売」という事が多く、そういったお仕事をする人を「お水の人」と言いますよね。 ちなみに「水」があれば「お湯」もありそうですが「お湯商売」はありません。
「水産物(すいさんぶつ)」は、「海洋・河川・湖沼から産するもの」という意味です。 海などで釣れる魚介類や海藻のうち、食品や食材、加工品になるものを「水産物」と言います。 魚や海藻はもちろん、貝や真珠、サンゴも水産物になります。
「無水物」は、科学用語で「水を失くした状態の化合物」を意味します。 「結晶水」を含む物質がその水を無くすと「無水物」になります。 元々結晶水をもたない物質は無水物とは言いません。
「水和物(すいわぶつ)」も科学用語の一つです。 科学用語で「水和物」は、無機化学・有機化学において「水分子を含む物質」を表します。 また、「水和物」に含まれている水を「水和水」と呼びます。 この「水和水」は加熱をすると失われ、「無水和物」となります。
「水物」の「水分を多く含む食品」という意味での類語には、
などがあります。 「飲料水」や「清涼飲料」といった「飲み物」や、「物の中に含まれている水や液体」という意味のある「水分」が類語であると言えるでしょう。 「飲料水」と「清涼飲料」よく似ていますが、「清涼飲料」は主にアルコールを含まない炭酸飲料を指します。 「水分の多い食品」としては水分の多い「ゼリー」や「果物」といった「デザート」も類語として当てはまるでしょう。
「水物」の「状況によって変わりやすく予想しにくいこと」という意味の類語には、
があります。 「不確か」や「あやふや」は、「物事が確実ではなく、はっきりしないこと」という意味です。 「ボラティリティ」は証券用語で、価格変動性のことを言います。 価格変動が大きいと「ボラティリティが大きい」と言います。 状況によって大きく左右されるものなので、「水物」の類語になります。
例文
「水物」は、形がなく液状のものを指す言葉なので対義語は「固形物」になります。 「固形物」は、形状が固形体で、固まっているものを指します。 「ごはん」「魚」というように、歯で噛んで飲み込む固形食を意味することが多いです。
例文
「水物」の「状況によって変わりやすく予想しにくいこと」という意味での対義語は、
などがあります。 「確実」や「明確」には、「はっきりしていて確かなこと」と意味します。 「鉄板」は、鉄を伸ばして板状にしたものですが、「堅くて頑丈」ということから転じて「確実であること」という意味でも使用されています。
例文
「液体」の英語は「liquid」、「飲み物」の英語は「drink」です。
「水っぽい」を意味する英語は「watery」です。 「水」を意味する名詞「water」の形容詞形です。
「当てにならいもの」という意味の「水物」の英語は、
などになります。
Luck play a big part in exams.
試験は水物だ。
いかがでしたか? 「水物」について理解していただけたでしょうか? ✓「水物」の読み方は「すいぶつ」ではなく「みずもの」 ✓「水物」の意味は「飲み物」「水分を多く含む食品」 ✓「水物」には「状況によって変わりやすく予想しにくいこと」という意味もある ✓「〜は水物だ」の形でビジネスなどで幅広く使う など