「懸念」「危惧」「心配」「懸案」といった似た意味を持つ言葉がありますが、違いについて理解しているでしょうか。今回は「懸念」「危惧」「心配」「懸案」との違いについて解説していきます。また、それぞれの意味と使い方、例文を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
▶︎懸念
▶︎危惧
▶︎心配
▶︎懸案
「懸念」は「けねん」と読みます。 「けんねん」と読むことも出来ますが、「けねん」と読むのが一般的です。 「懸」は音読みだと「ケン」、訓読みだと「かける」「かかる」と読みます。 「懸」は「物に引っかかる」「決着していない」「心にかける」を意味しています。 「念」は音読みだと「ネン」、訓読みだと「おもう」と読みます。 「念」は「一途に思いを込める」「いつまでも心に留める」「思い詰めた考えや気持ち」を意味しています。
「懸念」の意味は、
となります。 「懸念」は心が引っかかるということから、「気にかかって心配になる」という意味になったそうです。 「懸念」はプラスな意味合いというよりも、マイナスな意味合いになります。
「懸念」は、何らかの問題に対して心配事が生じた場合に使う言葉です。 「心配すること」を意味する言葉はたくさんありますが、「懸念」は、将来起こる可能性がある出来事に対して心配をする場合に使います。 例えば、「インフルエンザの感染拡大が懸念される」といった場合は、「インフルエンザの感染がこれから広まるかもしれないから不安に思う」といった意味合いになります。 「懸念」はビジネスシーンにおいては、問題点や不安点を指摘する際に用います。 「懸念」は「不安」や「心配」といった言葉に言い換えることも可能ですが、「懸念」を使うことによって文章がより丁寧でフォーマルになります。
⚠︎「懸念」に似た言葉に「懸想」があります。 「懸想(けそう)」は「想いを懸ける」と書くことから、「思いをかけること」「恋い慕うこと」を意味しています。 「懸念」と「懸想」は全く意味が異なるので間違わないように気をつけましょう。
など
「危惧」は「きぐ」と読みます。 「危」は音読みだと「キ」、訓読みだと「あぶない」「あやうい」と読みます。 「危」は「あやぶみ」「害する」「損なう」を意味しています。 「惧」は音読みだと「ク」、表外読みだと「く」「おそれる」と読みます。 「惧」は「おそれる」「おそれ」を意味しています。
「危惧」の意味は「あやぶみおそれること。不安心。気がかり」です。 物事が上手くいかないのではないかと危ぶむこと・悪い事が起こるのではないかと恐れることを表します。 「危惧」には「心配している事を恐れて、起きないようにしたいと考える」というニュアンスが含まれます。 主に「◯◯を危惧する」と使います。「絶滅を危惧する」「倒壊を危惧する」といったように「危惧」は対象が具体的です。 「ものすごく危険である」「危険な状況が迫ってきている」といったことを強調したい場合に「危惧」と表現します。
「危惧」はまだ起きていないが、今後よくない事態になる、または悪い結果となってしまうことを予想し、心配することを指します。 「危惧」は、物事に対して自分が直接的に危機感を示しているのではなく、ある事柄に対して第三者の視点から論じる立場にあるとき使用することが多い言葉です。 例えば「絶滅危惧種」といった場合は、「絶滅するのではないかと危ぶまれる生物種」のことを言います。 「懸念」と似ていますが、「懸念」よりも対象が具体的です。「危惧」の方がより危機が迫っているイメージが強い言葉になります。 「危惧」は口頭で使うことは少なく、主に書き言葉として使います。
「心配」は「しんぱい」と読みます。 「心」は音読みだと「シン」、訓読みだと「こころ」と読みます。 「心」は「 人間の理性・知識・感情・意志などの働きのもとになるもの」を意味しています。 「配」は音読みだと「ハイ」、訓読みだと「くばる」と読みます。 「配」は「釣り合いよく並べる」「割り当てる」を意味しています。
「心配」の意味は、
となります。 「心配」には「現在もしくは将来のことが気になって心を悩ませる」というニュアンスが含まれます。
「心配」は、まだ起こっていない悪いことが実現するのではないか、と不安に思う際に使用する言葉になります。 「心配」は例えば、「明日の朝起きられるか心配だ」「テストで赤点を取らないか心配だ」など、多くの場面で使用することができます。 物事の先行きなどを気にして心を悩ますといった意味は「懸念」と似たような場合に使用されますが、「心配」は一般的に漠然とした心の不安を指す使い方をします。
「懸案」の読み方は「けんあん」です。 「懸念(けねん)」のように、「けあん」と読み間違わないようにしましょう。 「懸」は音読みだと「かん」、訓読みだと「かける」と読みます。 「懸」は「決着がつかない」「心が落ち着かない」を意味しています。 「案」は音読みだと「あん」、訓読みだと「かんがえる」「つくえ」と読みます。 「案」は「考え」「予想」「調べる」を意味しています。
「懸案(けんあん)」は、「解決を迫られながらも解決されずにある問題」「前から問題になっていたが、まだ解決されていない事柄」のことです。 二つを合わせると「決着がついていない問題」という意味になります。
「懸案」は、解決しなくてはいけない問題や事柄について使います。 「懸案」は解決されなくて少し困っている程度の問題ではなく、長いこと悩み苦しんでいる問題となります。「懸案」は以前起きた出来事に対して使う場合がほとんどです。 「懸案」の前に、「長年の」「最大の」「かねてより」「◯年越しの」といった言葉を付けると、より問題の重要さを強調することができます。 例えば、「長年の懸案事項の解決を急がれる」といった場合は、「以前より問題となっている事柄の解決を進める」という意味になります。 「懸案」は典型的な「お役所言葉」なので、公的機関の発表する文章やスピーチ・ニュース記事など、堅いシチュエーションで使われる言葉になります。ビジネスシーンで使うこともありますが、日常会話ではほとんど使わない言葉です。
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