「倫理(りんり)」の意味は、生きていく上で、人として守るべき道です。例えば「倫理観」は、生きていく上で人として守るべき道理のことをいいます。「道徳(どうとく)」の意味は、社会生活の秩序を成り立たせるために人が守り従うべき規範です。例えば「道徳観」は、して良いことと、悪いことの判断の規範となる考え方のことをいいます。
「道徳」と「倫理」はよく混同される言葉です。 「道徳」の語源は英語「moral(モラル)」です。 「倫理」の語源は英語「ethics(エシックス)」です。 「道徳」と「倫理」を辞書で調べると、どちらも「人がふみ行うべき行為の規範」などと書いてあり、同義語の扱いがされています。 しかし厳密には「モラル(道徳)」と「エシックス(倫理)」には意味に違いがあります。 「道徳」は社会全体における善悪の判断基準を指すのに対して、「倫理」は特定の集団や職業における善悪の判断基準を指します。 また「道徳」は個人の内的な自発性を重視するのに対して、「倫理」は客観性を重視します。 「社会道徳」「公衆道徳」「交通道徳」などの熟語も社会的に個人が法律などの外的圧力なしに、ふみ行うべき行為の規範を示しています。 一方「職業倫理」「政治倫理」などは職業的に個人がふみ行うべき行為で、守らなければ罪に問われる可能性があります。 例えば、医師が患者から家族に自分の病気のことを伝えないでくれと言われた場合、「真実を伝える」という道徳的な正しさよりも、「患者のプライバシーを守る」という倫理的な正しさを優先させるでしょう。 このように、道徳と倫理は必ずしも一致するわけではありません。
「倫理」は「りんり」と読みます。 「倫理」の意味は「人として守って行うべき道」です。 「倫」は「人の守るべき道」、「理」は「物事のすじみち、ことわり」を意味します。 生きていく上で守るべきことや、社会的に正しい考えなどを「倫理」と言います。 「倫理」は、個人のことから社会全体まで広範囲で使います。 「倫理」は、「倫理学」の略としても使われています。科目の一つとして「倫理」がある高校もあります。
というような使い方をします。 「倫理にもとる」「倫理に反する」は「人の道を外れる、良くない行動であること」を意味します。 「倫理観」は「生きていく上で、人として守るべき道理」を表します。「倫理観」には規則や法律など、広く認識されている考えも含まれます。 「倫理観がある」「倫理観がない」「倫理観に欠けた」「倫理観を持つ」などと、人の様子を指して使うこともあります。
例文
「道徳」は「どうとく」と読みます。 「道徳」の意味は「社会生活の秩序を成り立たせるために、人が守り従うべき規範」です。 「道」は「人が守るべきこと」、「徳」は「人として意味のある行い」を意味します。 「道徳」は社会的に決められたことではなく、今までの経験や教育を参考にして自分自身で決めたルールを指します。 「道徳教育」と言うように、「道徳」は小・中学校の科目の一つでもあります。生命の大切さや善悪の判断を学ぶことを目的としています。
というような使い方をします。 「道徳観」とは「して良いことと、悪いことの判断の規範となる考え方」を意味します。「道徳観がある」「道徳観が強い」などと言います。
例文
「倫理(りんり)」と「道徳(どうとく)」は、どちらも人がふみ行うべき行為の規範となるもののことをいいます。 ただし、「道徳」は社会全体における善悪の判断基準を指すことが多いのに対し、「倫理」は特定の集団や職業における善悪の判断基準など広く使われます。