「責任転嫁」と「責任転換」はとてもよく似ている言葉ですが、この二つ言葉の違いはご存知でしょうか。実は、「責任転換」は「責任転嫁」の誤用が広まり一般的に使用されている誤用です。今回は、「責任転嫁」と「責任転換」の意味や使い方、違いを紹介いきますのでぜひ参考にしてください。
責任転嫁・・・自分が負うべき責任を他者になすりつけること 責任転換・・・「自分が負うべき責任の方向を変えること」という意味で使われているが、誤用なので注意!!
「責任転嫁」は「せきにんてんか」と読みます。 「責任転嫁」の意味は、「本来自分が負うべき責任や罪科を他者になするつけること」です。 「転嫁」という言葉は元々「再婚」という意味で使用されていました。 この場合の「嫁」という字は「よそへやる」という意味の「嫁がせる」という動詞として使われていて、「転」は「転居」という「別の場所へ移す」という意味で使用されています。 この「再婚」という意味であった「転嫁」から転じて「責任を他へ移す」という意味で「責任を転嫁する」と表現されるようになったというのが「責任転嫁」の語源です。 「責任転嫁」は、責任や罪科を他者になするつける場合に使用する言葉であるため、 「花瓶を割ってしまったことを、隣にいた友人のせいにした」 というように、必ず第三者がいる場合に使用されます。 したがて、「失敗や罪を黙っていた」というような場合には「責任転嫁」とは言えませんので注意してください。
「責任転換」は、「せきにんてんかん」と読みます。 「責任転換」は、「責任転嫁」の読み間違いや書き間違いが広まって使用されるようになった言葉で、「責任転嫁」と同じく「責任や罪科を他者になすりつける」という意味として利用されている言葉です。実際には誤用なので注意!! 「転換」とは、「物事の方針・傾向を別の向きに変えること」という意味のある言葉で、「話の転換」「政策の転換」といった使い方をする言葉です。 本来は「転換」と「転嫁」は異なった意味をもつ言葉ですが、「転換」を「自分の責任の方向を違う人に向ける」という意味合いで違和感なく使用してしまっている傾向にあると言えます。 「責任転換」という言葉は一般的に使用されている言葉ではありますが、あくまでも正しい言葉は「責任転嫁」であるということを頭に入れておきましょう。
責任転嫁を使用した例文 「彼は、自分がした失敗の責任転嫁をした」 「責任転嫁をするつもりはありませんが、弁解させてください」 「部長が部下に責任転嫁をするような発言を耳にしてから信頼できなくなった」 「屁理屈を並べて責任転換も甚だしい」 「○○さんは、どんなときも責任転嫁をしない信頼できる人です」 「○○さんは、社長に責任転嫁されて非常に腹をたてていた」 「責任転嫁ばかりしてないで、自分のミスをみとめたらどう?」