「割愛」という言葉をご存知でしょうか。ビジネスシーンでは。プレゼンなどの発表の場でよく聞くと思います。この「割愛」という言葉ですが、「愛を割く」と書くので、少し変わった感じがしますよね。では、「割愛」の意味は何なのでしょうか。そもそも「割愛」の読み方について知っているでしょうか。このように疑問に思う部分が多々ありますよね。そこで今回は「割愛」の意味や使い方、語源、類語について解説していきます。正しい意味を知って、上手く使いこなせるようにしましょう。
「割愛」は<かつあい>と読みます。 「わりあい」とは読まないので注意しましょう。 「割」は音読みだと「カツ」、訓読みだと「わる」「わり」「われる」「さく」と読みます。 「割」は「別々に分ける」「一部を分けはなす」を意味します。 「愛」は音読みだと「アイ」、訓読みだと「いとしい」「めでる」「かなしい」と読みます。 「愛」は「大事なものを手放したくないと思う」「おしむ」を意味します。 「割愛」の意味は、
となります。 「割愛」を”省く”という意味で、「省略」と同じように使っている方も多いと思います。 ただ、「割愛」は単に不要な部分をカットするという意味ではありません。 「割愛」は「”愛”着のあるものを、仕方なく”割”って断ち切ること」です。 ですので、「必要だけれど、やむを得ずカットしたり捨てたりする」という意味合いになります。 「必要ないものを省く」という意味ではないので注意しましょう。
実は、「割愛」は仏教用語です。 主に、出家する際のことを言っていたそうです。 出家とは「家を出て仏門に入ること」「俗世間を捨て、仏道修行に入ること」を意味します。 愛する家族や故郷から旅立つことを表しており、出家には相当な覚悟が必要でした。 出家する時に、愛する家族や故郷を離れて寺に入ること、愛する人から引き裂かれる思いを「愛を割く」すなわち「割愛」と言い、これが転じて”惜しみながらも気持ちを断ち手放す”という意味で使われるようになりました。 また、「割愛」は養蚕用語でもあります。 蚕の交配を人為的に中断させることを「割愛」といったことから、これが語源とも言われています。 蚕というのは雄と雌が交尾の時にかなり固く結びついて離れようとしません。それが卵を産み始める前にも弱くなりそうなほど長くくっついていることもあり、無理矢理話すのですが、これを「愛を割く」すなわち「割愛」と言ったそうです。
「割愛」は「必要だけれど、やむを得ず省略したり捨てること」を意味しています。 ですので、「この部分は必要ないので、割愛させていただきます」「あまり重要でないので割愛します」といったような使い方は間違いになります。 正しくは、「掲載を見送ったものもレベルの高い作品だったが、紙面の都合上割愛した」といったように使います。これは「本当は掲載したかったけれど紙面の都合により、惜しくも掲載できなかった」という意味になります。 他にも、「北海道に旅行に来たけれど、お寿司屋さんへの訪問は時間の都合上、割愛する」と言った場合。 これは、「他のものが食べたいから、お寿司は食べなくてもいい」という意味ではなく、本来は「前からお寿司が食べたかったけれど、帰りの飛行機が間に合わないため残念だがお寿司は我慢する」という意味だと解釈できます。
例文
「省略(しょうりゃく)」の意味は「簡単にするために一部分を略してはぶくこと」です。 「省」は音読みだと「セイ」「ショウ」、訓読みだと「かえりみる」「はぶく」と読みます。 「省」は「不要のものとして取り除く」を意味します。 「略」は音読みだと「リャク」、訓読みだと「ほぼ」と読みます。 「略」は「不要のものとして取り除く」を意味します。 「ここの箇所は割愛させていただきます」 「ここの箇所は省略させていただきます」 2つとも同じ感じがしますが、何か違いはあるのでしょうか? 「省略」には、「割愛」のように省くことを惜しむという気持ちは含まれません。 ですので、「省略」は単純に説明を分かりやすくするために不必要な部分を省くことを表します。 「ここの箇所は割愛させていただきます」と「ここの箇所は省略させていただきます」とした場合。 前者は、「ここの箇所は説明が必要なのですが、様々な事情により省きます」という意味になります。 後者は、「ここの箇所は説明は必要ないので、省きます」という意味になります。 他にも、結婚式で司会者が祝電を紹介するときに「その他、多数の皆様よりご祝電を頂戴しておりますが、時間の都合上、割愛いたします」と言います。 これは、「本当は全部紹介したいけれども、時間の関係上、仕方がないのでご了承ください」という意味合いになります。 ここでもし、「省略いたします」と言ってしまうと、「時間がないので、当たり前ですが省きます」と非常に失礼になってしまいます。間違えないように注意しましょう。
▶︎「割愛」・・・「必要だけれど、仕方なく省くこと」 ▶︎「省略」・・・「説明を分かりやすくするために、不必要な部分を省くこと」
例文
省く (意味: 不要のものとして取り除く) 「時間がないので、ここの説明は省きます」 端折る<はしょる> (意味: ある部分を省いて短く縮める) 「詳しい解説につきましては、端折ります」 飛ばす (意味:途中を抜かして先へ進む) 「重要でない部分は飛ばして読む」 カットする (意味:一部分を削ったり、省いたりすること) 「一部分をカットして放送する」 スキップする (意味:ある箇所を飛ばして先へ進むこと) 「広告を自動でスキップする」 抜きにする (意味:物事を進める際に、一部に手をつけずに先に進むこと) 「朝御飯を抜きにして出社する」 オミットする (意味:除外すること。省くこと) 「違反者をオミットする」 除外 (意味:その範囲には入らないものとして取りのけること) 「小学生は料金の対象から除外される」
「割愛」には「公務員が、他の自治体や民間企業などへ籍を移すこと」「大学など公的な組織が、他の組織からの要請で人材を手放すこと」という意味があります。 「割愛採用」 ==> 「割愛」とは必要であるが、惜しいと思いつつも手放すことです。 ですので、「割愛採用」は、他の機関から転籍してもらうときに使う言葉になります。 相手の機関に、『手放すのは惜しいでしょうが、こちらにください』と頼んで採用することです。 能力が認められて、採用されたことになります。この採用形式が行われるのは主に、公務員や大学教員です。 「割愛願」 ==>「割愛願」とは「大学の職員が、他大学へ籍を移すことを依頼すること」です。 手続きの形式上、移籍先が『割愛してほしい』と申請することから、「割愛願」と言います。 もう既に、別の大学の職員や教員として働いている人を採用したい場合には、この「割愛願」を提出するようになっています。 「割愛人事」 ==> 「割愛」とは、惜しいと思いつつも思い切って断ち切ることです。 ですので、「割愛人事」とは個人の感情を断ち切って、組織・集団として有益になるように行われる人事となります。主に、公務員が他の自治体に移るときにこの「割愛人事」を行います。 基本的に、公務員の国から地方自治体への異動という形式ですが、公務員から民間企業などへ籍を移すことも「割愛人事」となります。 「割愛退職」 ==>これは、公務員で発生する退職を表していて、普通の退職とは意味が異なります。 国側から一地方へと割愛する場合は、その依頼を地方側から国に対して行います。 地方に採用させるときは、対象の職員を国側が”退職させる”手続きを行わなければいけません。 ですので、一度退職させなければいけないということです。この場合の退職を「割愛退職」と言います。
「割愛する」は英語で、
になります。
Please allow me to leave out the explanation today.
本日は説明を割愛させてください。
科学的に正しい英語勉強法
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「割愛」について理解できたでしょうか? ✔︎「割愛」は「わりあい」ではなく、「かつあい」と読む ✔︎「割愛」は「必要だけれど、仕方なくカットしたりやむを得ず捨てること」を意味 ✔︎「省略」には「割愛」のように、「省くことを惜しむという気持ち」が含まれない ✔︎「割愛」の類語は、「省く」「端折る」「カットする」などがある