「以前」という言葉はよく使いますよね。「以前、お会いした」「12日以前に...」などと言います。では、「以前」の意味についてきちんと理解しているでしょうか。なんとなくの意味は分かりますが、数字を含むのか含まないのかだったり詳しくは知らないという人が多いかと思います。また、「以降」や「以後」だったりと似たような言葉がたくさんあるため、区別するのが難しいです。正しく使用できるようにするには、意味を適切に知るのと、類語との使い分けが必要になります。そこで今回は「以前」の意味と使い方、類語との違いについて解説していきます。
「以」は「ある時・所を起点としてそれより」、「前」は「ある時点よりもまえ」を意味します。 1つ目の意味は「その時よりも前。ある時点より前」です。 「1月15日以前」といった場合、「1月15日」は含みます。
例文
「以」という言葉は、基準の数値を含むのが一般的ですが、「昭和時代以前」や「第二次世界大戦以前」などとした場合は、「昭和時代」や「第二次世界大戦」を除いたそれより前を表すこともあります。 「〜より過去において」という意味になります。 その場合の意味は「ある状態や時期に達する前までの段階、ある段階レベルまでまだ至っていないこと」となります。
例文
「以前」には「今より前の時点。現在から近い過去」といった意味もあります。 それほど遠い過去ではなく近い過去を指しますが、明確な範囲は決まっていません。 この副詞の「以前」はビジネスシーンにおいても頻繁に使われます。 日常会話でも用いる「前にお伝えした」「前からお世話になっている」よりも「以前お伝えした」「以前からお世話になっている」を使うと丁寧な印象があります。
例文
「以前」は法律用語としても使われます。 法律においての「以前」は、一定の日時より起算したその前の時間的間隔や時間の連続を表します。 例えば、「平成20年9月15日以前」といった場合は「平成20年9月15日」を含めたそれより前の時間的広がりを表します。 単に「平成20年9月15日前」といったように「前」と言ってしまうと、基準の日を含みません。 この場合は「平成20年9月14日」から前の時間を表します。 また、「以後」は一定の日時より起算したその後の時間的間隔や時間の連続を表します。 「以後」という言葉も「以前」と同じく、基準時点を含み、「後」とした場合は含みません。
「以降」は「ある時から後。以後」です。 「以」は「ある時・所を起点としてそれより」、「降」は「その時からあと」を意味します。 「以降」は「その日からその時間からずっと」という意味で、比較的長い期間を表します。 「朝9時以降」「14日以降」といったように、「◯◯以降」という形で使われます。 「以降」は過去のことであっても、未来のことであっても表すことができます。 例えば、「4月1日以降」であったら「4月1日を含んだ、その後ずっと」という意味になります。
例文
「以後」は「その時点から後。これから後。今後」です。 「以」は「ある時・所を起点としてそれより」、「後」は「時間的にあとの方。のち」を意味します。 「以後」は「これから先のこと。今後」という意味で、それを含んでその後からを表します。 また、「以後、気をつけます」「以後、注意します」といったように「今からのち」という意味でも使います。
例文
「以降」と「以後」は同義語となります。 ただ数値を用いる場合は「3日以降」など「以降」を用いることが多くなっています。 文章の頭につく場合は「以後気をつけます」など「以後」を用いることが多くなっています。
「以前」・・・「その時よりも前。ある状態に達する前までの段階」 「従来」・・・「以前から今まで。これまで」
「従来」の意味は「以前から、これまで、在来」です。 「従来」と「以前」は非常に似ていますが、意味合いが少々異なります。 「従来」は「前から今まで」と過去から現在で、「以前」は「今より昔」と過去を表しています。 例えば、「以前の方法」だったら「前までの方法」、「従来の方法」だったら「前から今までの方法」となります。
例文
「以前」・・・「その時よりも前。ある状態に達する前までの段階」 「かつて」・・・「過去のある時点にその事柄が成立したさま」
「かつて」の意味は「昔、あるとき、いつぞや」です。 「かつて」は「昔、前に」と過去のある一時期を表し、今は含みません。 「かつて」と「以前」はどちらも過去を表す語ですが、「かつて」は数百年前から数年前とかなり昔のことを指しているのに対して、「以前」は思い出せる範囲、数ヶ月前や数日前のことを指します。 「かつて」と「以前」は表す範囲が異なります。 また、「かつて」には「今まで一度も。ついぞ」という意味も含まれます。 「未だかつて聞いたことなのない騒ぎだ」「その町はかつてない賑わいを見せている」などと使います。 「以前」にはこのような意味は含まれません。
例文
前に (意味:以前に。さきに) 「彼女とは前にお会いしたことがあります」 予て(かねて) (意味:前もって。あらかじめ。前々からずっと) 「Aさんには予てお世話になっています」 今まで (意味:今の時まで) 「今までずっと待ってたよ」 これまで (意味:この時まで。このところまで) 「これまで君は何をしていたんだ」 この間 (意味:近頃。この頃。先日) 「この間久しぶりにアニメを見たけど面白かったよ」
「以前」・・・「その時よりも前。ある状態に達する前までの段階」 「依然」・・・「前と変わらないさま。もとのとおりであるさま」
読み方は同じですが「依然」と「以前」は全く意味が異なります。 「依然」は「もとのままであるさま。前の通りであるさま」です。 前の状態と変わらずに続けていることを表します。 「依然」は「依然として」という形で、「依然として東京に住んでいる」「依然として手がかりがない」などと使います。 代わりに「以前として」と使うことはできません。
「以上」は「程度・数量などについて、それより多い、または優れていること。法律や数学などでは、基準の数量を含みそれより上」を意味します。 「以下」も同様に「程度・数量などについて、それより少ない、または劣っていること。法律や数学などでは、基準の数量を含みそれより下」を意味します。 ですので、「18歳以上」は「18歳を含んだ、それ以上の人たち」を表し、「18歳以下」は「18歳を含んだ、それより下の人たち」となります。
「以上」と「以下」も、「以前」と同様に「○○以上」の○○を含まない場合があります。 例えば「君の実力は私以上だ!」と使った場合は「私の実力」は含まれません。 それよりも上回っていることを表します。
「以前」は英語で「before」、 「以前から」は英語で「since a while ago」 になります。 「before」は過去形または現在完了形の文章で使います。 「since」は現在完了形の文章で使い、過去形の文章では使用できませんので注意してください。
I' went to Tokyo before.
以前東京に行きました。。
I've been interested in going to Tokyo since a while ago.
以前から東京に行くことに興味がありました。
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「以前」について理解できたでしょうか? ✔︎「以前」は「その時よりも前。ある状態に達する前までの段階。今より前の時点」を意味 ✔︎「5月15日以前」といった場合は「5月15日」も含む ✔︎「以前」の類語には、「前に」「あらかじめ」「これまで」などがある ✔︎「以後」や「以降」や「以上」など「以」を用いた言葉は、基準の数値を含む