「相伴」という言葉をご存知でしょうか。「ご相伴に与かる」「お相伴する」などと使います。では、「相伴」とはどのような意味なのでしょうか。「相伴」はビジネスシーンで使うことが多い言葉ですが、読み方や意味が分からないという方もいるかもしれません。また、実際には見聞きしたことがなくても映画や小説の中で見たことがあるという方もいるかと思います。「相伴」はよく使う表現なので、意味をしっかりと覚えておく必要があります。そこで今回は「相伴」の意味や使い方、敬語表現、類語について解説していきます。適切に覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「ご相伴」はごしょうばんと読みます。 「ごあいはん」「ごそうはん」とは読まないので注意しましょう。
「相伴」には、 1.一緒に行くこと 2. 食事の場で、もてなしを受けること 3. 人の相手役を務めて、一緒に飲み食いすること 4.(比喩的に)他人とのつり合いで利益を得ること と4つの意味があります。現代では1の意味で使うことはほとんどありません。 主にビジネスシーンにおいて、2〜4の意味で用いられています。
元々「相伴」は茶道用語です。 メインの人、最上位の客を「正客(しょうきゃく)」、その人と共にお茶の席に招かれる人を「相伴」と呼びます。 「相伴」は主ではないものの、正客に連れておもてなしを受ける人を表します。 お茶の席では、まず正客にお茶をご馳走し、次に隣の席に座っている相伴にお茶を出します。相伴はお茶をもらう時に、正客と主人に対して「ご相伴いたします」「ご相伴させていただきます」などと声をかけてから飲みます。 これは「あなたと共に厚遇を受けられて嬉しいです」と感謝の気持ちが込められています。茶道は礼儀作法に厳しいということもあって、「相伴」という言葉を用いることで正客に対して敬意を示すことができます。
一般的には、和語に「ご」が付き、漢語に「お」が付くというルールがありますが、例外が多いため、絶対このルールでなければ不適切とは言い切れません。
結論から言うと、「ご相伴」と「お相伴」のどちらも正しい表現になります。 漢字にすると「御相伴」となり、「御」は「ご」とも「お」とも読めるためどちらも間違いではありません。 「相伴」は漢語なので、そのルールであると「お」となりますが、「ご相伴」もよく使われています。
「ご相伴/お相伴」は、「相伴」に敬語の接頭辞「ご」「お」が付いた言葉です。 自分の行為に対して「ご相伴/お相伴」は使っていいのか?自分を敬っていておかしくないか?と勘違いしている方がたまにいますので、敬語の解説を少しします。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。 「尊敬語」・・・相手を高めて、その人に敬意を表す語 「謙譲語」・・・自分や身内をへりくだることで、相手を高める語 「丁寧語」・・・ものごとを丁寧に表すことで、聞き手に敬意を表す語
「ご相伴/お相伴」は使い方によって、目上の人の行為を敬う尊敬語の場合と、目上の人に対する自分の行為をへりくだる謙譲語の場合があります。 自分の行為に対して「ご相伴/お相伴」を使う場合は謙譲語、と覚えておけば問題ないでしょう。
逆に自分が目上の人の相手役を務めて食事の会を全うする際にも「ご相伴/お相伴」は使います。(「相伴」の3つ目の意味) この場合の「ご相伴/お相伴」は謙譲語になります。 「ご(お)相伴する」「ご(お)相伴させていただく」という表現を使います。 「ご(お)相伴させていただく」の「いただく」は謙譲語なので、「ご(お)相伴させていただく」は二重敬語(同じ種類の)ではないかと思う人がいるかと思いますが、正しい表現になります。「ご(お)〜いただく」は一つの定型文になっていて成立しているので、正しい表現になります。「いただく」と一緒に使う「ご(お)」は丁寧語と解釈して二重敬語ではない、とすることもできます。
例文
「ご相伴にあずかる」はビジネスシーンでは目上の人からもてなしを受ける時によく使います。(「相伴」の2つ目の意味) 比喩的に、目上の人とのつり合いで利益を得るときにも「おこぼれをいただく」というニュアンスでも使います。(「相伴」の4つ目の意味) その場合は、「ご相伴/お相伴」は尊敬語になります。 「あずかる」は漢字で「与る」になります。
例文
同席させてもらったことやそのおかげで利益を得た際、相手に感謝をするときに「ご相伴にあずかりまして、ありがとうございました」を使います。 「お供させていただきありがとうございました」「おこぼれをいただきありがとうございました」といった意味になります。
例文
上司など目上の相手に「同席させてほしい」「ご一緒させてください」と伝えるときに「ご相伴にあずかりたい」と言います。 この場合は食事や趣味など、仕事以外の話題のときに使える表現です。
例文
お供する相手から「ご相伴にあずかります」と言われた場合は「今日はよろしく」などと使いましょう。 また、同席してくれる相手が取引先などこちらにとっても目上の相手の場合は「同席していただき助かります」など、場や相手を考えて返事をしましょう。
同席した人から「ご相伴にあずかりまして、ありがとうございました」などと言われた場合は、感謝の言葉に対して「どういたしまして」と伝えましょう。 また、「こちらこそ同席してくれてありがとう」などと伝えるとより良いでしょう。
もし、部下や後輩に「ご相伴にあずかりたい」と言われた場合は「ぜひ」「良ければどうぞ」などと答えましょう。 「一緒に連れてってください」という言葉を丁寧にし相手を立てて使っているため、快く受け入れる言葉を使いましょう。 ただ、社交辞令で言っている場合もあるのでどこまで本気で言っているのか見極める必要もあります。
「随伴」の意味は「お供としてつきしたがうこと、一緒についていくこと」です。 また、ある物事に伴って起こることも「随伴」と言います。
例文
「伴食」の意味は「主客のお伴をして、ごちそうになること」です。 「伴食の栄を賜る」といった使い方もされます。 これは「お伴をさせていただける栄誉をいただく」といった意味になり、相手に対して強い敬意を払うことができます。 ただ、「伴食」には「役職や地位がありながら、実力や実権が伴わずなすがままに人任せであること」といった意味もあるため、使う歳には気をつけましょう。
例文
「付き添い」の意味は「人のそばにいて、あれこれ面倒を見ること」です。 自ら「付き添います」「付き添わせていただきます」というと「私が面倒を見ます」といったニュアンスで伝わってしまうこともあるため、注意が必要です。
例文
「陪食」の意味は「立場が上の人と食事をすること」です。 陪食は相手が目上の相手の人に対してのみ使います。
例文
「唱和」は一人がまず唱え、それに続いて他の多くの人たちが同じ言葉を唱えることを意味します。 特に乾杯の挨拶で用いられています。
乾杯の挨拶では、「ご紹介にあずかりました」と使われます。 「乾杯の挨拶を○○様お願いいたします」などと司会者から言われた場合に「ご紹介にあずかりました○○です」と使います。
乾杯の挨拶で「ご唱和」を使う場合は「ご唱和ください」です。 これは、乾杯の挨拶をする人が「乾杯!」といった後に続けて「乾杯!」とみなさん言ってください、ということになります。
「私は彼らから、おもてなしを受ける」の英語表現は、
などなど。
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「ご相伴」について理解できたでしょうか? ✔︎「ご相伴」は「ごしょうばん」と読む ✔︎「ご相伴」は「もてなしを受けること。一緒に飲み食いすること。他人とのつり合いで利益を得ること」を意味 ✔︎「相伴」を敬語にすると、「お相伴」と「ご相伴」になる ✔︎「相伴」の類語には、「随伴」「陪食」などがある