「模索」という言葉をご存知でしょうか?日常会話やビジネスシーンなどでも、見聞きすることが多いですよね。そこで今回は「模索」の意味や使い方、例文について解説していきます!「模索」の類語や対義語についても紹介します。
「模索」の読み方は「もさく」です。 「模索」の同音異義語には「模作」があります。「模作」の意味は、「あるものを手本として、真似をして作ること」です。
「模索」の漢字は「摸索」と書くこともありますが、「模索」が普通です。 ニュアンスの違いもありません。 「模索」と「摸索」の違いは、常用漢字か常用外漢字であるかという点のみです。 元々は「摸索」と表記されていましたが、「摸」が常用外漢字に指定されたため代わりに「模索」と記すのが一般化しました。
「模索」の意味は「色々と試しながら探し求めること」です。 「模」は「何かをたよりに探すこと」という意味で、「模写」「模範」などの熟語が使われています。 「索」は「求めたり、探すこと」という意味で、「思索」「捜索」などの熟語があります。 「模索」は同じ意味の2つの漢字から成る熟語です。
「模索」を含む有名な四字熟語に「暗中模索(あんちゅうもさく)」があります。 「暗中模索」の意味は「手掛かりがないなかで、解決策を試みること」です。 元々は「暗闇の中で探し回る」という意味で使われていましたが、転じて「状況不明のなか、色々と試す」という意味で使用されるようになりました。 目標に向かって色々試している姿勢を表しているので、前向きな言葉として使われます。 「暗中模索」の類語の四字熟語には「五里霧中」があります。 「五里霧中」の意味は「物事の状態が分からず、方針や見通しが全く立たないこと」です。 とてもよく似ていますが、「暗中模索」よりも「五里霧中」の方が、立ち止まっている・戸惑っているという意味が強いネガティブな響きがあります。
「模索」は、「物事の答えがはっきりとしない状況で方法論も確立されないが、手先の感覚のみで探し求めていく」という意味合いで使います。 不明確な状況下で探し求めることなので、模索している人や組織には不安や恐怖、悲壮感が漂っていうのが想像できます。答えを求めて探しにいく行為そのものはポジティブなのですが、状況が読めないのでネガティブな響きを伴う言葉です。 「模索する」「模索している」「模索中」などの形で使います。 「模索中」は「模索している最中」という意味です。 「模索」は日常会話とビジネスシーンのどちらでも使うことが可能です。 ビジネスでは、「トラブルの解決策」「サービスの改善策」「競合他社への戦略」など、放置しておいては問題になる事柄に対して「模索」を使うことが多いです。 日常生活では、抽象度の高いことを探し求めているときに使います。 例えば、「生き方を模索する」「人生模索中」などと使います。 逆に、「メガネを模索中」などと一般的な物事に対して使うと少し不自然です。
例文
「模索舎」は新宿にある書店です。 大手書店では取り扱っていない、自主制作作品や少流通出版物を扱っている書店になります。同人誌や市民団体が作成したパンフレット、自主制作CDなど「模索舎」にしかない本や物を多く揃えています。 自主制作作品の持ち込みについては、原則無審査で行なっているそうです。 余談でした。。。
「模索中」と似た表現に「検討中」がありますが、「模索」と「検討」の意味は違います。 「検討」の意味は「物事をよく調べて、良いかどうか考えること」です。 表面的に調べるだけではなく、資料や過去のデータなどを参考にして、色々な方面から調べることを表します。 「検討する」「検討を加える」「検討を重ねる」などと使います。 簡単に比較すると、 「検討」:「よく調べて考えること」 「模索」:「探し求めること」 です。 例えば、上記でも紹介した「人生模様中」なら「生きる意味を探している、生きがいを求めている」という意味になりますが、「人生検討中」とすると意味不明です。 「検討」は「よく調べる」という意味があるので、「模索」の目的語はより具体的なものであるべきです。 例えば、「問題を検討中」「提案を検討中」などと使います。
「検討」の例文
「思索」の意味は「理にかなった考えをめぐらすこと」です。 ただ考えることではなく、論理的に順序立てて考えることを表します。 「思索にふける」「思索する」「思索をめぐらす」などと使います。 「索」が「探し求める」という意味で、「模索」でも「思索」でも意味は同じような感じがしますが、異なります。 「思索」の意味は「論理的な考えを巡らすこと」です。 「模索」の意味は「あれこれと試しながら探し求めること」です。 「思索する」ならば「深く考える」、「模索する」ならば「解決方法などを探し求める」という意味になります。 どちらも「索」という漢字が含まれているため似ていますが、「模索」と「思索」の意味は違うので注意してください。
例文
「探索」の意味は「明らかになっていない事柄や、人の居場所などを探り調べること」です。 物の所在や人の行方を探す場合に使うことが多いです。 「模索」と「探索」は意味が似ていますが、使い方に微妙に違いがあります。 「模索」は「人生を模索する」「最善の道を模索する」など物理的な何かを探すというよりかは、頭の中で方法などを探すという意味合いが強い一方、 「探索」は「海底を探索する」「犯人の行方を探索する」など物理的な何かを探すために、実際に足を使って探しにいくという意味合いが強いです。
「詮索」の例文
「検索」は「書物やインターネットなどで、必要な事柄を探し出すこと」です。 インターネットで調べることだけではなく、本やカード、データなどで調べることも「検索」と言います。 「検索する」「検索をかける」「検索を消す」などと使います。
例文
「模索」の類語には「詮索」もあります。 「詮索」の意味は「細かいところまでつきとめること、調べ求めること」です。 「詮索」は「模索」より「細かいところ」まで調べる、という点に違いがあります。 例えば、「娘の行動を詮索する」ならば、「彼女は今日何時に起きて、どこへ出掛けたか、何時に家に帰ってきたのか」などと詳しいところまで調べることを表します。 「詮索好き」という表現は、「細かいことまでとやかく言う人、小さいことまでよく調べる人」を指します。
「探索」の例文
「追求」の意味は「目的のものを得るため、どこまでも粘り強く求め続けること」です。 目的を達成するためにどこまでもついていくことを表します。 理想や利益など、プラスになるものを追い求める場合に「追求」を用います。 例えば、「幸福の追求をする」などと使います。 同じ読み方をする言葉「追及」と「追究」はそれぞれ使い方が異なります。 「追及」は、欠点や犯人などマイナスな事柄を追う場合に用います。 「追究」は、真理や学問など明らかになっていないことを深く考えるという場合に使います。
例文
「模索」の言い換えには「試行錯誤」があります。 「試行錯誤」は「色々な試みと失敗を繰り返しながら、ある目的に近づくこと」を意味します。 新しい物事を行う際に、何かに取り組みながら、解決策を見出すことを表します。色々と試すだけではなく、失敗を繰り返しながら解決を目指す、というのがポイントです。 「試行錯誤する」「試行錯誤を重ねる」「試行錯誤を繰り返す」などと使います。
例文
「手探り」の意味は、
です。 「手探り」は「模索」の同義語で、言い換えが可能です。 「手探りの状態」という形で使うことが多いです。 「手探りの状態」とは「何もわかっていない状況で、何とかしなくてはいけないこと」を意味します。 例えば、「手探りの状態で打開策を見出す」「新しい仕事先で、手探りの状態で仕事を進める」などと使います。 また、「棚の中を手探りで探す」「手探りで出口の方へ進む」などと、見えない場所にあるもの手先の感覚で見つける、という意味でも用います。
「手探り」の例文
「模索」の対義語は厳密にはありません。 「探し求める」の反対は「探し求めない」ですが、「探し求めない」を意味する熟語はないので「模索」の対義語はない、ということになります。 ただ、「模索」という言葉の捉え方次第で対義語を定義することは可能です。 今回は3つの視点から「模索」の反対語を紹介します。
「探し求める」の反対の「探し求めない」の意味に近い熟語は「放棄」「諦め」になります。 「放棄(ほうき)」は「物事を見限って投げ捨てること、利益や資格などを捨てて失うこと」を意味します。 「諦め(あきらめ)」は「期待していたことが不可能だと思い、断念すること」を意味します。 物事を無理だと思い、その望みを捨てることを表します。 「権利を放棄する」「計画を放棄する」「諦めがつく」などと使うことができます。
例文
「模索」の「何をすべきか分からない状況」であることに焦点を合わせれば、その対義語が「明白」「明確」と解釈することも可能です。 「明白(めいはく)」は「明らかで疑う余地がないこと」を意味します。 「明確(めいかく)」は「明らかで確かなこと」を意味します。 良いか悪いか、本当か嘘であるか、物事がはっきりしていることを表します。 「明白である」「明確な基準」「内容を明確にする」などと使います。
例文
「模索」とは「まだ見つけ出していない手探りの段階」のことなので、「発見」を対義語とするのもできます。 「発見」は「今まで明らかになっていなかったことを、見つけ出すこと」を意味します。 存在を知られていなかったり、内容が明らかになっていなかったこと見つけ出すことを表します。 「発見する」「新しい発見」「貴重な発見」などと使います。
例文
「模索」の英語表現を見ていきましょう。 「探す」を意味する英語は「look for」が最も一般的です。 「find」は「見つける、発見する」なので混同しないように注意しましょう。 「try to find (out)」ならば「模索する」の意味になります。 「探し求める」を意味する英単語には「seek」もあります。 「seek」は他動詞で、✕「seek for」とはしない点に注意してください。
We all tired to find out the solution to this problem.
我々は皆でこの問題の解決策を模索した。
He was seeking the meaning of life and at last found his way to India.
彼は人生の意味を模索していて、最終的にインドにたどり着いた。
「模索」を英和辞典で見ると「grope」がよく出てきます。 「grope」は「手探りで(よく見えない物理的な)物を見つけるとする」という意味で、「grope for」の形で使います。 「grope」は物理的なものに対して使うので、日本語の「模索」とは少し使い方が異なりますので注意です。 「人生模索中」を「groping for life」などとすると意味不明です。 「grope」は「男性が女性の体を(性的に)手で触る」という意味もあるので、注意してください。
I groped for my glasses on the table.
テーブルの上にあるメガネを私は取ろうとした。
He groped me when I tried to go to the bathroom.
私がトイレに行こうとすると彼は私に触れてきた。
「模索」について理解できたでしょうか? ✔︎「模索」は「もさく」と読む ✔︎「模索」は「あれこれと探し求めること」を意味 ✔︎「模索する」「模索している」などと、ビジネスシーンで使うことも多い ✔︎「模索」の類語には、「詮索」「検索」「追求」などがある