「啓蒙思想」など「啓蒙」という言葉を知っていますか?ほとんどの人が「啓発」といった言葉は知っていると思います。この2つの言葉の違いは何なのでしょうか?「啓蒙」の正しい意味と使い方を「啓発」との違いと合わせて解説します!また英語表現も紹介します!
○読み方 <けいもう> ○意味 無知の人を啓発して正しい知識に導くこと 人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと 要するに、相手の知らないことを教えてあげることです。
「啓蒙」とは、意味からも分かるように「人に知らないことを教えること」です。 例えば、専門的な内容をその知識のない人たちに向けてセミナーをすることや本を書くことなどが当てはまります。 言葉としては「啓蒙的」や「啓蒙事業」といった使い方もあり、「啓蒙的な本」や「教育の啓蒙事業」などと用いられています。 その他にも個人的に教え導かれた時など「啓蒙された」といった使い方もします。 ただ、基本的に上の立場の者から下の立場の者に対して使う言葉です。 教師から生徒や、専門家から一般人などに対して使われています。 さらに例文も紹介しますので、使い方の参考にしてください。
しかし「啓蒙」という言葉は差別や不適切であるとされています。 その理由は漢字の意味からきているようです。 「啓」は「わからないことを教え導く、申す」 「蒙」は「愚かで無知なこと、くらいこと」 といった意味を持ちます。 「蒙」という字には相手のことを「愚か」や「無知」だと扱っていると解釈できるため、「啓蒙」は差別用語や不適切用語として認識されることもあります。 こういった漢字の意味から、啓蒙するという言葉を使われると「上から目線だ」「侮辱している」などと受け取られています。 そういった「啓蒙」が差別用語や不適切用語であるとの見解から、かわりに「啓発」という言葉が使われています。 次に、「啓蒙」と「啓発」の違いを説明していきます。
「啓蒙」が差別用語や不適切用語とされているのに対して、似たような漢字と意味を持つ「啓発」は一般的に使われています。 「啓発」の意味は、「人を教え導き高い知性や理解を与えること、一般の人が気づかないような点について専門の観点から教えること」となります。 知性や理解を与える、といった表現も上から目線のように捉えられますが、「啓発」は差別用語ではありません。 「発」の字には「外部や世間に向けて出す、外に現れ出る・生じる」といった意味が含まれています。 そういった漢字のニュアンスからも「啓発」には前向きなイメージがありよく使われるようになりました。 昔はそういった専門的な知識などを知らない人たちに向けて書いた本のことを「啓蒙書」などと行っていましたが、現在はほとんどが「啓発本」とされています。 言葉自体の本来の意味にはほとんど差異はありませんが、「啓蒙」には差別として捉えられてしまう意味を含む漢字が使われていることが大きな違いの一つとなっています。 そして、現在使われている意味として、 答えを教えることが「啓蒙」 答えを考えるために導くのが「啓発」 と解釈されています。 「啓蒙」は相手が無知であるという認識をした上で、あることを教えてあげるといったニュアンスになっていますが、 「啓発」は相手に知識の有無は関係なく、あることに対して気付いていないことを教えさらに高い認識に導くといったニュアンスになっています。 気付いていない、ということは実際に知らないことであり無知である、と判断できますがここも言葉の使い方が関係しているのでしょう。 日本語は漢字そのものが持つ意味や言い回しによって、受け手次第では全く違った意味でとらわれてしまうことがあります。 様々な受け方があることを理解して、誤解が生じないように使いましょう!
「啓蒙思想」とは、理性による思考の普遍性と不変性を主張し、伝統的権威や旧来の思想を批判して、理性の啓発により人間性の尊重と新秩序の建設をはかった思想のことです。 17世紀末にイギリスで芽生え、18世紀に最盛期に達してヨーロッパの思想の主流となりました。 その主義性を強調し「啓蒙主義」とも言われています。 かの有名なイギリスの哲学者ロックやフランスの哲学者ルソーなどが中心となっていました。
「啓蒙活動」「啓蒙運動」とはそのままの意味で啓蒙するための活動・運動のことです。 組織や団体などが一般に広めたいことや、自らの主張を世間に知っておいてほしいがためにする活動です。 使い方のところでも説明した「啓蒙書」を書くこと自体も「啓蒙活動」に当たります。 また、ピンクリボン活動やオレンジリボン運動なども当てはまります。 ピンクリボン活動は、乳がんの正しい知識を広めることで早期発見するための検診を推進する活動です。 オレンジリボン運動は、児童虐待防止を推進する運動のことです。 乳がんや児童虐待のことは知っていても、詳しい専門的な知識を持っていない国民はたくさんいます。 そういった人達に向けて少しでも関心を持ってもらい、乳がんや児童虐待を減らそうと活動をしています。 現在では、「啓蒙」が不適切用語とされているため「啓発キャンペーン」などと言われています。
○教育 (意味:知識や技術を教え授けて個人の能力を心身両面にわたり伸ばすこと) ○指導 (意味:ある目的に向かって教え導くこと)
○暗愚<あんぐ> (意味:道理がわからず、おろかなこと) ○愚蒙<ぐもう> (意味:おろかであること、愚昧<ぐまい>と同義)
「啓蒙」は英語で「enlightenment」と言います。 「啓蒙する」は「enlighten」です。 「enlightenment」には日本語と違い、差別的なニュアンスはありません。 「enlighten someone about...」で「...に関して誰々を啓蒙する」という意味になります。
My mother enlightened me about the meaning of life.
私の母は生きる意味に関して私を啓蒙してくれた。
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「啓蒙」について理解できたでしょうか? ✔「けいもう」と読む ✔「無知の人を啓発して正しい知識に導くこと」という意味 ✔「蒙」の漢字に「無知の人、愚かなもの」といった意味を含むことから差別用語や不適切用語とされている ✔かわりに似た意味の「啓発」が使われている 不適切用語であっても、「啓蒙」という言葉が全く使われていないわけではありません。 また、使っている人も相手を見下しているわけではないこともあります。 しかし、そのように受け取る人がいることを念頭に置き、言葉の使い方には注意しましょう!