「やぶさかではない」といった言葉を知っていますか? 「〜ではない」とありますが、実は肯定的な意味をもつ言葉です。 今回はそんな「やぶさかではない」について解説します。 正しい意味と使い方を例文つきで説明します! また、「まんざらでもない」との違いも説明します。 類語や英語表現なども紹介しますので、ぜひ覚えてください!
漢字で「吝かではない」と書きます。 また、「やぶさかでない」と「は」を抜いてもよく使われています。 意味は、「〜する努力を惜しまない」「喜んで〜する」です。 「〜ない」で終わるので否定的な意味の言葉であると感じますが、「やりたい」という積極的な意思を示す表現です。 後ろ向きな表現ではありません。 「吝か」の意味は、「物惜しみするさま」「けちなさま」「躊躇するさま」「未練があるさま」です。 この「吝か」を「吝かでない」と否定形にすることで「〜する努力を惜しまない」「喜んで〜する」といった意味となります。 辞書などで載っているような「どちらかと言えばしてもよい」などといった曖昧な気持ちの表現では実際はありません。 自らが進んで、乗り気で行動をすることを表します。 「吝かではない」のように直接的な主張をせずに、逆の意味のことを否定する方法を「緩叙法(かんじょほう)」といいます。 例えば「悪くない(=良い)」「賢くない(=愚かな)」なども同じです。
「やぶさか」は平安時代の言葉です。 物惜しみするという意味の動詞である「やふさがる」、けちであるという意味の形容詞「やふさし」がと同源であると言われています。 鎌倉時代以降で「やふさがる」「やふさし」といった表現は用いられなくなり、「やふさ」に接尾語の「か」を付けた形である「やふさか」が使われるようになりました。 そのうちに「やふさか」の二音節が濁音化されて「やぶさか」となりました。
日常的にはあまり使われていません。 主に、ビジネスシーンや厳粛な場面で用いられます。 そこで注意したいのが、昨今では「やぶさかではない」は「仕方なくやる」「どちらかと言えばやってもいい」などと間違った意味で認識されはじめていることです。 例えば、政治家が「○○の削減するにやぶさかでない」と話したとき、国民の多くは「仕方なく削減するのか」などと勘違いすることが多くいます。 実際は「喜んで削減する」といった意味になります。 このように、直接的な言葉ではない表現を用いると勘違いすることが多くあります。 文法では否定しているが、意味は肯定しているという、日本特有の表現ですよね。 なぜこのような表現をするかというと、日本では目上の人に、自分自身の思いを主張するよりは控えめに表現することが好ましいとされることが大きいようです。(最近ははっきり主張するほうがいいともされはじめてますが) そのため、目上の人に「喜んでやります!」というよりは「吝かではないです」「吝かではありません」といった表現が好ましいとされています。 また目上の人だけに使う言葉ではなく、目上の人が目下の人に使う場合もあります。 しかし昨今ではあまり聞かずに、意味を知らない人も増えているので、いきなり使うと不自然であったり、きちんと伝わらないこともありますので注意しましょう。 詳しい「やぶさかではない」の使い方は例文も参考にしてみてください。
「A社の頼みなら、協力するにやぶさかではない」 「部長からのみんなのこれまでの抜群の業績を認めるにやぶさかではないと言われて嬉しかった」 「彼の長年の功績を評価するにやぶさかではない」 「私はこの任務が終わったあと、新プロジェクトも進行することにやぶさかではない」 「課長からの命令ならば、さらに調査して改正するのにやぶさかではない」
○喜んでする 意味:相手の言葉を快く受け入れて行動する、自分から進んでする ○進んでする 意味:自ら積極的に行動する ○賛成する 意味:人の意見や行動を良いと認めて同意する ○快諾する 意味:依頼耶申し入れを快く承諾すること
まず「まんざらでもない」について説明します。 最初に、「まんざらでもない」を「まんざらで”は”ない」と使う方がいますが、やや不自然です。注意しましょう。 「まんざらでもない」は漢字で、「満更でもない」と書きます。 意味は「まったくだめだというわけではない」「必ずしも悪くはない」です。 また「かなり良い」といった意味も持ち、文脈などから意味を把握する必要のある言葉です。 「満更(まんざら)」は副詞です。 名詞ではないので、「満更」に意味があるわけではなく文脈で使うと意味をなします。 否定的な表現のあとにさらに打ち消しの言葉を伴うことで、否定的な意味をやわらげたり、むしろ肯定したりする気持ちを表します 例えば「満更捨てたものでもない」となると「捨てるほどのものではない」「むしろ捨てないほうがいい」などといったニュアンスになるということです。 なので、「まんざらでもない」も実は慣用句なわけです。 本来の正しい言葉は「満更嫌でもない」や「満更悪いものでもない」などです。 そこから派生して「満更でもない」で「だめではない」「悪くはない」といった意味になりました。
「まんざらでもない」について説明してきました。 2つの違いの解説の前に、まず「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の意味をおさらいしてみましょう。 「やぶさかではない」は、「〜する努力を惜しまない」「喜んで〜する」 「まんざらでもない」は、まったくだめだというわけではない」「必ずしも悪くはない」「かなり良い」 です。 どちらも「〜ない」といった言葉ですが、肯定的な言葉であることが分かります。 そもそも、「まんざらでもない」に「〜をする」といった意味はありません。 それに対して「やぶさかではない」は、「〜をする」ことに対して肯定的であり積極的であることが伺える言葉です。 一般的に使われるのは「まんざらでもない」です。 この場合ははっきりと「良い!」「悪くない!」とは言わずに、ニュアンスとして伝えるときに用いられています。 内心実はめちゃくちゃ良いと思ってる、嬉しいと思ってる、といった時の表現で使われていますね。 「やぶさかではない」は「〜する努力する」「喜んで〜する」で、「良い」かどうかの言葉ではありません。 同じ緩叙法を用いた言葉ですが、意味は違うので使い分けには注意しましょう。
「やぶさかではない」の英語表現を見ていきます。 「まあやってもいいよ」の英語は、
「どちらかと言えばやりたい」の英語は、
「是非やりたい」の英語は、
I'd love to help you if you say so.
あなたがそう言うなら、手助けするのもやぶさかではない。
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「やぶさかではない」について理解できたでしょうか? ✔「吝かではない」と漢字で書く ✔意味は、「〜する努力を惜しまない」「喜んで〜する」 ✔主にビジネスシーンや厳粛な場面で用いる ✔「まんざらでもない」とは同じ緩徐法だが意味は異なる 普段からはあまり使われない言葉ですが、知っておいて損はありません。 しっかりと覚えておきましょう!