「阿鼻叫喚」とは「非常に悲惨な状況に陥って、泣き叫び助けを求めること」を意味する四字熟語。「阿鼻」は「阿鼻地獄」の略で仏教で一番奥底にある地獄を意味し、サンスクリット語が由来。「叫喚」は「叫び、わめくこと」の意だが、「叫喚地獄」の略という説もあり。世界的なDJ「アヴィーチー」の名前も「阿鼻」が由来。
「阿鼻叫喚」の読み方は「あびきょうかん」です。 「阿鼻驚嘆」とするのは誤記です。 「きょうたん」と間違って覚えてしまい「驚嘆」と誤用してしまう人がいますが、正しくは「きょうかん」で「叫喚」と書きます。 意味は「非常に悲惨な状況の中で、叫びわめいて救いを求めるさま」です。 災害などの惨たらしい様子を指して使うこともあります。
「阿鼻叫喚」の由来は仏教には八大地獄です。 8つの中に「阿鼻地獄」と「叫喚地獄」があります。 その2つを指す言葉であり、「地獄に落ちた人たちが責め苦に堪えきれず、泣き叫ぶこと」といった状況から「地獄のような辛苦の中で泣き叫び救いを求めること」のたとえとして「阿鼻叫喚」が用いられるようになりました。 「阿鼻地獄」は「無間地獄」とも言われ、八大地獄の中でも最も恐ろしく厳しいとされる地獄です。 「叫喚地獄」は第四の地獄です。 「阿鼻」は「阿鼻地獄」を指す言葉で、それ以外では使われません。 元々はサンスクリット語である「avici」の音写「阿鼻旨」の略であり「ひっきりなしであること」といった意味で「無間」と漢訳されています。 ちなみにDJのアビーチ(Avicii)の由来は、この「avici」から来ています。 「叫喚」の意味は「叫び喚く(わめく)こと」です。 漢字の意味そのままです。また、「叫喚地獄」のことを指して使われることもあります。
「阿鼻叫喚」は災害が起きた場所や大きな事故現場などの状況を表す際に使われています。 災害や事故は突然起こり、多大な被害を与えます。 それによってパニックに陥ったり怪我の痛みや恐怖を感じ泣き叫ぶ人々がいる惨たらしい状況を「阿鼻叫喚」と言います。 他にも不景気や株価の下落といった悲惨な状況や、国民全体が悲しみ嘆くようなことにも使われます。 主な言い回しには
などと使います。 「巷」の意味は「世の中、街中」です。 また「○○の阿鼻叫喚」「○○に阿鼻叫喚」とも使います。
例文
「地獄絵図」は「じごくえず」と読みます。 意味は「むごたらしい状況になること」です。 元々は「地獄で亡者が苦しむ様子を描いた絵」を指しましたが、そこから惨い状況を指して使うようになりました。 例えば「大地震により街は地獄絵図と化した」などと使います。
「慟哭」は「どうこく」と読みます。 意味は「声を上げて激しく泣くこと」です。 「慟」の意味は「身悶えをして悲しむ」「なげく」です。 「哭」の意味は「大声を上げて泣く」です。 「慟哭」は中島みゆきさんが作詞作曲をして工藤静香さんが歌っている曲が有名ですよね。
「泣き喚く」は「なきわめく」と読みます。 意味は「大声を上げて泣くさま」です。 「喚く」の意味は「大声を上げて騒ぐ」です。 「泣き喚く」は、わんわんと手がつけられないほど泣いている様子を表します。 主に駄々をこねて泣く子供に対して使われます。
「泣き叫ぶ」は「なきさけぶ」と読みます。 意味は「泣きながら叫ぶ」です。 「泣き叫ぶ」は、大きな怪我をして痛い時や助けを求める時の様子として用いられます。 悲しみや苦しみ、痛みや恐怖心のあまりに「泣き叫ぶ」ことがあります。
「安楽浄土」は「あんらくじょうど」と読みます。 意味は「苦しみのない安楽な世界」です。 これは仏教で使われている言葉で、阿弥陀仏がいるとされている場所です。 この上なく満ち足りていることをたとえる際に用いられています。
「悠々自適」は「ゆうゆうじてき」と読みます。 意味は「自分の思うままにのんびり暮らすこと」です。 自由で平穏な環境で暮らしていることを表します。
「安穏無事」は「あんのんぶじ」と読みます。 意味は「何事もなく、世間や暮らしが平和であること」です。 「安穏」の意味は「何事もなく穏やかであること」です。 自分自身の生活や周りの状況、また社会が平和であることを指して使います。
「阿鼻叫喚」は「hell」で表すことができます。 「All hell breaks loose」という慣用句があります。 これは「大混乱が起こる」という意味です。 「break loose」は「逃げ出す。自由の身になる」という意味です。 「全ての地獄が逃げ出す」=「大惨事になる」というニュアンスです。
The scene of the train clash has turned into hell.
電車事故の現場は阿鼻叫喚の巷と化した。
All of a sudden, all hell broke loose inside the aircraft.
航空機の中は突然、阿鼻叫喚の巷と化した。
The prisoner broke loose.
囚人が脱獄した。
「阿鼻叫喚」とは「非常な困難の中で泣き叫び、救いを求めるさま」「非常に悲惨でむごたらしいさま」を指します。 地獄に落ちた者が、燃やされて苦しみに堪えられずに大声で泣きわめくような状況から転じた表現です。 「阿鼻」は仏教で説く八熱地獄の無間むけん地獄です。 「叫喚」は泣き叫ぶこと。一説に八熱地獄の一つの大叫喚地獄の意とも言われています。