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「遡及」の意味と使い方、法律用語、読み方、類語「訴求」との違いを例文付きで解説

「遡及」の原義は「過去にさかのぼること」です。法律用語では「法令の効力を施行前の行為や事実までさかのぼって適用すること」を指します。「そきゅう」と読むのが正しく「さっきゅう」は慣用読みです。日本では「法の不遡及」という原則があります。

「遡及」の読み方と意味

「遡及」は<さっきゅう>もしくは<そきゅう>と読みます。 正しくは「そきゅう」で、「さっきゅう」は慣用読みになります。ただ、「さっきゅう」と読んでも問題ありません。 「遡」は音読みだと「ソ」、訓読みだと「さかのぼる」と読みます。 「遡」は「さかのぼること」を意味します。 「及」は音読みだと「キュウ」、訓読みだと「およぶ・および」と読みます。 「及」は「ある線まで追いつく。ある範囲まで届く」を意味します。 「遡及」の意味、

  • 過去にさかのぼること
  • 法律や契約の効果を、その法律や契約が成立する以前のある時点までにさかのぼって有効にすること

です。 過去にさかのぼり、法律などの影響や効力を及ぼすこと・過去にさかのぼって言及することを表します。

「遡及」の使い方と例文

税金や違約金などの支払いで「◯◯した時点まで遡及し請求する」などと表記されていることがありますよね。 これは、「◯◯した時点までさかのぼり、金額が計算される」ということを意味しています。 また、スポーツ界でも「遡及的な罰則を科す権限」というものがあります。 これは、映像による検証を行った結果、何か見落としていた反則があった場合にその試合の時点までさかのぼって、選手に罰金を科すという制度です。競技によってはこの制度が設けられています。 ちなみに、「不遡及」という言葉がありますが、「法がその実施以前の事項にさかのぼって適用されないこと」を意味します。 「遡及」という言葉は「遡及されるような状況」が数少ないこともあって、あまり使われません。

遡及期間: 遡及精算:遅れて昇給があった人に、その不足分を後から支払うこと 遡及差額: 遡及契約:契約書作成日が契約開始日より後の場合、契約期間がさかのぼる場合の契約 遡及適用:法律が成立した日よりも過去にさかのぼって適用すること 遡及処罰:法律が成立した日よりも過去にさかのぼってその罪を処罰すること 遡及請求:過去にさかのぼって障害年金を請求すること 遡及的:過去にさかのぼって影響や効力を及ぼす性質を持っている 遡及分:

例文

  • 適用日を遡及するといった内容が記載されていた。
  • 規定の適用を一月に遡及して行う。

「遡及」と「遡求」の違い

「遡求」は<そきゅう>と読みます。 「遡求」の意味は、

  • さかのぼって追求すること
  • 手形や小切手の支払いがないとき、または支払いのおそれが生じたときに、その所持人が振出人や裏書人などに対し、代償として一定金額の支払いを請求すること

です。 「遡求」は手形法・小切手法などの用語です。 「遡求」は「手形や小切手の所持人が、支払がされないときに振出人や裏書人に対してへ手形や小切手金を請求すること」 「遡及」は「過去にさかのぼり、法律などの影響や効力を及ぼすこと」を表します。 「遡求」と「遡及」は全く意味が異なるので間違えないようにしましょう。

「遡及」と「訴求」の違い

「訴求」は<そきゅう>と読みます。 「訴求」の意味は「宣伝・広告などで、買い手に訴えかけること」です。 消費者の買う意欲を起こさせるように、売り手が訴えかけることを表します。 「消費者の購買意欲に働きかける」という意味で使うことがほとんどですが、「皆に自分の意見を訴求する」といったように「相手の気持ちに訴え求める」という意味でも使います。 言い回しとしては、

  • 訴求する
  • 訴求効果
  • 訴求力

などとなります。 「遡及」は「過去に遡ること」 「訴求」は「消費者に購買意欲を起こさせるように、訴えること」を表します。 「遡及」と「訴求」では全く意味が異なるので、間違えないようにしましょう。

例文

  • 若者に人気のアイドルをCMに起用して、商品の良さを消費者に訴求する。
  • 訴求力がある製品を今後開発していく必要がある。

「遡及」の類語

遡る<さかのぼる>(意味:過去または根本にたちかえる) 例文:「原点に遡ってよく考える」 過去に及ぶ(意味:過去にいたる。達する。とどく) 例文:「過去に及んでしっかりと検討する」 時間を巻き戻す(意味:時間を逆に巻いて元の状態に戻す) 例文:「時間を巻き戻すことなど不可能である」 回顧<かいこ>(意味:昔のことを思うこと。過去を顧みること) 例文:「幼い日の思い出を回顧する」 タイムトラベル(意味:SFなどで過去や未来へ行き来すること。時間旅行) 例文:「タイムトラベルができるようにならないかな〜〜」 タイムスリップ(意味:SFなどで現実の時間から離れて瞬時に過去や未来に移動すること) 例文:「ドラえもんがいればすぐにタイムスリップできるよね〜」

「遡及」の対義語

未来(意味:過去・現在とともに時の流れを三区分した一つで、まだ来ていない部分) 例文:「人類の未来はどうなっているのだろう」 将来(意味:これから来ようとする時) 例文:「彼女の将来を期待する」 行く先(意味:前途。行く末) 例文:「行く先が不安になってくる」 先々(意味:後にくるべき時。将来) 例文:「先々のことをよく考える」 自今(意味:今より後。この後) 例文:「自今のことを考えると下手なことはできない」 先行(意味:先に行われること) 例文:「先行投資を行っておく」

「遡及」の英語

まとめ

「遡及」について理解できたでしょうか? ✔︎「遡及」は「そきゅう」もしくは「さっきゅう」と読む ✔︎「遡及」は「過去にさかのぼり、法律などの影響や効力を及ぼすこと」を意味 ✔︎「遡及契約」「遡及処罰」「遡及的」などと使う ✔︎「遡及」の類語には、「遡る」「時間を巻き戻す」「回顧」などがある

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