「甲斐甲斐しい(かいがいしい)」の意味は「苦労を惜しまず、きびきびと働く、または他人の世話や面倒をみる」です。「甲斐甲斐しい人」「甲斐甲斐しく働く」などと男女に対して褒め言葉として使います。語源は古語の「交ふ」「支ふ」、また「甲斐国の人々が働き者であったから」といった説があります。
「甲斐甲斐しい」の読み方は「かいがいしい」です。 この「甲斐甲斐しい」の漢字は当て字になっています。 「かい」の漢字は「効」「交」「支」とも言われています。 これらは語源のところで説明していきます。
「甲斐甲斐しい」の意味は「苦労を惜しまず、きびきびと働くさま」です。 骨身を惜しまずに仕事に打ち込でいる様子を表します。 仕事だけじゃなく、テキパキとしている様子や、しっかりとしている様子に対しても用います。 仕事以外では、他人の世話や面倒を苦労惜しまずにすることを指します。
「甲斐甲斐しい」の古語は「かひがひし」です。 意味は、 ① 効果がある、張り合いがある ② 頼もしい、頼みがいがある ③ 勢いがよくテキパキしている、きびきびしている で、①②の意味では現代ではほとんど使われません。 元々「甲斐(かひ)」という古語には「行動に対する効果」「価値、値打ち」といった意味があります。 この「かひ」の元となる言葉には諸説あり、1つ目は動詞「交ふ(かふ)」の連用形で、意味は「取り替える、交換する」です。 2つ目は「支ふ(かふ)」の連用形で「支える」といった意味です。 そして①の意味の「効果」から「かひ」は「効ひ」ではないかとも言われています。 これを繰り返すことで「やればやるほど効果が出る=骨身を惜しまずに仕事に打ち込む」となったとされています。 そのため「甲斐」にも「効果がある」といった意味があることから「甲斐」が当て字として使われたのはではないかと言われています。
「甲斐甲斐しい」は男女どちらに対しても使える褒め言葉です。 それぞれ使われる際にはニュアンスが異なります。 男性であれば、特に仕事を頑張っていることへの褒め言葉となります。 テキパキと仕事をこなし、仕事に精を出している人を「甲斐甲斐しい」と言います。 女性であれば、面倒見が良く周りのために動けることへの褒め言葉となります。 仕事においても私生活においても視野が広く、周りの人の世話が出来る人を「甲斐甲斐しい」と言います。
例文
「甲斐甲斐しい」は「甲斐甲斐しく」と副詞的にも使います。 「甲斐甲斐しく尽くす」「甲斐甲斐しく働く」などと動詞を修飾します。 「甲斐甲斐しく尽くす」は、献身的な様子を表します。 「甲斐甲斐しく働く」は、身を粉にして働いている様子を表します。
例文
ほとんどが良い意味で使われる「甲斐甲斐しく」ですが、たまに嫌味として用いられることがあります。 他人のことばかり面倒を見て自分を後回しにしている様子に対して「いい人ぶっている」という嫉妬心を込めて「甲斐甲斐しい」と使うことがあります。 他人のためにばかり一生懸命になること自体を良く思わない人が嫌味に使ったり、いつも仕事などを手伝ってもらっている人が罪悪感や見下されていると思って「甲斐甲斐しすぎる」などと使います。
例文
「甲斐甲斐しい」性質を持っていることを「甲斐性」と言います。 「甲斐性」は「かいしょう」と読みます。 人の性質を言い表す言葉で「甲斐性のある」「甲斐性のない」という表現でよく使われています。 「甲斐性のある人」は働きがあり頼もしい性質や生活能力に富んでいる人を指します。 女性が家事をやるのが当たり前という前提は差別的に相容れませんが、男性なのに家事などをしっかりやってくれるという文脈で「甲斐性のある人」と言われます。
「甲斐がある」の意味は「ある行動に値するだけの効果がある」です。 行動した分相応の結果が得られることを表す言い回しとして使われています。 例えば「資格手当が出るなんて取っておいてよかった!勉強した甲斐があった」などと使います。 これは、大変な勉強をして資格を得たことによって、給料が多くなるという結果を得られたということです。 他にも「そんなに褒められるなんて頑張った甲斐がある」「上司に認めてもらえるなんて、残業した甲斐がある」などと使います。 また「それだけの効果、値打ち、価値がある」といった意味での「甲斐」が使われた言葉には、「生き甲斐」「働き甲斐」といった言葉もあります。 「生き甲斐」は「いきがい」と読み、「生きることによる喜び」「生きる価値」といった意味です。 「働き甲斐」は「はたらきがい」と読み、「働くことによる結果や喜び」「働くだけの価値」といった意味です。 「○○は生き甲斐だ」「働き甲斐がある」などと使います。
例文
「不甲斐ない」は「ふがいない」と読みます。 「いくじがない、気力に欠けている」という様子を言い表した言葉で、「情けない」「だらしない」といったマイナスなニュアンスが含まれています。 「不甲斐ない」という表現は、ビジネスでも使用されます。 例えば、いい結果が出せなかったという場面で、「不甲斐ない結果に終わる」と表現すると、「情けない結果に終わってしまった」という意味合いになります。 「不甲斐なさ」とも使い、「不甲斐なさを感じた」とした場合は「情けないと感じた」といったニュアンスになります。 また「不甲斐なさでいっぱい」とも使用されています。 この場合は「情けない気持ちでいっぱい」と自分に対する悔いる気持ちや恥ずかしい気持ちを表すことが出来ます。
例文
先程も説明しましたが、「甲斐甲斐しい」の語源が、地名からきている説もあります。 「甲斐」とは現在でいう山梨県のことです。 「甲斐国」で「かいのくに」と読みます。 「甲斐国」は、戦国時代あの有名な武田信玄の守護をしていた国の中でも働き者が多かったとされています。 そこから「甲斐国の人のようである」といった意味で「甲斐甲斐しい」と言われるようになったと言われています。
「熱心」の読み方は「ねっしん」です。 意味は「ある物事に心を込めてうちこむこと」です。 真剣にものごとを取り組む姿勢や心を込めて一生懸命することを「熱心」と言います。 「熱心に聞く」「熱心な人」 などと使います。
例文
「まめまめしい」の意味は「なまけずに、よく働くさま」「まじめである、本気である」です。 「まめまめしい」の漢字は「忠実忠実しい」です。 「マメな性格」の「まめ」も同じです。 これは当て字となっています。 言い回しは「まめまめしく働く」が主です。 「まめまめしい人」などとはあまり使われていません。 古語は「まめまめし」で「いかにも真面目だ、本気だ」といった意味です。
「営々」は「えいえい」と読みます。 意味は「一生懸命に働くさま」です。 「営」には「仕事をする、いとなむ」「つくる、こしらえる」「軍隊がとどまる場所」といった意味があります。 この「仕事をする」といった意味で「営」を2回続け「よく仕事をする=一生懸命働く」となりました。 他にも似た意味の言葉に「孜々汲々」があります。 読み方は「ししきゅうきゅう」で意味は「一心につとめるさま、飽きることなく努力を重ねるさま」です。 「孜々」の意味は「学問や仕事など一生懸命に励むさま」で「汲々」の意味は「一つのことに一心を務め他を顧みないさま」となっています。
「だらしない」の意味は3つあります。 ①「外見が整っていない」 ②「節度がない、しまりがない」 ③「根性がない、体力や気力がない」 です。 外見をきちんとせずみっともない様子を「だらしない」と言います。 さらに内面が「ぐうたらしていること」を指します。
「ルーズ」の意味は「だらしがないさま、ずぼらな様子」です。 「時間にルーズ」とよく使われます。 これは、時間を守らない様子を表します。 時間に限らず、約束や規律を守れない人のことも「ルーズ」と言います。
「頼りない」の意味は「あてにならない」「心細い、不安である」「頼れる人やものがない」です。 「甲斐甲斐しい」の対義語としては「あてにならない、頼りにならない」が当てはまります。 「頼りない人」と「頼りない返事」などと使い、安心して頼れないことを表します。
「甲斐甲斐しい」の英語には、
などがあります。
She's been working diligently for a long time.
彼女は長い間、甲斐甲斐しく働いている。
「devote myself to...」で「...に身を捧げる」という意味になります。
He devoted his life to protecting his family.
彼は自分の家族を守るために甲斐甲斐しく働いた。
いかがだったでしょうか? 「甲斐甲斐しい」について理解出来たでしょうか? ✔読み方は「かいがいしい」 ✔意味は「苦労を惜しまず、きびきびと働くさま」 ✔語源は古語 ✔類語は「熱心」「まめまめしい」など