「上記(じょうき)」とは「上または前に記していること」という意味です。「上記の件」「上記の通り」などとビジネスメールで主に使い、口語ではあまり使われません。「上記」の類語には「上述」「先述」「前記」などがあり、それらとの違いを例文付きで解説していきます。
「上記」の読み方は「じょうき」です。 「うえき」「うわき」などは誤用ですので注意しましょう。
「上記」の意味は「ある内容の上に書き記してあること」です。 ある文章において、それよりも上または前に書いてある文章を指します。 例えば、「上記で説明した◯◯は〜」「上記にも出てきた国◯◯は〜」などと使います。 一回出てきた内容がもう一度出てくるという場合に「上記」を使えば、わざわざ「***」と再度内容を書かず省くことができます。
「上記」は「上に書き記したもの」を指しているため、書き言葉として使います。 また内容が書類一枚に収まる場合に用います。 内容が1枚前、2枚前など別のページに及ぶ場合は使うことができません。
「上記」は横書きでのみ使われます。 そのため、主にビジネスメールまたはレポートにて用いられています。 縦書きの場合、前の文章は右に来ます。 そのため「上記」では不適切となるため「右記」が用いられています。
「上記」はどこまでを示すのか具体性がありません。 上、または前に書き記されていること、なので規定の範囲はありません。 そのため、内容や詳細がいくつか書き記された後に「上記、よろしくお願いします」などとすると曖昧で混乱を生む可能性があるので注意しましょう。
画像は記しているわけではありませんが、文章内で上または前にある画像を「上記画像」「上記の画像」と表現することが可能です。 「上記」のように「上画」とすることは出来ません。 「写真」であっても、「上記写真」ではなく「上記画像」と言うのが一般的です。 ただ、図の場合は「上図(じょうず)」と使います。 「上記の図」でも間違いではありませんが「上図」を使うとスマートになります。
「上記」は「上記の通り」が定型句となります。 例えば、 文章内においてイベントの日時や場所などを説明した後に「イベントの詳細は上記の通りです。」 新商品の特徴などを説明した後に「新商品については上記の通りです。」 などと使います。 ビジネスメールなどの締めでも「詳細は上記の通りです。ご確認の程よろしくお願いいたします」などと用いられます。
例文
「上記」には他にもたくさんの言い回しがあります。
などです。 どれも、同じ内容を再度記すことを省くために用いられています。 そのため「上記」が記すものは長い文章であったり、情報量が多い場合に用いられます。 ただ、別の情報をいくつか載せた後に「上記」で示すと、どれを指しているのか分かりません。 その場合は「上記で述べた○○」と示すようにしましょう。
例文
「同上」は「どうじょう」と読みます。 意味は「上に記したこと、前に述べたことと同じであること」です。 正式な文書で「同上」と記すのは
があります。 「同上」と記載することによって、同じ内容の繰り返しを避けることができます。 同じだからといって記入欄を空欄にするのではあまり良くありませんので「同上」を用いるようにしましょう。
「上記」に「する」をつけて、動詞として「上記する」とは使いません。 そもそも、上記してあるものは既に書かれているものです。 後から上記を足すということはありえないため、「上記する」といった表現自体も間違っています。
領収書において「上記、正に領収いたしました」はよく使われています。 これは「上記の金額をぴったり頂戴しました」といった意味になります。 領収書などに、あらかじめ
と書かれているものも多くなっています。
世の中には様々な証明書がありますが、「上記の通り相違ないことを証明します」はほとんどの証明書に書かれています。 ほとんどが、証明する内容の下にこの一文書かれています。 そして、「上記の通り相違ないことを証明します」の下に証明書を提出する日付と証明者のサインを書くようになっています。
よく「上記に記載した」「上記に記した」と使われることがあるのですが、これは二重表現となるため誤用です。 「上記」の意味が「上に記した、上に記載した」となります。 「上記の通り」が正しくなります。
「上記」の類語としての「以上」の意味は「これまで述べてきたこと」となります。 また手紙などでは末尾に「以上」と記すことで「これで終わる」ことを表すことが出来ます。 主にビジネスシーンの手紙で「記」とセットで使われています。これを「記し書き」と言います。 使い方としては、
飲み会を開催することになりました。詳細は下記の通りです。 記 日時・・・2018年4月1日(水曜日) 場所・・・********* 以上
となります。 このように、一旦文章を終わらせた後に、行間を空け「記」と書きます。その下に必要な事柄を書き記します。 最後に「以上」で締めます。
「上述」は「じょうじゅつ」と読みます。 意味は「上で述べたこと」です。 「上述」は、「上で述べました」「先ほどで説明しました」というニュアンスで使用される言葉で、メールなど文章で使用されます。 文章内で同じ内容が重複しないように、これまでの文章で説明したことを省略する際に使われます。 すぐ次に書かれていることに対して「イベント詳細は上述の通りです」などとは使いません。 この場合は「上記」を用いましょう。
「先述」は、「せんじゅつ」と読みます。 「先述」は、上で紹介した「上述」の「上」が「先」になったものです。 つまり、「先に述べる」と書いて「先述」となっているので、「先述」は、「先に述べたこと」という意味で使用することができます。 「上述」は上に書かれたことなので、縦書きの文章では用いることが出来ませんが、「先述」であれば縦書きでも横書きでも使うことが出来ます。
「前記」の意味は「前の部分に記したこと」です。 その文章よりも前の部分に書かれていることを指します。 「上記」は「上に書いたこと」であるため横書きの文章で用いられていますが、「前記」は「前に書いたこと」であるため縦書きでも横書きでも使うことが出来ます。 「前記のとおり」「前記したように」などと用います。
「下記」は「かき」と読みます。 意味は「ある内容の下に書き記すこと」です。 ある記事や文章の後に記されていること・その記事や文章を表します。
以下」の意味は「それよりも後、その文章から後に述べること」です。 「以下」はビジネスメールなど、文章でもよく用いられています。 ただし、「以下の通り」「以下省略」というように文章で使用する場合は意味合いが変わってきます。 他にも
などと用いられます。
「後述」は、「こうじゅつ」と読みます。 意味は「後で述べること」です。 「後述」は、「後で述べます」「あとで説明します」というニュアンスで使用される言葉で、メールなど文章で使用されます。 文章内で同じ内容が重複しないように、詳細を後の部分で説明する場合に使われます。 すぐ次に書かれていることに対して「イベント詳細は後述の通りです」などとは使いません。 この場合は「以下」や「下記」を用いましょう。
「後記」は「こうき」と読みます。 意味は「その文章より後の方に書くこと」です。 「詳細は後記したとおり」などと使い、「後述」とほぼ同じ意味で使われています。 「下記」は、すぐ下にある文章を指すことが多いですが、「後記」はそれよりももっと後に書かれていることを指します。 また「下記」は縦書きでは用いられませんが、「後記」は横書きでも縦書きでも使うことが出来ます。
「左記」は左に記すと書きます。 これは右起こしの縦書きの文章において、文章の左すなわち後の方に書いた部分を指す言葉です。 「下記」が横書きの文章のみで使うのに対して、「左記」は縦書きの文章のみで使われています。 「○○は左記のとおりです」などと使い、多くは細目を示すのに用いられています。
「上記」の英語は「above」です。 「above」は名詞、形容詞、副詞、前置詞の品詞があるので、かなり幅広く使うことができます。 「as above」で「上記の通り」
Could you please send the document to the above e-mail address? Thank you.
上記のeメールアドレスに資料を送付していただけますか。よろしくお願いします。(形容詞)
I've dealt with all of the above.
上記のものはすべて対応済みです。(名詞)
Please enter the password as above.
上記のように、パスワードをご入力ください。(慣用句)
You can refer to the diagram shown above.
上図を参考にしてもいいですよ。(副詞)
口語で「先ほども言ったように」と言う場合は、
などと使います。
As I mentioned earlier, I never thought this project turns out like this.
先ほども述べた通り、このプロジェクトがこんな展開を迎えるとは思ってもいませんでした。
いかがだったでしょうか? 「上記」について理解出来たでしょうか? ✔読み方は「じょうき」 ✔意味は「ある内容の上に書き記してあること」 ✔書き言葉であり、横書きの手紙などで使われる ✔「上記の通り」「上記の件」などと使う