「表す」「現す」「顕す」「著す」の違いについてご存知でしょうか。4つとも「あらわす」と読みます。同じ読み方のため、同じように使っているという方が多いのではないでしょうか?実はそれぞれ意味と使い方が異なります。そこで今回は「表す」「現す」「顕す」「著す」の違いについて解説していきます!
「表す」・・・考え、意思、感情などを言葉などで表現する。「感情を表す」など 英語は「express」 ※「ひょうす」とも読む 「現す」・・・形、様子など隠れていたものを表に出して示す。「姿を現す」など 英語は「appear」 ※「露す」と書くこともある 「顕す」・・・優れた行為などを広く世界に知らせる。「名を顕す」など 英語は「inform」 「著す」・・・書物を書いて世に出す。「書物を著す」など 英語は「publish」。 ※「ちょす」とは読まないので注意
「表す」「現す」「顕す」「著す」はすべて「あらわす」と読みます。 送り仮名は「表わす」「現わす」「顕わす」「著わす」も許容です。 「表す」と「現す」は混同しやすいですが、「表す」=「表現」、「現す」=「出現」と覚えておけば問題ありません。 「表す」は「喜びを表す」「謝意を表す」「意味を表す」などと使います。 「現す」は「姿を現す」「正体を現す」「症状を現す」などと使います。 しかし「決意をあらわす」は「表す」「現す」のどちらでも間違いではありません。決意は表現するものでもありますし、出現するものでもあるからです。 また、「現す」は「露す」と書くことも可能です。例えば「正体を露す」などと文学的な文章で見かけることがありますが、基本的には「現す」でまかないます。 「顕す」も「現す」と似ていますが、「顕す」は「優れた行為などを人目にはっきりと分かるように示す」という意味であり、「現す」より使い方が限定されています。 「世に名を顕す」の形で使うことがほとんどで、この形だけ覚えておきましょう。 「はっきり現れること」を意味する「顕現(けんげん)」という熟語がありますが、「顕」と「現」は同義語です。そのため「現す」「顕す」は意味が非常に似ています。 「著す」は1つだけ性質の異なり、「出版する」という意味になります。
「表す」は「あらわす」と読む他に、「ひょうす」と読むこともできます。 一般的には「あらわす」と読むことが多いですが、「敬意を表す」「感謝の意を表す」などとフォーマルな場面では「ひょうす」と読みます。 「表す」の意味は、
です。 「表す」は「表現すること」です。自分の考えや感情を相手に伝えたい場合に用います。 例えば、「怒りを顔に表す」ならば、感情を表情から読み取れることを表します。 表情や外見に出す他に、ある方法で感情や物事の有り様を表すという意味で、「感謝の気持ちを絵で表す」などとも言います。この場合の方法とは、言葉・絵・音楽など様々です。 他にも、「Oは酸素を表す」ならば、「記号や色としてある特定の意味を伝え示す」という意味になります。
というような使い方をします。 「表す」の類語には、「表現する」「意味する」「形容する」「象徴する」などがあります。
例文 ①の意味
②の意味
③の意味
「現す」の意味は、
です。 「現す」は「出現すること」です。姿や本性、様子など見える形で示す場合に用います。 例えば、「犯人が姿を現す」ならば、「今まで隠れていた犯人が姿を見せる」という意味です。 「頭角を現す」「才能を現す」などといった場合は、今まで見せていなかったものを発揮するという意味で使われています。 また、「地鳴りが地震の前兆を現す」などと、「物事の前触れや能力を表に出す」という意味でも用います。
というような使い方をします。 「現す」の類語には、「出現する」「顔を出す」「台頭する」「抜き出る」「存在感を増す」などがあります。
例文 ①の意味
②の意味
③の意味
「顕す」の意味は「優れた行為などを広く世間に知らせること」です。 「顕」という字には、「物事が明らかになる、明らかにする」という意味があり、「顕著」「露顕」という熟語に使われています。 例えば、「その団体の慈善活動を世に顕す」などと使います。 優れた行為や素晴らしい行いを、何らかの形で人目にはっきりと分かるように示すことが「顕す」です。 悪い行いや、道に背いた行為に対して「顕す」を使うことはできません。
といような使い方をします。 「顕す」の類語には、「広く知らせる」「世に広める」「広く伝わる」「巷に広まる」などがあります。 「顕す」は「世間に知らせる」という意味で使われていますが、「顕」は表外漢字のため、代わりに「現す」を使うことが多いです。
例文
「著す」の意味は「書物などを書いて、世間に出すこと」です。 「著」は「書く、明らかにする」という意味で、「著作」「著名」などの熟語が使われています。 例えば、「彼女は何冊か、科学の本を著した」などと使います。 「著す」は「本を書いて世の中に送り出す」という意味なので、単に本を書いた、という意味では使うことはできません。
というような使い方をします。 「著す」の類語には、「著作する」「著述する」「述作する」「出版する」などがあります。
例文