「承諾」「承知」「了解」「了承」の違いについて説明できますか?4つともビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、上手く使い分けているでしょうか。なんとなく似ている言葉ですが少しずつ意味や使い方が異なります。そこで今回はそれぞれの意味や使い方について解説していきます。
「了解(りょうかい)」の意味は、物事の内容や事情を知り、納得することです。 「了解」は理解に重点を置いて使われる言葉で、理解した上でさらに認めることを表します。 自分と同等の相手や目下の人に対して使います。 「了承(りょうしょう)」の意味は、相手の申し出や事情を理解し聞き入れることです。 「了承」は「了解」と同様に、理解し認めることを意味しますが、「了解」よりも「受け入れる」「認める」ことに重点を置いて使われます。 「承知(しょうち)」の意味は、相手の依頼や希望、命令などを聞き入れることです。 「承知」は、「了承」よりも「知ること・聞き入れること」に重点を置いて使われます。 また、「了承」は目上の人が目下の人対して使う言葉ですが、「承知」は 目下の人が目上の人に対して使うときに使う言葉です。 「承諾(しょうだく)」の意味は、相手の意見・希望・要求などを聞いて受け入れることです。 「承知」は知ることや聞き入れることに重点を置いている言葉ですが、「承諾」は、受け入れるこことに重点を置いています。 「快諾(かいだく)」の意味は、相手の意見・希望・要求などを快く引き受けることです。 「承諾」に、さらに「快く」という意味合いを含んで使われます。 例えば、依頼などに対して二つ返事で引き受けてくれたという場合です。
「了解」には3つの意味があります。 ◯事情を思いやって納得すること・理解すること・飲み込むこと ◯無線などの通信で、通信内容を受け取ったことを表す語 ◯ディルタイ哲学で文化的・歴史的なものを生の表現とみなし、その生を追体験によって把握するこ 「了」は、音読みでは「リョウ」、訓読みでは「おわる・さとる」と読みます。 「了」は、「終わりになる」「明らか」「はっきりとさとる」ことを意味しています。 「解」は、音読みでは「カイ」、訓読みでは「とく・ほどく」と読みます。 「解」は、「与えられた問題に対する答え」「意味をとき明かす」ことを意味しています。 「了解」は「物事の内容や事情を知り、納得すること」「理解すること」といった意味で、多く使用します。 「了解」は、「理解」とほぼ同じ意味で使いますが、単に理解するだけではなく「理解した上でそれを認める」というニュアンスで使われます。
「了解」は、尊敬語でも謙譲語でもないので、同等もしくは目下の者に使うようにしましょう。 「了解」は何か頼まれたときの返事として使われることが多いです。 「了解」は日常会話で親しい友人に対しても使うことができる言葉です。そのため目上の相手に対して使うと軽い印象を与えてしまいます。「了解」「了解です」は当然のことながら、「了解しました」と丁寧な言い方でも失礼に当たります。 目上の相手に使ってはいけない言葉ですが、親しい間柄であれば目上の者に使っても許される場合があります。 その場合は、必ず「了解いたしました」とするなどより丁寧な敬語表現で使いましょう。
「了承」は、「承知すること」「相手の申し出や事情を理解し、聞き入れること」を意味しています。 「了承」は「了る」と「承る」で成り立っています。 「了」は、音読みでは「リョウ」、訓読みでは「おわる・さとる」と読みます。 「了」は、「終わりになる」「明らか」「はっきりとさとる」ことを意味しています。 「承」は、音読みでは「ショウ」、訓読みでは「うけたまわる」と読みます。 「承」は、「前のものを受け継ぐ」「相手の意向を受け入れる」ことを意味しています。 「了承」は「了解」と同様に、「理解し認めること」を意味しますが、「了解」よりも「受け入れる」「認める」ことに重点を置いています。 ただし「了承」には「許可する」という意味合いがあるため、上から目線のニュアンスが含まれてしまいます。
「了承」は、目上の相手に要求・依頼をする場合やそれを許可する場合に使用します。 「了承」をビジネスシーンにおいて使用する場面の例としては、
となります。 目上の相手などに何かを願い出る場合や相手に何かを提案する場合は、「了承」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて「ご了承いただけますか?」という形で使われることが多いです。 相手からの依頼を承知することを伝える場合にも使うことができますが、上述したように「了承」には「許可する」という意味合いがあるため、目上の相手からの依頼などの返事として使うと失礼にあたります。 基本的には、上司が部下など目下の人に許可を出す場合に使います。 「了解」と似ていますが、使用する場面が少々異なります。 「了解」は理解したときに使い、了承」は承諾したときに使うと覚えておきましょう。
「承知」には3つの意味があります。 ◯事情などを知ること、わかっていること ◯依頼・要求などを聞き入れること ◯相手の事情などを理解して許すこと 「承知」は「承る」と「知る」で成り立っています。 「承る」は謙譲語ですが、「承知」は厳密には謙譲語ではありません。しかし「承知」は「承」という文字を含むため丁寧な表現になっています。 「承」は、音読みでは「ショウ」、訓読みでは「うけたまわる」と読みます。 「承」は、「前のものを受け継ぐ」「相手の意向を受け入れる」ことを意味しています。 「知」は、音読みでは「チ」、訓読みでは「しる」と読みます。 「知」は、「物事の本質を見抜く」「相手を理解する」ことを意味しています。 「承知」は「旨をうけたまわって知ること」「聞き入れること」です。 「承知」は「百も承知」と使うように、「聞く・知ること」に重点を置きます。
「承知」は、目上の相手に対して使うことができる言葉です。 返答するときに、「承知」だけでは失礼ですが、「承知しました」というように丁寧語にすることで、目上の相手やお客様に使用することができます。 ビジネスシーンなどでも、何か依頼を受けたり、相手の話を理解したことを伝えたいときに自然と「承知しました」という言葉を使うのが良いでしょう。 「承知しました」と似た言葉に「承知いたしました」があります。「する」の丁重語「いたす」と丁寧語「ます」の過去形を加えたものです。 丁重語とは、自分をへりくだることで相手に敬意を示す謙譲語の一種で「謙譲語Ⅱ」ともいわれます。動作の対称ではなく話を聞いている相手に敬意を示すことができる敬語表現です。 「承知いたしました」は、「承知」に丁重語+丁寧語を使用した丁寧な表現であるため、目上の人に使っても問題ありません。 「了承」は目上の人が目下の人にする返事として使うことができる言葉なのに対して、「承知」は目下の人が目上の人にする返事として使うことができる言葉です。
「承諾」には2つの意味があります。 ◯他人の要求・依頼をもっともと思い、引き受けること ◯申し込みの意思表示と結合して契約を成立させる意思表示 「承諾」は、「承る」と「諾う」で成り立っています。 「承る」は謙譲語ですが、「承諾」は厳密には謙譲語ではありません。しかし「承諾」は「承」という文字を含むため丁寧な表現になります。 「承」は、音読みでは「ショウ」、訓読みでは「うけたまわる」と読みます。 「承」は、「前のものを受け継ぐ」「相手の意向を受け入れる」を意味しています。 「諾」は、音読みでは「ダク」、訓読みでは「うべなう」と読みます。 「諾」は、「応答すること」「引き受けること」を意味しています。 「承諾(しょうだく)」は、「相手の意見・希望・要求などを聞いて、受け入れること」です。 「承諾」は、ただ引き受けるだけではなく、「積極的に引き受ける」というニュアンスが含まれます。
「承諾」は依頼を引き受ける場面、特に取引や契約を結ぶ際において使われることが多いです。 例えば、「〜してほしい」と頼まれた場合に、それをしっかり理解して受け入れることを「承諾する」と言います。相手の依頼に対して「OK」と返事したことになります。 「承諾」は「先輩から承諾を得る」などと、個人の行為に対して使うことができます。 ただし、「資料をコピーすることを承諾する」というように軽いお願いごとに対して使うのには適しません。 取引先との契約をするような場面などで使うのが適しています。
⚠︎「承諾」に似た言葉に「受諾(じゅだく)」という言葉があります。 「受諾」は、「相手の申し入れや提案を引き受けること」で、「承諾」とほぼ同じ意味です。 しかし「受諾」は「ポツダム宣言を受諾する」といったように、公的な提案や要求などを正式に引き受ける際に使う言葉で、一般的にはあまり使いません。 「承諾」と「受諾」は間違えないように気をつけましょう。
「快諾」の意味は、「気持ちよく承諾すること」です。 「快」は、音読みでは「カイ」、訓読みでは「こころよい」と読みます。 「快い」は、「こころよい」「気持ちがよい」を意味しています。 「諾」は、音読みでは「ダク」、訓読みでは「うべなう」と読みます。 「諾」は、「応答すること」「引き受けること」を意味しています。 「承諾」と意味合いは同じですが、「承諾」にさらに「気持ちよく」「快く」という意味合いが含まれます。
「快諾」は、「承諾」と同じように依頼を引き受ける場面、特に取引や契約を結ぶ際に使われます。 例えば相手が自分の申し出や頼みに対して快く引き受けてくれたという場合は、尊敬を表す接頭辞「お」をつけて「ご快諾いただきありがとうございます」などと使います。 ただし、自分の依頼に対して相手が悩んで引き受けてくれたのに対して「快諾」を使ってしまうと軽い印象を与えてしまうことがあるので注意しましょう。 そのような場面では、「快諾」ではなく「承諾」を使います。 「快諾」は、自分の依頼などに対して相手が二つ返事で快く引き受けてくれたという場面で使うのが適しています。
「快諾」の例文
「了解しました」と「承知しました」の英語表現を見ていきます。 日本語の「了解しました」と「承知しました」のような違いは英語にはありません。 英語にはそもそも謙譲語という概念がないためです。 「了解しました」の英語表現は複数あるので、紹介します。
など。
"Can you make a copy of this document?" - "You got it."
「この資料コピーしてくれる?」-「承知しました」
「了解(りょうかい)」は物事の内容や事情を知り、納得することという意味で、理解することに重点を置いて使われます。 「了承(りょうしょう)」は相手の申し出や事情を理解し、聞き入れることという意味で、「了解」よりも受け入れたり認めることに重点を置いて使われます。 「了解」と「承知(しょうち)」は、どちらも相手の要求などを認めるときに使う言葉です。 「了解」は相手の話を理解し納得した上で認めるという意味で使い、「承知」は「了解」よりも相手の話を聞き入れることや知ることに重点を置いて使われます。