世の中にはよく似た言葉がたくさんあります。「随時・適宜・適時・逐一・逐次・都度・常時・順次」といった言葉もその中に当てはまります。「随時〜する」「適宜〜する」「適時〜する」などとよく聞く表現ですが、意味や使い方の違いについて説明できるでしょうか。意味の違いや、どっちがどっちだか意識して使っていないという方も多いかもしれません。そこで今回は「随時・適宜・適時・逐一・逐次・都度・常時・順次」の意味の違いと使い分けについて解説していきます。違いをしっかり確認してい、使い分けできるようにしましょう。
▶︎「随時」・・・好きなときにいつでも行動する。その時々、臨機応変に行動する ▶︎「適宜」・・・自己判断で、状況に合った行動をする ▶︎「適時」・・・ちょうど良い時間に、ちょうど良いタイミングに行動する(時間限定) ▶︎「逐一」・・・順を追って一つ残らず、何から何まで全部取り上げていくさま ▶︎「逐次」・・・決まった順番があり、きちんとそれに従い次々に行う ▶︎「都度」・・・物事が行われる度ごとに ▶︎「常時」・・・普段。いつも。平生 ▶︎「順次」・・・来た順や思いついた順などと、どのような順でもいいので次々と行う
「随時」は<ずいじ>と読みます。 「随時」の意味は、
となります。 「随時」は「いつでも」「好きなときに」と、時期を特定せずにいつでも行うといった意味合いです。 「随」という漢字には「成り行きにまかせる」をいう意味があります。そこから、「いつでも」「その時々、臨機応変に」という意味になります。 例えば、「質問は随時受け付けております」といった場合は「質問はいつでも受け付けております」という意味になります。「いつでも」といっても、”365日24時間いつでも大丈夫”ということではなく”可能な時間内に限り大丈夫”ということです。 また、「随時入学可能」といった場合は「特に時期を特定せずに、応募の状況に合わせていつでも学校に入学できる」と捉えられます。 このように「随時〜する」は、「日時の制限なしに、必要なときに何かを行うこと」を表します。
例文
「適宜」は<てきぎ>と読みます。 「宜」は「宣伝」の「宣」と間違えやすいですが、「宜」は「ぎ」と読むので「てきせん」などと読んでしまわないように注意しましょう。 「適宜」の意味は、
となります。 「適宜」は「そのときの状況に適していること」「自分自身がその場に適していると思う行動をとること」を表します。 「適」は「ぴったり当てはまる」、「宜」は「程よくかなっている」を意味します。 この2つが合わさって、「もっとも当てはまる」という意味になります。 その場に応じた行動をする、状況に合わせて自分自身が良いと判断した行動をとるときに使います。 「適宜」は”何に関してもちょうど良い”という場合に用います。 「ちょうど良い時」「ちょうど良い量」「ちょうど良いやり方」といったように、様々な意味で「ちょうど良い」ということです。広い範囲を表しています。
例文
「適時」は<てきじ>と読みます。 「適時」の意味は「時宜にかなうこと」「ちょうど良いとき」です。 「適時」は「適した時」と書くように、「ちょうど良いとき」という意味になります。 タイミングのことを指しているので、あくまでも時間のことを表すときに使います。 「ちょうど良い時間」「ちょうど良いタイミング」という場合に使うのが良いでしょう。 例えば、「適時休憩を取る」とした場合は「ちょうど良い時間に休憩をする」、「100mlの水を適時加えます」とした場合は「100mlの水をタイミングよく加える」という意味になります。 「適宜」と似ていますが、「適宜」は時間に限らず”何に関してもちょうど良い”ということを表します。 ですので、例えば料理のレシピで「塩胡椒を適時に入れてください」だったらタイミングのことだけを言っていますが、「塩胡椒を適宜入れてください」だったら量とタイミングの両方を指していることになります。 また、「適時」を用いた言い回しに「適時適切」があります。 「適時適切」とは、「物事を行うタイミングや方法が適切である」という意味です。 「適時適切な対応をする」「適時適切な判断をする」といったように使います。ビジネスシーンでは主に、企業の経営情報などを開示に関する言葉として使われます。
例文
「逐一」は<ちくいち>と読みます。 「逐一」の意味は「一つ一つ順を追うこと」「いちいち詳細に」です。 「逐」という字は、「順を追って進む」を意味します。 ですので、「順を追って、一つ残らず全部」「一から順を追って、余すところなく全て」といったことを表します。 「逐一」を用いた表現の中でもよく使われるのが、「逐一報告」というフレーズです。 「逐一報告」とは「何から何まで全て報告する」という意味になります。ビジネスシーンでも使われることが多い表現です。 また、「〜の逐一」という形でもよく使われていて、「出来事の逐一」「騒動の逐一」「事件の逐一」といったように用います。 例えば、「事件の逐一を警察に話す」とした場合は「事件を順を追って、何から何まで全部を警察に話す」という意味になります。
例文
「逐次」は<ちくじ>と読みます。 「逐次」の意味は「順を追って次々に」「順次」です。 物事が順番に次から次へと行われている様子を表します。 例えば、「合格者については逐次ホームページにて公表します」とした場合は「合格者については順を追って次々とホームページで公表します」という意味になります。 また、「逐次刊行物」という言葉もあります。「逐次刊行物」とは「新聞・雑誌・年報など共通の名称のもとに、終期を予定せず順を追い継続して刊行される出版物のこと」です。 「逐一」と非常に似ていますが、ニュアンスが少々異なります。 「逐一」は「一つ一つ順を追ってもらすことなく何かを行う様子」を表しているのに対して、「逐次」は「一つ一つ順を追って次々に物事が行われる様子」を表すと意味合いに違いがあります。
例文
「都度」は<つど>と読みます。 「都度」の意味は「そのたびごとに」「毎回」です。 「都」は「すべて。みな」、「度」は「たび。回数」を意味します。 ですので、「都度」は物事が行われるたびごとにということを表します。 「〜する都度」「その都度」といったように使います。また、「都度都度」という言い回しもあります。”毎回”ということを強調したい場合には、「都度」よりも「都度都度」を使うのが良いでしょう。 例えば、「その都度対応いたします」といった場合は「毎回対応します」という意味になり、「その都度連絡いたします」といった場合は「何かあったらそのたび連絡します」という意味になります。
例文
「常時」は<じょうじ>と読みます。 「常時」の意味は「いつも」「平生」「ふだん」です。 「常」は「いつも変わらない。いつも同じ状態が続くこと」を意味します。 「常時」は「常日頃。平生」を表していて、特別ではない普通の状態について言う場合に「常時の生活」「常時から〜している」などといった形で用います。 「常時」は、「いつも」「普段」といった言葉と同じように使うことができます。 例えば、「常時、朝起きたらラジオ体操をしている」といったら「いつも、朝起きたらラジオ体操をする」という意味になります。
例文
「順次」は<じゅんじ>と読みます。 「順次」の意味は、
となります。 「順次」は、順序を追って物事をする様子・順番に何かをする様子を表します。 順序を追って、目の前にあるものから順番に処理していくという場合に「順次」を使います。 例えば、「到着した方から、順次面接を行います」といった場合は「到着した方から順番に面接を行います」という意味になります。 「順次」は「逐次」はどちらも”順を追って次々に物事がなされる様子”という意味ですが、ニュアンスが少々異なります。 「順」は「従う。物事の次第」、「逐」は「後を追う。順を追って進む」を意味します。 どちらかというと、「逐」という字の方が「順を追って行う」という意味合いが強いです。 「逐次」は「決まった順番があり、きちんとそれに従い次々に行う」、「順次」は「来た順や思いついた順などと、どのような順でもいいので次々と行う」という意味合いです。 「順次」の方が、そこまで順番にこだわらないというニュアンスになります。
例文
「随時・適宜・適時・逐一・逐次・都度・常時・順次」の違いと使い分けについて理解できましたか? 似たような言葉ですが、それぞれ意味や使い方に違いがありましたね。 似た言葉でも、上手く使い分けができると相手に信頼感を与えることができます。 しっかり意味と使い方を理解して、使いこなせるようにしておきましょう!
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