「忘却」と「失念」の違いについて正しく認識しているでしょうか?「忘却する」「失念する」と似ているため、同じように使っているという方が多いのではないでしょうか。実はこの二つの言葉はそれぞれ異なります。そこで今回は「忘却」と「失念」の意味と使い方の違いについて解説していきます!
「忘却」・・・すっかり忘れること 「失念」・・・うっかり忘れること
「忘却」は「ぼうきゃく」と読みます。 「忘却」の意味は「忘れてしまうこと、すっかり忘れて思い出せないこと」です。 「忘」は「おぼえていないこと」、「却」は「〜してしまうこと」を意味します。 以前覚えていたことを、すっかり忘れてしまうことを表します。少しだけ思い出せる、一時的に忘れてしまったということではなく、完全に忘れてしまうことが「忘却」です。 「忘却」は詩的な表現で、小説や詩などで使われることが多いです。 「忘却する」「忘却し得ない」という形で用います。 「忘却の彼方(ぼうきゃくのかなた)」という表現がよく使われます。 「彼方」とは「遠く離れてしまうこと」で、「忘却の彼方」とすると「記憶や思い出を完全に忘れる」という意味になります。 「忘却の彼方へ消え去る」「忘却の彼方になる」などと使います。 「忘却」の類語には、「忘れる」「記憶が失われる」「思い出せない」「忘失する」「頭から消える」などがあります。
例文
「失念」は「しつねん」と読みます。 「失念」の意味は「覚えているはずのことをうっかりして忘れる、ど忘れすること」です。 「失」は「わすれる、思い出せない」、「念」は「考え、おもい」を意味します。 しっかりと覚えていたはずなのに、うっかり忘れてしまうことを表します。 「失念する」は「忘れる」の謙譲語としても使用します。 ビジネスシーンにおいて、「忘れました」と言うと無責任に聞こえます。「失念しました」と言い換えることで、誠実な印象を与えることができます。 謝罪するときに使うことが多いです。「失念いたしました」「失念しておりました」「失念してしまいました」などと使います。 自分自身の行動に対して使うので、「Aさんは失念したそうだ」「部長は失念していた」などと、他人の行動に対して使うのは間違いです。 他人の行動を表す場合は、「お忘れになったそうです」「お忘れになっていたそうだ」などと使います。 「財布を店に失念した」などと物を忘れた時には使用するのは間違いです。自分がすべき行動を忘れたときに使います。 「失念」の類語には、「ど忘れ」「物忘れ」「思い出せない」「記憶を無くす」「打ち忘れる」「取り忘れる」などがあります。
例文