「憮然」「呆然」「茫然」「唖然」「悄然」の違いについて正しく認識しているでしょうか?どれも「然」という字が含まれているため、しっかりと使い分けできていない人が多いのではないでしょうか。実はこれらの言葉にはそれぞれ違いがあります。そこで今回は「憮然」「呆然」「茫然」「唖然」「悄然」の意味と使い方の違いについて解説していきます!
「憮然(ぶぜん)」・・・「予想外の出来事に失望したり落胆して、どうすることもできないこと」 「呆然(ぼうぜん)」・・・「予想外の出来事に遭遇して、驚き呆れて気が抜けること」 「茫然(ぼうぜん)」・・・①「感じや話が漠然としていて、つかみどころがないこと」 ②「呆然」に同じ 「唖然(あぜん)」・・・「予想外の出来事に遭遇して、驚き呆れて言葉が出ないこと」 「悄然(しょうぜん)」・・・「元気が無くて、落胆しているさま」
「憮然」は「ぶぜん」と読みます。 「憮然」の意味は「落胆したりあきれたりして、どうすることもできないこと」です。 「憮」は「へこむこと、肩を落とすこと」、「然」は「状態を表す語」を意味します。 物事が思い通りにならず、失望したり気落ちしたりしてぼんやりしているさま、放心状態になることを表します。 「腹を立てているさま、不満に思っている様子」という意味で使われていることも多いですが、本来の意味とは異なります。 しかし、近年「憮然」を「ムッとする、不機嫌になる」という意で使用することが増えています。例えば、「憮然として反抗する」と用います。 本来ならば誤用である使い方が一般的になってきています。
というような使い方をします。
例文
「呆然」は「ぼうぜん」と読みます。 「呆然」の意味は「予想外の出来事に驚き呆れて、気が抜けたようになること」です。 「呆」は「意外なことに驚くこと、あきれること」を意味します。 予期していなかった出来事に呆気にとられて物も言えないこと、気が抜けてぼんやりしていることを表します。 この場合の「予期せぬ出来事」とは、嬉しくない、大したことないなど、マイナスなことに対して用います。 ショックを受けるような出来事に遭遇したり、自分が予測していなかった相手の態度や言葉が返ってきて驚いた場合などに使います。 「サプライズでパーティーを開いてくれて呆然とした」などと、嬉しい出来事に「呆然」を使うと不自然です。
というような使い方をします。
例文
「茫然」は「ぼうぜん」と読みます。 「茫然」の意味は、
です。 「茫」は「はっきりとしていない、ぼんやりしていること」を意味します。 「茫然」には二つの意味があります。 一つ目の意味は「漠然、曖昧としていてとらえどころがないこと」です。 例えば、「茫然たる未来」「茫然とした文章」などと使います。感じや話が曖昧で、どう評価して良いかはっきりしないことを表します。 二つ目の意味は「呆然」と同じです。 「茫然自失」という言葉があり、これは「驚き呆れて、我を忘れること」を意味します。「呆然自失」と書くこともあります。
例文 ①の意味
②の意味
「唖然」は「あぜん」と読みます。 「唖然」の意味は「予想外の事態に、あきれて言葉に詰まるさま」です。 「唖」は「驚いた時に出る声」を意味します。 予想していなかった出来事や事態にあって、驚き呆れて言葉が出ないことを表します。 ぼーっとしている様子ではなく、驚いて声も出ない状態を指します。 例えば、「スリに遭い、唖然とする」と用います。 「唖然」はマイナスな意味合いで使われることが多いイメージですが、「見た目からは想像できない美味しさに唖然とする」などとプラスな意味合いで使うこともできます。
というような使い方をします。
例文
「悄然」は「しょうぜん」と読みます。 「悄然」の意味は「気にかかることがあって、元気がないこと」です。 「悄」は「しょんぼりする、元気がなくなること」を意味します。 気力を失って落ち込んでいること、がっかりしていることを表します。古典においては「ひっそとしていて寂しいさま」という意味で使われています。 「悄然」は主に書き言葉として用います。話し言葉として使うことは少ないです。 例えば、「落選と聞き、悄然としてしまう」と用います。「落選と聞いて、落ち込む」というニュアンスになります。
というような使い方をします。 「孤影悄然(こえいしょうぜん)」という言葉があります。これは「一人ぼっちでものさびしいこと」を意味します。
例文