「特に」は日本語でよく使いますよね。英語で「特に」をどのように表現しますか?「especially」「specially」などが代表的ですが、実はニュアンスが微妙に異なります。そこで今回はまず日本語「特に」のニュアンスを整理してから、それぞれの英訳を考えてみました。
「特に」の英語表現を説明する前に、まず日本語の「特に」という言葉の持つ意味を確認しておきましょう。 我々は日本語のネイティブですから、ニュアンスの差異を意識せずに日々使っていますが、実際には3つのニュアンスがあります。 日本語の「特に」の3つのニュアンス
これらそれぞれに対して英訳を考えていく必要があります。 それでは1つずつ見ていきましょう。
同種の中で他と比べて際立っている「特に」を表す最も一般的な単語は「especially」です。「特に・なかでも」という和訳がしっかりくる単語です。 ✔「especially」の形容詞「especial」という言葉は「特有の」という意味になりますが、あまり使われません。 ✔ 「not especially」で「特に〜ない」という意味で、控えめな否定を表す 例文を見る前に「especially」を使う上での注意点を下記にまとめました。
「especially」の3つの文法ルール ① 修飾する言葉の直前に置くのが基本 ② しかし文頭には基本置かない ③ よって主語を修飾する時は、主語の直後に置く
My brother is especially good at math.
私の兄貴は数学が特に得意だ。
I love California wines, especially the white wines.
私はカリフォルニアワインが大好きで、特に白ワインが好きです。
You must watch out for pick-pockets, especially when you are in Italy.
イタリアにいるときは特に、スリに気をつけないとだよ。
Single young mothers, especially, often become depressed.
特に若いシングルマザーが、鬱になる傾向がある。
I'm not especially interested in sports.
私は運動には特に興味ない。
"Do you like watching football?" - "Not especially."
「サッカー観戦は好きですか?」-「いや、特に」
同種の中で他と比べて際立っている「特に」を表す代表的な言葉にもう1つ「particularly」があります。「in particular」も全く同じ意味で使えます。「特に・とりわけ・著しく」という和訳しっくりくる言葉です。 ✔「especially」と「particularly」はほぼ同じように使えますが、「especially」の方が強意的です。 ✔「particularly」の元の単語である形容詞「particular」は「特定の」という意味であり、他と比較して優れている、抜きん出ているという意味はありません。 ✔「not particularly」も「not espcially」と同じく控えめな否定を示します。これらをもっとカジュアルに表現すると「not much」です。 ✔ 文法のルールは基本的に「especially」と同じだが「In particular」なら文頭に置いてもOK
She is particularly kind to him.
彼女は彼に特に優しい。
I love America, particularly California.
私はアメリカが大好きで、特にカリフォルニアが好き。
※口語では「I love America, California particularly.」と後から修飾することも可能。
I don't particularly want to go shopping.
(行ってもいいけど)大して買い物に行きたいとは思わない。
ちなみに「particular」には名詞で「詳細」という意味もあります。
「peculiarly」は「especially」とほぼ同義で使えます。例えば「This is a peculiarly interesting book.」で「これは特に面白い本だ」となります。 「especially」の方が一般的なので、あまり目にする機会がないと思います。 ✔「peculiarly」の元の形容詞「peculiar」の意味は「変な」「異常な」「独特の」とネガティブな意味合いがあるので注意。「odd」「starange」などに近い ✔ 形容詞同様に副詞の「peculiarly」にも「奇妙に」「不気味なほど」「独特に」という感じにネガティブなニュアンスで他より際立っている、という意味があります。ネイティブはこっちの意味で使う方が多いので、「特に」という意味なら「especially」を使う方が無難 ✔「particular」とスペルが似ていますが、「particular」は「特定の」という意味で、両者の意味は全く違います。
She's a peculiarly attractive woman.
彼女は特に魅力的な女性だ。(「especially」と同義な例)
The streets were peculiarly quiet before the typhoon arrives.
台風が上陸する前、通りは不気味なほど静かだった。
「notably」も「especially」と同じように使えます。「とりわけ」「特に」という意味になります。 ✔ 「notably」の元の形容詞「notable」は「注目に値する」という意味 ✔「notable」の元の動詞「note」は「特記する」という意味
The company is beginning to attract investors, most notably big Japanese banks.
その会社は投資家たちを魅了しはじめた、特に日本の銀行だ。
他と区別した用途、目的などに合わせた「特別に」という意味で最もよく使われる単語が「specially」です。「特別に・わざわざ」という和訳がしっくりきます。「specially」には「especially」のように、他より優れている、というニュアンスはありません。例えば、「これは特別にあなたのために作りました」と英語で言うには「I made this specially for you.」です。この文章で「especially」を使うと少し不自然です。 ✔ 「specially」の元の形容詞「special」は「特別な」「特殊な」という意味で「ふつう一般とは違って」というニュアンスです。「specially」とニュアンスが同じです。 ✔ 形容詞「special」と同義で「臨時の」という言葉に「ad hoc」というのがあります。 ✔「わざわざ」というニュアンスでは「on purpose」と同義。 ✔ 「get treated specially」で「特別扱いを受ける」という意味になります。 ✔ 「especially」とスペル注意
I bought this candle specially for you.
特別にあなたのためにこのキャンドル買いました。
This is a class specially designed for non-native English speakers.
このクラスは、英語を母語としない人のために特別に作られました。
Astronauts are specially trained to deal with a variety of emergencies.
宇宙飛行士はあらゆる非常事態に対応するために特別訓練を受けている。
She always gets treated specially, just because she is cute.
彼女は可愛いという理由だけで、いつも特別扱いを受けている。
「expressly」は「specially」の堅い表現で、同じ意味で使うことができます。 ✔「expressly」には「はっきりと」という意味もある。 ✔「expressly」の元の動詞は「express」で「表現する」という意味
「specifically」も「specially」と同じく「特別に」という意味があります。 「specifically」には「明確に、細かく」という意味もあり「expressly」と似ています。「expressly」より「specifically」の方が圧倒的に使用頻度は高いです。 ✔「specifically」の元の形容詞「specific」は「特定の」という意味 ✔「Can you be more specific?」は「もっと細かく教えてください」のお決まりフレーズ
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「著しく」も厳密には他と比較して「著しい」わけですから、ニュアンスとしては「specially」より「especially」に近いです。しかし比較の意味合いが弱く(漠然と何かと比べて)「very」「much」「so」と同じように言う「特に」がありますよね。 例えば「今日は特に暑いな〜」は、厳密には他の日と比べていますが話者にそこまで比較の意識はありません。「とても暑いな」とニュアンスが近いでしょう。 そんなニュアンスの「特に」つまり「著しく」「格別に」「並外れて」の英語表現を最後に紹介します。(「very」「so」は一般的なので、それら以外の副詞を紹介したいと思います)
ただの強調を表す「著しく」「格別に」を表す代表的な言葉は「remarkably」です。 ✔「remarkably」の元の形容詞「remarkable」は「注目すべき」という意味です。 ✔「remarkable」の元の動詞「remark」は「言う」という意味。「say」の堅い表現
Software industry has remarkably advanced over the last 20 years.
ソフトウェア産業はこの20年で著しい進歩を遂げた。
ただの強調を表す「著しく」「格別に」を表す言葉には「exceptionally」もあります。 「exceptionally」は「remarkably」より強意的です。「異常に」 ✔「remarkably」の元の形容詞は「exceptional」は「例外的な」という意味
Today is exceptionally hot for this time of year.
この時期にしては異常に暑い。
この例文で「especially」を使っても問題なし。「exceptionally」の方がより強いニュアンス、かつ比較のニュアンスが弱い。
「outstandingly」にも「著しく、目立って」という意味があります。 ✔「outstandingly」の元の形容詞「outstanding」は「傑出した」「実に優れている」という意味
He is said to have been an outstandingly talented boy.
彼は大変な才能を持った少年だったという。
「特にオススメなのはこれです!」と英語でいう時は「I highly recommend this!」といいます。 この「特に」は「とても」という強調のニュアンスなので「highly」を使うのが一般的です。「especially recommned」とはあまりいいません。
I'd highly recommend studying English.
絶対英語勉強した方がいいよ。
I'd highly recommend him for that job.
その仕事には彼を強く推薦するよ。
「markedly」にも「著しく」という意味があります。が、この言葉はあまり使うことはないでしょう。こんな単語あるんだな、くらいでいいと思います。 ✔「markedly」の元の形容詞は「marked」で「印がついた」という意味 ✔「marked」の元の動詞は「mark」で「印をつける」の意味
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