「諸々」という言葉をご存知でしょうか。「諸々の事情により...」「諸々ありがとうございます」などと言います。「諸々」は、日常会話でもビジネスシーンでも比較的多く使われています。よく使う言葉だからこそ、普段なんとなく用いていないでしょうか。では、そもそも「諸々」は何を意味しているのか、どのような場面で使うのか、いろいろと疑問に思う点がありますよね。使用頻度が多い言葉なので、しっかりと意味を知っておく必要があります。そこで今回は「諸々」の意味や使い方、「色々・種々」との違い、類語について解説していきます。「諸々」を適切に覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「諸々」はもろもろと読みます。 「しょしょ」ではないので注意してください。「諸諸」と書くのも間違いではありませんが、あまり使いません。
「諸々」の意味は「多くのもの、さまざまなもの、いろいろなもの、多くの人」です。 「たくさんの、多くの」という意味で、数多い事柄やものごとを表します。
主に、「諸々の事情」「諸々の件」「諸々の料金」などといったように「諸々の◯◯」と名詞で使います。 「諸々」を付けることによって、ある事柄についてさまざまものがあるということを表すことができます。 特にビジネスシーンでは「諸々」は何か理由を明かしたくないときや、物事を特定されたくないようなときに使います。 本当の事を言ってしまうと問題がある場合、言い難い内容の場合は「諸々」を使うようにしましょう。
例文
相手が色々なことをしてくれたときに、全てを含めて「諸々ありがとうございます」と言います。 ひとつひとつ説明するにはやってもらったことが多すぎたり細かい場合に使われています。 ただ、相手に手間をかけたり時間を割いてくれたことは「諸々」でまとめずに、「○○をしてくださりありがとうございます」と伝えるようにしましょう。
例文
相手に依頼をするときに、いくつかやってもらうことがある場合に「諸々お手数おかけします」「諸々よろしくお願いします」などと使います。
例文
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「諸々」は様々な事情を統括できるため便利な言葉ではありますが、ビジネスでの謝罪をする場合は何について謝罪しているのか明確にする必要があるため、「諸々すみませんでした」などと使うのは避けましょう。 「諸々」だと「多くの...」「いろいろな...」という意味で非常に曖昧なため、そんなつもりはなくても説明を省略していると思われてしまいます。 謝罪をする場合は「◯◯と△△の点が不十分だったため、遅れてしまいました。大変申し訳ございません」などと、何に対して謝っているのかを細かく説明するようにしましょう。
「諸々」単体では敬語ではないため、目上の相手に対しては上記でも触れたように「ありがとうございます」などと敬語と共に使います。 ただ、目上の相手に対して感謝をする場合に「諸々」とまとめて言うと失礼になることもあります。
擬態語として「モロモロ」を使う人がたまにいますが、これは正式な日本語ではありません。 使われ方としては、水分と粉末などが混ざりきっておらずにダマになっているような状態や絵の具がチューブからなめらかに出ない様子を指すようです。 「脆い(もろい)」からきているとも言われ、もろくなって崩れるときに小さな塊がぼろぼろとこぼれる様子に近い感覚です。
「唯々諾々」の意味は「何事にもはいはいと他人の言いなりになるさま」です。 「々」という漢字が使われていますが、「諸々」ではないため注意しましょう。 ちなみに「諸」のつく有名な四字熟語には「諸行無常」があります。
「諸々」・・・「数多い事柄やものごと。さまざまなもの。多くの人」 「諸所(諸処)」・・・「いろいろな場所。ところどころ。あちこち」
「諸所/諸処」はしょしょと読みます。 漢字はどちらを使っても正しい表記になります。 「諸々」と「諸所」では意味が異なります。 「諸々」はさまざまなものに対して使いますが、「諸所」は場所に対してのみしか使いません。 「諸々」が「しょしょ」と読み間違えられることが多いため、「諸所」と混同してしまいがちですが、しっかりと使い分けれるようにしましょう。
例文
「諸々」・・・「数多い事柄やものごと。さまざまなもの。多くの人」 「諸般」・・・「いろいろな事柄。さまざま」
「諸般」はしょはんと読みます。 「諸々」と「諸般」はほぼ同じ意味ですが、ニュアンスが少々異なります。 「諸般」には「あれこれと考え合わせて...」という意味合いが含まれます。 主に、「諸般の事情によって...」という形で使います。これは「さまざまな事情を考慮した結果...」という意味です。 「諸々」よりも「諸般」の方が、曖昧度が高くなります。 ですので、「諸般」はマイナスな事柄を表す場合に使うことが多いです。特に何かを中止するという場面で用います。
例文
「諸々」・・・「数多い事柄やものごと。さまざまなもの。多くの人」 「色々」・・・「種類が多いさま。さまざま。あれこれ」
「色々」の意味は「種類の多いさま。さまざま。くさぐさ」です。 「その他色々」「色々な国」などと使います。 「諸々」と「色々」は意味はほとんど同じです。 諸々」がフォーマルな言葉なので、ビジネスシーンで使うならばこちらが適しています。 「色々」はどちらかというと、日常会話で使うことが多いですよね。 例えば、目上の人に「諸々ありがとうございます」ではなく「色々ありがとうございます」と言ってしまうと、なんとなく軽い印象を与えてしまいますので注意しましょう。
例文
「諸々」・・・「数多い事柄やものごと。さまざまなもの。多くの人」 「種々」・・・「いろいろなものがあること。種類や方法が多いこと」
「種々」はしゅじゅと読みます。 「くさぐさ」と読むこともありますが、「しゅじゅ」と読むのが一般的です。 「たねだね」「しゅしゅ」などとは読まないので注意してください。 「種々」の意味は「種類の多いさま。いろいろ。さまざま」です。 「諸々」と「種々」はともに「多いこと。いろいろあること」を表していますが、「諸々」は対象が様々なもので、「種々」は対象が種類や方法になります。 このように、「諸々」と「種々」では使い方が異なります。 ただ、「種々」はあまり一般的に使われることはありません。
例文
多種多様 (意味:種類や性質がさまざまであること) 「人の服装は多種多様である」 いろんな (意味:さまざまな) 「いろんなデザインの家が建っている」 各種 (意味:いろいろな種類。さまざま) 「各種サービスを確認して決定する」 様々 (意味:あれこれと異なっているさま。いろいろ) 「様々な角度から観察してみる」 諸種<しょしゅ> (意味:多くの種類。いろいろ) 「選べる色が諸種あって悩んでしまう」 多彩 (意味:種類が多くて変化に富み、にぎやかなこと) 「パーティーには多彩な顔ぶれが揃っていた」 各様<かくよう> (意味:様子がそれぞれであること。さまざま) 「それぞれ各様の意見を持っている」 各般<かくはん> (意味:もろもろ。いろいろ) 「各般の手を尽くしてみる」 よりどりみどり (意味:好き勝手に選んで取ること) 「どれを選ぶかはよりどりみどりである」 バラエティに富む (意味:種類や変化が豊富にあるさま) 「イベントではバラエティに富んだ企画が用意されている」 幅広い (意味:幅が広い。また、関係している範囲が広い) 「その団体は幅広い活動を行なっている」
「諸々の」は英語で、
などで表現することが可能です。 「various」=「many different」と置き換え可能です。 「様々な事情により」は「for various reasons」になります。 または「due to unforeseen circumstances」などと言っても同じニュアンスが伝わります。 「予期せぬ事情によって」という意味になります。 「諸々ありがとうございます」は「Thank you for everything.」という表現があります。 このように副詞的に使う「諸々」は「everything」で表現することができます。
She left the school for various reasons.
諸々の事情により、彼女は退学した。
No worries. I'll explain everything to you.
諸々説明しますので、心配しないでください。
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「諸々」について理解できたでしょうか? ✔︎「諸々」は「もろもろ」と読む ✔︎「諸々」は「さまざまなもの。多くの人」と、数多い事柄やものごとを表す ✔︎「諸々承知いたしました」「諸々ありがとうございます」などと日常会話だけでなく、ビジネスシーンでも使う ✔︎「諸々」の類語には、「多種多様」「様々」「多彩」などがある