「いい加減」という言葉をご存知でしょうか。「冗談もいい加減にしろ」「いい加減にしてくれ」といったように使います。「いい加減」は日常会話においても、使うことが多いですよね。では、「いい加減」の意味についてしっかりと理解しているでしょうか。「いい加減」と聞くと、何となくマイナスな印象を抱く人が多いかもしれません。実は「いい加減」は悪い意味だけではなく、良い意味としても使うことができます。正しく使うためには、意味についてきちんと知っておくことが必要です。そこで今回は「いい加減」の意味や使い方、類語について解説していきます。正しく覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「いい加減」の一つ目の意味は「適度、良い程度」になります。 これから紹介する通り、「いい加減」には複数の意味がありますが、元々の意味(語源)はこの「適度」という意味になります。 物事の状態や程度が良いこと、良い状態なのでキリの良いところで終わって欲しいことを表します。 「いい加減」は「良い加減」「好い加減」と表すこともできます。
「物事の具合が良い、程度が良い」という場合に「いい加減」を使います。 例えば、「お風呂がいい加減だ」といった場合は「お風呂の温度が熱くもなく、冷たくもなくて、ちょうど良いお湯加減だ」という意味になります。 「適度」という意味で「いい加減」を使う場合は、良いイメージを伴います。 主観的にちょうど良いという事を表したいときに、「いい加減」を使うのが適します。「いい加減」を使うことによって、極端ではない、過剰ではないことを表すことができます。 「いい加減」はキリが良いところで終わらせたいという意味で、「茶化すのもいい加減にする」「雪はいい加減止んで欲しい」といったように使います。
適度 (意味:物事の程度が良いこと) 「体型を維持するためには適度な運動が必要だ」 良い程度 (意味:ちょうど良い度合い) 「体に良い程度にスポーツをする」 よい頃合い (意味:ちょうど良い度合い) 「よい頃合いに仕事をする」 ほどほど (意味:ちょうどよい具合であること) 「酒やタバコはほどほどにしないと体に悪いよ」 適当 (意味:度合いが程良いこと) 「適当なところでひとまず終わりにする」 程よい (意味:ちょうど良い具合であること) 「程よい味付けで美味しい」 中くらい (意味:程度がちょうど真ん中ぐらいであること) 「彼はクラスで中くらいの成績だ」 中庸(ちゅうよう) (意味:一方に寄ることなく、変化しないこと) 「中庸の考えが必要となる」
「いい加減」の1つ目の意味である「ちょうどよい程度」から派生して「徹底しないこと、不十分なこと」という意味でも「いい加減」は使います。 「いい」加減ではなく「あまりよくない」加減、という意味で使います。 「いい加減」は元々「ちょうどよい」という意味でした。「ちょうどよい」ということは極端に良いわけでも極端に悪いわけでもありません。この状態をネガティブに捉えると「徹底していない」というニュアンスになります。
物事を最後まで行わないで途中で断念したり、無責任に放り出すことを表す場合に「いい加減」を使います。 この場合の「いい加減」は、マイナスなイメージを伴って用います。 例えば、「いい加減な人」といった場合は、仕事や勉強をしっかりとしない人、人との約束を守らない人、時間を守らない人、整理整頓ができない人、などが挙げられます。 「いい加減」は「良くないことである」という意味で使うことが多いです。 使い方としては、
などとなります。
生半可(なまはんか) (意味:十分ではなく不完全であること) 「生半可な気持ちで成功することはできない」 ぞんざい (意味:中途半端に物事を行うこと) 「彼女はぞんざいに扱われたことに怒っていた」 投げやり (意味:物事を運任せにすること) 「彼は投げやりな返事をしてばかりいる」 中途半端 (意味:物事が不完全であること) 「彼女はいつも中途半端に物事を終わらせる」 杜撰(ずさん) (意味:物事が不完全で間違いが多いこと) 「杜撰な対応に怒っている人が多くいる」 手抜き (意味:やるべき事をわざと省くこと) 「手抜きにしたことがバレバレである」 穴だらけ (意味:出来栄えに問題があること) 「この企画は穴だらけで実行できない」 雑 (意味:大雑把で適当であること) 「彼は物を雑に扱う癖がある」 でたらめ (意味:根拠がなくて適当であること) 「犯人が言っていることは全てでたらめだった」
「いい加減」は副詞的に使うと「かなり、とても」という意味でも使います。 普通よりも甚だしいこと、限界を超えていていっぱいいっぱいだということを表します。
「かなり、とても」という意味で使う場合は、不満な気持ちを込めて使います。 この場合は「限度を超えていて、気持ち的にギリギリだ」という心情を表したい場合に使うのが適します。 例えば、「ゲームを何回やってもクリアできず、いい加減うんざりする」といったように使います。これは「何回やってもクリアできずに、相当うんざりした」という意味になります。 「いい加減嬉しかった」「いい加減売れている」といったように、満足な気持ちを表す場合には使いません。 あくまでも「いい加減」は不安に思っていたり、物足りなく思っている場合に用います。 使い方としては、
などとなります。
とても (意味:程度が激しいこと) 「景色がとても綺麗だった」 かなり (意味:相当な程度であること) 「あの人はかなりお金を持っている」 相当 (意味:程度が物事に合っていること) 「それを行うには相当な決心がいる」 それなり (意味:ある物事に相応していること) 「練習すればそれなりの結果が出るはずだ」 ずいぶん (意味:程度が甚だしいこと) 「彼女は前よりもずいぶんと痩せた」 なかなか (意味:思っていた程度を上回っていること) 「きょうの料理はなかなか上手にできた」 けっこう (意味:十分ではないが、それなりであること) 「期待していなかったが、結構このアニメは面白い」 幾分 (意味:程度がほんの少しであること) 「幾分か見た目が悪いが、ほとんど良くできている」 過不及無い(かふきゅうない) (意味:ちょうど良い具合であること) 「今回の作品は過不及無い物になった」
「いい加減」について理解できたでしょうか? 「いい加減」には3つの意味が含まれています。正しく使うためには、それぞれの意味を覚えておく必要があります。 適切に知って、上手く使い分けできるようにしましょう!