「自負」という言葉をご存知でしょうか。「自負を持つ」「自負心が強い」などと聞いたことがあるかもしれません。「自分に負ける」と書くので、なんとなく悪い意味、マイナスな意味合いを伴って使う言葉なのかなと思ってしましますよね。このように、「自負」の意味について正しく理解している人は少ないです。そこで今回は「自負」の意味や使い方、語源、類語との違いについて解説していきます。「自負」の適切な使い方を知って、日常会話でもスムーズに使いこなせるようにしましょう!
「自負」は<じふ>と読みます。 「自」は音読みだと「ジ・シ」、訓読みだと「みずから・より・おのずから」と読みます。 「自」は「みずから。自分の。自分で」を意味します。 「負」は音読みだと「フ・ブ」、訓読みだと「まける・おう・おぶう」と読みます。 「負」は「後ろだてとする。頼みとする」を意味します。 「自負」の意味は「自分の才能・業績・仕事などに自信や誇りを持つこと」です。 自分の才能や仕事などに自信を持ち、誇らしく思うこと・強く自信を持っていることを表します。 誰かを頼みとするわけではなく、自分自身を頼みとする「自負」にはある種の決意が込められます。
「自」は「自己」、「負」は「背中に宝をのせる(大切なものを背負う)」というのが本来の意味です。 元々、「負」は「人が貝(財産やお金の象徴)を背中に背負っている様子」を表した漢字だそうです。 「負」は「宝をのせる」という意味から、「後ろ盾にする・頼みとするにする・背負う・背を向ける・そむく・まける」という意味になりました。 十分な後ろ盾(知識や業績など)があるため、強い自信と誇りに繋がって、「自ら頼みとすること・自分の能力などに自信と誇りを持つこと」という意味を示す「自負」という言葉が誕生したのです。 「自負」は「自信と誇りを持つ」という意味なのでなんとなく偉そうな感じがしますが、「負ける」という言葉が使われているので、「自負」は謙譲語ではありませんが謙譲表現にあたります。
「自負」は他人からの評価ではなく、自分自身が自身の能力や才能を認めていることを表すときに使います。 「自分で言うのはなんだけど....」といった意味合いのため、謙虚さをアピールすることができます。 また、「これだけは誰にも負けていない」「これに関しては相当な自信を持っている」といった気持ちが込められているので、ポジティブなイメージも伴います。 例えば、「プロであると自負している」と言えるような人は、自分の仕事に相当な自信があると言えます。 「自負心が強い」といった場合は「自信と誇りを持つ心」という意味になります。 ただ、相手によっては「(自分の努力の成果であると)自負する」と他人に表明すると、少し傲慢であると捉えられる可能性があるので使用する際は注意しましょう。
言い回し
例文
「自分の才能・業績・仕事などに自信や誇りを持つこと」という意味なので、「私は忘れっぽいことを自負している」といったようにマイナスなことについては基本的に使いません。 「私は頭が悪いと自負しております」「鈍くさいことは自負しています」などは誤用です。 このような場合には、「自負する」ではなく「自覚する」という言葉を使うのが良いでしょう。 「自覚」は「自分の置かれている状態、自分の価値・能力などをはっきり知ること」を意味します。
「自信」は<じしん>と読みます。 「自信」の意味は「自分の能力や価値を確信すること。自分の正しさを信じて疑わない心」です。 「自信がつく」「自信満々」「自信を失う」「自信に満ち溢れている」などと言いますよね。 何か自分の能力や価値を確信する場合に「◯◯には自信がある」と使うことができます。 「自信」は「自分で自分の能力や価値などを信じること」、 「自負」は「自分の能力や価値を信じるだけでなく、誇りを持つこと」を表します。 「自負」は”自信を持つ”というだけでなく、「他と比べて自分は優れている」といった意識を持っています。 このように、「自負」はある程度以上のレベルや価値がある事柄に対して用います。
例文
「自惚れ」は<うぬぼれ>と読みます。 「自惚れ」の意味は「実際以上に自分が優れていると思い込んで得意になること」です。 自身の能力を過信すること・ナルシストであることを表します。 うぬぼれている人は自分がそうだとは決して自覚していないので、「自惚れる(自分自身に惚れる)」もしくは「己惚れる(己に惚れる)」と表すことができます。 「自惚れ」は「実際以上に自分が優れていると思い、得意になること」 「自負」は「自分の能力や価値を信じるだけでなく、誇りを持つこと」を表します。 「自惚れ」は”実際にはそこまでの能力がないのに、優れていると思い込んでしまう”という、あまり印象の良くない意味合いとなります。
例文
「矜持」は<きょうじ>と読みます。 「矜持」の意味は「自分の能力を信じていだく誇り。プライド」です。 自分の能力を優れていると思い、自信や誇りを持って堂々と振る舞うことを表します。 「矜持を持つ」「矜持を傷つけられる」などと使います。 時々、「矜持」を「矜恃」と表記されていることがありますが、意味は同じです。 元々は「矜持」ではなく、「矜恃」と書かれていました。 「恃」は「力にして頼りとする。たのむ」を意味しているので、「矜持」と同様に「自分の誇りを頼りにする」という意味になります。 「矜持」は「自分の能力を信じ、誇りを持って堂々と振る舞うこと」、 「自負」は「自分の能力や価値を信じるだけでなく、誇りを持つこと」を表します。 意味合いが少々異なるので、間違えないように気をつけましょう。
例文
「誇り」は<ほこり>と読みます。 「誇り」の意味は「名誉に感じること。自慢に思うこと」です。 「誇」という字には「大げさに言う。自慢する」という意味が含まれます。 「誇りに思う」「誇りがある」などと言いますよね。 「誇り」は「名誉に感ずること・優れていると思って得意になること」、 「自負」は「自分の能力や価値を信じるだけでなく、誇りを持つこと」を表します。 「誇り」と「自負」は非常に似ている言葉ですが、少しニュアンスが異なります。 しっかりと、使い分けできるようにしましょう。
例文
誇り (意味:誇ること。名誉に感じること) 「私たちは彼のことを誇りに思っている」 プライド (意味:誇り。自尊心。自負心) 「彼女はとてもプライドが高い」 自慢 (意味:自分で、自分に関係の深い物事を褒めて、他人に誇ること) 「彼は優秀な成績を自慢していた」 虚栄 (意味:外見を飾って、自分を実質以上に見せようとすること) 「彼女は虚栄心や嫉妬心がむき出しになっている」 自尊 (意味:自分で自分をすぐれたものと思いこむこと) 「何とか自尊心を平常に保つ」 自任 (意味:自分の能力などが、それにふさわしいと思うこと) 「自分は天才学者だと自任する」 気位<きぐらい> (意味:自分の品位を誇り、それを保とうとする心の持ち方) 「あの人は気位が高いから、近寄りがたい」 優越感 (意味:自分が他人よりすぐれているという感情) 「他人に対して優越感を持たないようにする」
劣等感 (意味:自分が他人より劣っているという感情) 「同期が優秀なので、どうしても劣等感を抱いてしまう」 謙遜 (意味:へりくだること。控え目な態度をとること) 「彼女は先生に褒められて謙遜した」 慎む (意味:度をすごさないようにする。控えめにする) 「なるべくお酒を慎む」 へりくだる (意味:相手を敬って自分を控えめにする。謙遜する) 「彼は常にへりくだった態度で接している」 卑下<ひげ> (意味:自分を劣ったものとしていやしめること。へりくだること) 「そこまで卑下する必要はない」 自虐 (意味:自分で自分をいじめ苦しめること) 「彼の自虐ネタは面白くて笑ってしまう」 引け目 (意味:自分が他人より劣っていると感じること) 「彼女に引け目を感じてしまう」 謙虚 (意味:へりくだって素直に相手の意見などを受け入れること) 「試合の結果を謙虚に受け止めます」 卑屈 (意味:いじけて、必要以上に自分をいやしめること) 「あの人は随分と卑屈な顔をしている」
「自負自賛」は<じふじさん>と読みます。 「自負自賛」の意味は「自分の行為をすぐれていると思い込み、自分の行為を褒めること」です。 「自負」は「自分の才能・業績・仕事などに自信や誇りを持つこと」を意味します。 「自賛」は「自分の行為を自ら褒めること」を意味します。 「彼はいつも自負自賛ばかりでうんざりする」「自負自賛しなくては誰にも褒められないなんて虚しいね」などと使います。 似た言葉の「自画自賛」は「自分で自分の作品や自分自身のことを褒めること」を意味しています。
「自負」は英語で「pride」と表現することも可能です。 「I am pride of myself, because...」と言ってしまう、かなり自信満々なニュアンスになってしまうので、ビジネスの場所では避けた方がよいでしょう。 「I feel pride with....」で「....を自負しております」という感じになります。 また「I take pride in... 」で「...に誇りをもっている」というニュアンスになります。
I take pride in my work.
自分の仕事を自負しています。
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「自負」について理解できたでしょうか? ✔︎「自負」は<じふ>と読む ✔︎「自負」は「自分の才能・業績・仕事などに自信や誇りを持つこと」を意味 ✔︎「自負」は基本的に良い意味として使うので、悪い意味では使わない ✔︎「自負」の類語には、「プライド」「虚栄」「自尊」などがある