「十分」と「充分」どちらも「足りている」というニュアンスで使用する言葉です。辞書にはこの二つの言葉に違いは明記されていませんが、使い分けられることが一般的です。では、どのような使いわけ方をするのかご存知ですか?今回は、「充分」と「十分」の違いや使い方を解説しますのでぜひ参考にしてください。
「十分」と「充分」の違いは何か?と思い、実際に辞書を引いてみると、 「十分」・・・物事が満ち足りていて、不足・欠点のない様 「充分」・・・十分(じゅうぶん)に同じ と記載されており、とくにこれといった違いの明記はありません。 「じゅうぶん」という言葉は元々、「十分」という表記のみで使用されていた言葉で、あるとき「充分」という字を使用するようになり次第に使い分けることが一般的になりました。
「十分」は、「数値的・物理的に満たされている」といった意味で使用されます。 「数値的・物理的」とは、例えば「コップに水が十分に注がれている」というように、量的な物や、「みんなに渡すために十分な個数を用意してる」というような「不足なく満たされている」という意味合いで使用することをいいます。 数字の「十」という漢字を使用しているため「数値的なことに使用される」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
「充分」の意味は「精神的に満たされていること」です。 「充」という漢字は、「みちる・みたす」という意味のある言葉で精神的に充ちた状態を表現するのが「充分」となります。 例えば、「充分満足した」「充分楽しかった」のように「充分」を使用するのは、数値的なものではなく自分自身の心が満たされていることを表現しているためです。
ちなみに公用文では「十分」を使います。 本来的には「じゅうぶん」の漢字は「十分」のみで、古くから使われています。 時代の変化とともに、意味的に「みたされる」という意味の「充分」も使われてるようになります。 上記で述べた通り、広辞苑などで調べると「十分」と「充分」の違いと使い分けは明記されていません。 どちらを使うか迷ったときには「十分」を使えばよいでしょう。
「十分」は、数値化できる人数や売上に対して使用することができます。 例えば、「イベントを開催するに十分な参加予定者数である」というのは、人数を数えることができますし、「十分な売上げがある」というのも売上は数値化することができるので「十分」を使用します。 このように、数として足りているという場合に使用されます。
「十分」は、時間を表す「10分(じっぷん)」との混同に注意が必要です。 例えば、「冷蔵庫で十分冷やします」という説明を文章でする場合に、この表記だと、 「冷蔵庫で10分冷やす」なのか、「冷蔵庫でしっかりと冷やす」という意味なのか判断に困りますよね。 このように、読み手を困惑させないために文書で使用する場合には適切な言葉に言い換えることが必要な場合があることを頭に入れておきましょう。
「十分」の関連語には「腹八分目」「十二分」「十分量(科学)」などがあります。
「腹八分目」は、「はらはちぶんめ」と読みます。 「腹八分目」の意味は「食事をするときに、お腹いっぱいと感じるまで食べるのではなく、お腹の八分目をいわれるほどの分量におさえておくこと」で、健康や長寿にいいという意味の言葉です。 例文
「十二分」は「じゅうにぶん」と読みます。 「十二分」の意味は「余裕があるほど満足していること、ゆとりがあること」です。 「十二分」は「十分」を強めた表現となり、良い意味として使いますが、「そんなに必要なかった」と皮肉を込めて使うこともできます。 例文
「十分量」は「じゅうぶんりょう」と読みます。 「十分量」は、「十分な量がある」という意味で、科学では「その物質を加る目的を達成するのに十分な量」という意味で使用されます。 例文
台湾には「十分(シーフン)」と呼ばれる観光地があります。 「十分」は、台北市内から車で一時間ほど離れた場所に位置していう小さな町で、近年では「幸福が訪れる町」として多くの観光客が訪れています。 「十分」の中心地には商店街があり、多くの雑貨屋や洋服屋が立ち並ぶ他、カフェなど飲食店も多く、地元のおいしいグルメも楽しむことができます。 また、「十分」では一年中「ランタン飛ばし」を楽しむことができます。 自分の願いを込めた淡々が空高くとんでいく感動的な光景を体験することがきるのも「十分」に多くの観光客が訪れる理由となっています。
「充分」の意味は、
です 「充分」は精神的に満たされている状態を表します。気持ちが満たされている様子を指すので、数値化することができず、他の人からはその状態は分かりません。 したがって「充分」は「主観的に満たされている状態」ということです。
「十分」を「充分」の違いに付いて理解していただけましたか? もう一度まとめると、 「十分」は「量」など。数値化できるものに対して使用する 「充分」は「数値化できず、他人にはわからない満たされている気持ち」に対して使用する となります。