よく「適宜」という言葉を聞きますが、どういった意味を持つかご存知ですか?今回は「適宜」の読み方・意味・使い方も例文付き解説します!類語や英語表現も紹介します。また似た意味を持つ「適時」「随時」「都度」との違いも説明します。是非参考にしてみください。
「適宜」は「てきぎ」と読みます。 「宜」は、宣伝の「宣」という漢字と間違えやすいですが異なります。 「宜」は「ぎ」と読むので「てきせん」などと読んでしまわないように注意しましょう。
意味は、
の2つあります。 「適宜」は「そのときの状況に適していること」「自分自身がその場に適していると思う行動をとること」を表します。
漢字の語源を解説していきます。 「適」は「かなう」という意味の漢字です。 語原は「目的、中心とするところに寄る、進む」です。 その意味が転じて「目的がかなう」「目的となるところへ行く」などといった意味を持ちました。 また「ぴったり当てはまる」といった意味も持ちます。 「宜」は「よろしい」という意味の漢字です。 しかし語原は「祖霊を祀る建物」と「まな板の上にある肉」の組み合わせです。 殺して肉にした敵国の人をまな板に載せて祀ることを表している漢字です。(怖い) その意味が後に「盛る料理」と捧げる料理、宴会の意味でも使われるようになり、その盛り具合が「ちょうど良い」と「適している、よろしい」という意味に転じました。 この二つを合わせると、「ちょうどよく目的に適している」「もっとも当てはまる」という意味へとなりました。
「適宜」は「その場に応じた行動をする、状況に合わせて自分自身が良いと判断した行動をとるとき」に使います。 また「適宜」は何に関してもちょうど良いという場合に使うことができます。 そのため、タイミングや行動に関して使われるイメージが強いですが、「ちょうど良い量」「ちょうど良いやり方」といったような意味でも使われており、広い範囲を表しています。 例えば料理で「胡椒を適宜入れてください」と使うことができます。 これは胡椒を入れるタイミングだけでなく胡椒の量もちょうど良く入れてくださいといった意味があります。
医薬品の用法で「適宜増減」と使われることがあります。 これは、年齢や症状によって薬の用量を増減するといった意味になります。 どれほど増減する、といった明確な数値は指定されていませんが「通常量の2倍に増やす、もしくは半分に減らす」くらいとのことです。 通常量の2倍や半分くらいであれば、特に問題ないようですが心配な場合は医者や薬剤師に確認しましょう。
ビジネスシーンで「適宜」を使う場合に指す主体は主に「個人」となります。 各人がそれぞれ適切に状況や場に対応するといった意味が含まれています。 組織全体や団体でといった意味ではなく「各人が適切に」といったニュアンスが強いです。 「ある程度自分の裁量で判断・行動しても良い場合」や「状況を見てそれに合った行動を各自取ってほしい時」などに用います。
ビジネスシーンでは、主に上司から部下へ仕事の指示を出す際に「適宜」が使われています。 取引先やお客様次第で、対応するタイミングや仕方はそれぞれ異なります。 そのためそれに合わせて「各々が適切に状況や場に合わせてください」ということになります。 自分たちのマニュアルやルールだけでなく、相手に合わせた対応をすることはとても大切です。 そのため、上司が部下に指示を出す時に「相手の状況や気持ちを考慮して」「場や状況に合わせて」といった意味合いで「適宜」と使われています。 「適宜対応してください」「適宜確認してください」は「相手の状況に合わせて対応してください」「場に合わせて確認してください」となります。
「適宜」は敬語を用いることで目上の人に使うこともできます。 例えば「適宜ご連絡します」といえば、「場や状況に合わせて連絡する」といった意味になります。 「適宜」という言葉自体には敬意は含まれないため、取引先やお客様など目上の人に使う場合は尊敬語や謙譲語を併せて用いるようにしましょう。
しかし「適宜」とは、「臨機応変に」と良い意味で使われますが、どういった状況やタイミングか定まっていません。 相手によっては明確ではないことを無責任だと思うことがあります。 「いつ確認するか」「いつ対応するか」と時期を明確にするべき内容の場合は「適宜」ではなく「明日確認いたします」「本日中に対応いたします」と使うようにしましょう。
ビジネスシーンでは「適宜対応してください」「適宜確認してください」などと使われることが多くあります。 先程も説明しましたが、取引先やお客様次第で対応や確認などをするタイミングや仕方はそれぞれ異なり相手に合わせた対応をすることはとても大切です。 しかし、それぞれの適切だと判断するタイミングや状況は同じなわけではありません。 そのため「適宜対応」「適宜確認」と指示を出して、全く見当違いな対応や確認をしてしまうこともあります。 また、適切なタイミングが分からずに困ってしまう人もいます。 上司から部下(特に新人など)に指示を出す場合は、しっかりとその業務内容や対応方法を把握するまでは「適宜」ではなく的確な指示を出すように心がけましょう。
▶︎「適宜」・・・自己判断で、状況に合った行動をする ▶︎「随時」・・・好きなときにいつでも行動する。その時々、臨機応変に行動する ▶︎「適時」・・・ちょうど良い時間に、ちょうど良いタイミングに行動する(時間限定) ▶︎「都度」・・・物事が行われる度ごとに
「適時」は<てきじ>と読みます。 「適時」の意味は「時宜にかなうこと」「ちょうど良いとき」です。 「適時」は「適した時」と書くように、「ちょうど良いとき」という意味になります。 「適時〜する」と使った場合は、「行動をするのにちょうど良いタイミングを見計らう」「ふさわしい時に合わせて行動をする」といった意味になります。 タイミングのことを指しているので、あくまでも時間のことを表すときに使います。 例えば、「適時休憩を取る」とした場合は「ちょうど良い時間に休憩をする」、「100mlの水を適時加えます」とした場合は「100mlの水をタイミングよく加える」という意味になります。 「適宜」と似ていますが、「適時」はあくまでも時間のことを表すときに使うのに対して「適宜」は時間に限らず”何に関してもちょうど良い”ことを表します。 ですので、例えば料理のレシピで「塩胡椒を適時に入れてください」だったらタイミングのことだけを言っていますが、「塩胡椒を適宜入れてください」だったら量とタイミングの両方を指していることになります。
○「適時」の例文
「随時」は<ずいじ>と読みます。 「随時」の意味は、
となります。 「随時」は「いつでも」「好きなときに」と、時期を特定せずにいつでも行うといった意味合いです。 「随」という漢字には「成り行きにまかせる」をいう意味があります。そこから、「いつでも」「その時々、臨機応変に」という意味になります。 例えば、「質問は随時受け付けております」といった場合は「質問はいつでも受け付けております」という意味になります。「いつでも」といっても、”365日24時間いつでも大丈夫”ということではなく”可能な時間内に限り大丈夫”ということです。
○「随時」の例文
「都度」は<つど>と読みます。 「都度」の意味は「そのたびごとに」「毎回」です。 「都」は「すべて。みな」、「度」は「たび。回数」を意味します。 ですので、「都度」は物事が行われるたびごとにということを表します。 「〜する都度」「その都度」といったように使います。また、「都度都度」という言い回しもあります。”毎回”ということを強調したい場合には、「都度」よりも「都度都度」を使うのが良いでしょう。 例えば、「その都度対応いたします」といった場合は「毎回対応します」という意味になり、「その都度連絡いたします」といった場合は「何かあったらそのたび連絡します」という意味になります。
例文
(意味:その場合によく当てはまって、ふさわしいこと) …「適切」は「とりわけふさわしい」「うってつけ」のといったニュアンスを含み、目的や状況に過不足なくぴったりと当てはまることを表します。
・「主任はいつも適切な指示や指導をしてくれる」
(意味:適当で正当なこと) …「適正」は「正しいこと」「正当であること」といった意味を強く指しています。ただ適しているだけではなく、「正しく」適していることを表します。
・「小さなミスであっても適正な処理を行わなければ、今回のプロジェクトはおじゃんなる」
(意味:過大ではなくちょうど適していること、手で握るのにちょうどいい太さや大きさであること) …扱うのに適しいている様子を表しています。特に価格に対して使われていますが、「ほど良い感じ」「手を出しやすい」といったニュアンスで物事に対しても用いられています。
・「就職にあたり手頃な場所でアパートを借りた」
(意味:程度がちょうど釣りあっていること、ふさわしいこと) …「相応」は「釣り合いがとれていること」の意味合いで主に使われています。
(意味:そうすることが当然である、適当でふさわしい) …「そうあるべき、当たり前である」といったニュアンスがあります。また、「全うな」「正しく」といった意味も含みます。日常的な会話ではあまり使われず、やや硬く厳粛な場面で用いられています。
(意味:必要なときに、必要となった場合に) …「必要に応じて」は場や状況に合わせてといった意味ではなく、必要であればといった意味で使われます。 そのため、必要でなければ何もしなくて良いということになります。
意味別に「適宜」の英語表現を考えていきます。 1つ目の「その時その場にぐあいよく適するように行うさま」を意味する英語は、
などを使います。 「各自がよいと思うようにすること」を意味する英語は、
もくしくは英語では「各自がよいと思うようにする」という意味の「適宜」はわざわざ訳さなくても大丈夫です。欧米ではそもそも各自の判断で行動する人が多いので、「on your own judgment」と言われると少し大袈裟に感じる人が多いでしょう。
He can use three languages accordingly in the workplace.
彼は職場で適宜3ヶ国語を使い分けている。
If you finish your task, please feel free to go for lunch.
仕事が終わったら、適宜昼食にしてください。
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「適宜」について理解できたでしょうか? ✔「てきぎ」と読む ✔「その場に適していること」「その時々に応じて各自が良いと思うように判断し行動すること」と2つの意味がある ✔「適時」「随時」と似た意味をもつ 「適宜」…適したタイミングで、各自のタイミングで 「適時」…何かをするのにふさわしいタイミングに合わせる 「随時」…いつでも、その時々で といった使い分けができることがわかりました。 「適宜」は日常的にも、ビジネスシーンでもよく使われており、文書などでも見かける言葉です。 しっかりと覚えておきましょう!