「真摯に受け止める」という言葉を聞いたことがあると思います。主にビジネスシーンやテレビなどの謝罪会見で話しているのを想像すると思います。 今回は「真摯」の正しい意味と使い方を例文付きで説明していきます。「誠実」「紳士」との違いも解説します。類語や英語表現も紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
「真摯」は「しんし」と読みます。 「しんげき」と読むのは間違いですので注意しましょう。
意味は「まじめでひたむきな様子」「一生懸命に物事に取り組むこと」です。 「真摯な態度」で「まじめでひたむきな態度」といった意味です。
「真」の字は、「まこと、本物(=真心)」「自然のまま(=天真爛漫)」「本質(=真実)」「正確(=真正面)」などといった意味があります。 「真」の字の旧字体は「眞」です。 なんと語源は「死者」と「倒れた首」の組み合わせで「野垂れ死んだ人」を表す漢字です。 「死」は偽ることのできない真実であることから「まこと」といった意味になりました。 「真摯」の「摯」の字は、「攻撃」の「撃」に似ていますが、異なります。 「真摯」の「摯」は「幸」に「丸」と上に書いて、「手」を下に書きます。 「摯」という字には「掴む、握る」「手厚い、まじめ」などといった意味があります。 それらが組み合わさり「まじめ」の意味が強い「ひたむきなさま、一生懸命に取り組むこと」といった意味の漢字になりました。
「真摯」は主にビジネスシーンをはじめとした、厳粛な場面で使われます。 文章や話す際でもかしこまった使い方をします。 主に「真摯に~する」「真摯な~」といった形でよく用いられています。 「一つのことだけを熱心に取り組むこと」で、一切の遊び心や偽りのない様子を表しています。 このように、かしこまった口調や文章の時に使う言葉ですので、目上の人に指摘された時などに「真摯に受け止めます」といった使い方が出来ます。 そのため、日常的な会話やメールでのやり取りの際に「真摯」という言葉を使うのはあまり適していません。 それでは「真摯」という言葉を用いた例文を紹介します。 上記で説明した以外の使い方の参考にしてください。
さらにわかりやすいように「真摯に○○(動詞)」「真摯な○○(名詞)」のよく使われている言葉を紹介します。
「真摯に受け止める」とは多く使われている形です。 よくメディアなど謝罪会見などで耳にしますよね。 そのため、悪いことをしたときや謝罪する時に使う表現であると思われがちです。 ただ、実際に「嬉しいこと」や「楽しいこと」、「良い評価をもらった時」などには「真摯に受け止める」という表現はあまり適していません。 言葉の通り、「真摯に受け止める」とは「まじめに受け止める」といった意味です。 必ずしも「悪いこと」をした時ではありませんが、「指摘」や「不祥事」など「至らなかったこと」「改善すべきこと」に対して主に使われています。 要するに「重く受け止めている」といったニュアンスを含み伝える言葉になります。 例えば「今回の件については、現在対応しています」といった文章があったとします。 それに「真摯に受け止める」を足すと「今回の件については真摯に受け止め、現在対応しています」となります。 「真摯」が入ると「今回の件」を重く受け止めているさまが伝わります。 その他にも「真摯に受け止める」を用いた例文をいくつか紹介します。
真面目で愚直な態度で、物事へ真剣に取り組む姿勢のことを表します。 ただひたすらこなす、といよりも、熱意やひたむきさが伝わってきます。 ビジネスなど厳粛な場面でのスピーチや面接などで「真摯な態度で取り組みます」などと言うと、嘘や偽りのない態度、熱心で一生懸命な態度、であることが分かる表現でしっかりと相手に伝わります。 では、「真摯な態度」を用いた例文を紹介します。
▶「真摯」・・・「まじめでひたむきな様子」 ▶「誠実」・・・「心がまっすぐであること、正しく本当であること」
「真摯」と「誠実」は似た意味を持ちます。 では、違いはどこにあるのでしょうか? それは、対象が「事」か「人」かという点に違いがあります。 「誠実」の場合には、具体的な「相手(=人)」がいます。 相手に対して、裏切らずに期待に応えようと嘘偽りなく正しくある様子を指すのが「誠実」です。 それに対して「真摯」は、上記のように相手がいるかは関係ありません。 あくまで、自分自身の姿勢として、真面目に一生懸命に、何らかの「事(=行為や対応など)」に当たるのが「真摯」です。 「真摯」は自分自身の姿勢ですので「学問に真摯に取り組む」とは言いますが、「誠実」は誰かに対しての姿勢ですので「学問に誠実に取り組む」と置き換えると不自然のなります。 また、「真摯」はあまり人そのものを表す言葉では使われません。 姿勢や態度については「真摯な姿勢」「真摯な態度」と言います。 それに対して、「誠実」は「誠実な人」「誠実な人柄」などと主に使われます。 要するに「真摯」は人の言動を表現する言葉で、「誠実」は人の性格を表現する言葉です。
▶「真摯」・・・「まじめでひたむきな様子」 ▶「紳士」・・・「品のある礼儀正しい男性」「成人男性のこと」
(意味:本気であること、真心を込めること) 人の性格や様子についてよく使われる言葉です。
○「真面目」を用いた例文 「彼はとても真面目な人だ」 「私は休まずに真面目に働いてきた」
(意味:真面目に物事に取り組むさま、遊び半分でなく本気なこと)
○「真剣」を用いた例文 「毎日真剣に取り組んでください」 「彼女は真剣な眼差しでその方向を見ていた」
(意味:そのことに深く心を打ち込んでいること)
○「熱心」を用いた例文 「私の妹はその監督の熱心なファンだ」 「新入社員は熱心に資料を読み込んでいた」
(意味:ある限りの力を出し尽くして、がんばること)
「部長は新プロジェクトについて懸命に考えていた」 「子供が懸命に涙をこらえている姿はぐっときてしまう」
(意味:ただ一つのことに打ち込んでひたむきな様子)
「A社への一途な想いが報われて、就職することができた」 「彼は一途に努力していた」
(意味:一つの事に熱中するさま)
「後輩のひたむきに仕事に打ち込む姿に心を打たれた」 「どんなことであれひたむきに頑張ることは大切だ」
(意味:打算的な考えをもたず、真心込めて相手に接する心をいう)
(意味:真面目ではないこと、真面目さが欠けること)
「仕事に不真面目な人は会社に必要ない」 「自分自身の不真面目な態度を改める」
(意味:誠実ではないこと、心がこもっていないさま)
「不誠実な人に接客は任せられない」 「彼はあまりに不誠実で、みんなに呆れられている」
(意味:態度に重みや慎重さがなく、軽々しいさま)
「かしこまった場での軽薄な言動は慎みましょう」 「彼は昔から軽薄で浅はかな人だった」
(意味:自分の言動に責任をもつという態度が無いこと)
「自分が言い出したくせに途中で投げ出すなんて無責任だ」 「すべて部下のせいにするなんてあまりに無責任な人だ」
(意味:すべきことをなまけて、だらしない様子)
「何もせずに文句ばかり言っているのは怠惰である」 「怠惰な生活をするのは、なまけて気楽なようでとてつもない虚無感を生む」
(意味:考えや行動などが軽はずみで、浮ついているさま) ※軽佻…落ち着きがなく、よく考えないで言動するさま ※浮薄…浮ついて軽々しいさま
「彼の軽佻浮薄なところがどうも苦手だ」 「私の友達は軽佻浮薄な人ばかりだが、みんな優しい」
「真摯」は英語で「sincerity」です。形容詞は「sincere」です。 「真摯な態度で」は「with sincerity」と言います。
More than sincere words of support, we need action.
真摯な言葉よりも、我々には行動が必要だ。
The politician spoke with such sincerity that you had to believe her.
その政治家は真摯な態度で話すので、皆彼女を信じずにはいられなかった。
「正方形」を意味する「square」もスラング的に「真面目」という意味があるの知っていましたか?スラング英語「square」に関しては下記の記事で詳しく書きましたので、ぜひ参考にしてみてください。
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「真摯」について理解できたでしょうか? ✔「しんし」と読む ✔意味は「ひたむきな様子」「一生懸命取り組むこと」 ✔「真摯に受け止める」などと使う ✔「誠実」「真面目」などと同義語 「真摯」はよく使われている言葉のひとつです。 ビジネスシーンでも「真摯な態度」はとても大切です。 言葉の意味をしっかりと理解し、「真摯」に仕事に打ち込みましょう!