「かまける」という言葉の正しい意味や使い方をご存知ですか?「かまける」は非常に誤用の多い言葉です。今回は、「かまける」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。また、語源や、類語、「かまける」の多い誤用例についても解説しますので参考にしてみてください。
「かまける」の意味は、ある一つのことだけに注意を奪われるです。 ある一つの事に気を取られ、他のことをおろそかにしてしまうという状態の時に使う言葉です。 その他にも「心動かす」といった意味がありますが、こちらの意味で使われることはほとんどありません。
「かまける」は漢字で「感ける」と書きます。 「感」は音読みで<かん>と読みます。 「感」には、物事を見たり聞いたりした時に、心が惹かれること、関心、共感をするという意味があります。 心の動きが一つの事に囚われて、他の事が手につかないという様子から、「感」という漢字が使われていると考えられています。 「感ける」<かまける>は、日常生活で使う漢字として国に定められている「常用漢字表」には記載されていない「表外読み」と言われている読み方なので、新聞や公文書で使われることはありません。 この「表外読み」とされている漢字は、ひらがなで表記されることがほとんどなので、「かまける」もひらがなで表記されていることが多いです。 「感ける」を見て<かまける>とすぐに読むことができない人が多いのは、その為といえるでしょう。
「かまける」という言葉は、年配の人が使うイメージが強いので、方言だと思っている人も少なくないと思います。 一般的に使われている「ある一つの事だけに注意を奪われる」という意味の「かまける」は方言ではありません。 しかし、岐阜県や長野県では方言として「かまける」を使用している地域もあります。 方言で使われている「かまける」は、地域によって使い方が異なる珍しい言葉です。 長野県の北信や東部では、「物事を一生懸命に行う」という意味で使われており、中信や南部では、「愚痴をいう」という意味で使われています。
「かまける」の語源は、古語です。 日本最古の歌集である万葉集に「はやしき翁の歌におほほしき九の児らやかまけて居らむ」という歌があることから、7世紀頃から使用されていた言葉なのではないかと言われています。 この時の「かまう」は、心をひかれる、関心するという意味で使われていました。 日本書紀では「中臣鎌足、便ち遇まるるにか負けて舎人に語り曰く」という一説があり、この「かまける」が現在使用されている意味の「一つの事だけに注意を奪われる」であることから、720年頃より現在のような使いかたをするようになったのではないかと言われています。
「かまける」は、一つの事に心とられて、本来やらなければならないことを疎かにしてしまった時に使用することができる言葉です。 「〇〇〇にかまけて、~」という形でよく使い、〇〇〇には一般名詞が入ることがほとんどです。 何に注意を奪われてしまったのかを先に述べて、それによって何が起きてしまったのか状況を説明します。 例えば、「裁縫にかまけて家事をおろそかにしてしまった」というのは、「裁縫だけに注意を奪われて、家事をおろそかにした」という意味になります。 日常生活でも耳にしますし、「かまける」を使う機会もあるのではないかと思います。 「かまける」は目上の人にも使える言葉なので、ビジネスシーンでも使用することができます。 「新商品の開発にかまけて既存商品の改善点を見落としていました」といったように、何か問題がおきた理由を説明する場面などで使うことが多いです。 しかし、ビジネスシーンで使用するときは、「かまけて」を「言い訳にする」というニュアンスで使用してしまったりなど、誤用してしまわないように注意しましょう。 「かまけて」の使い方は例文を参考にしてみてください。
「かまける」は「なまける」という意味で誤用されることが多いです。 意味も読み方も似ているので、誤用されるのでしょう。 「かまける」は「一つのことに気を取られる」という意味です。 一方、「怠ける」は「するべきことをせずに時間を無駄に過ごす」、「だらけている」という意味があります。 例えば、「大学生活の4年間かまけていたわけではない」といったような「かまける」を「怠ける」という意味で使用することは誤用です。 「かまける」という言葉を使用するのであれば、「大学生活の4年間を遊びにかまけて勉強をおろそかにしていたわけではない」というように、何に気をとられて何がおきたのか明確に表記する使い方をするほうが正しいと言えるでしょう。 また、同じように「かまける」に「怠ける」の意味をもたせて「勉強をかまけて遊びに夢中になっていた」という使い方をしてしまうこともよくある誤用なので注意しましょう。
「かまける」で多い誤用の例として、「かまける」に「言い訳をする」という意味をもたせて使用してしまうケースがあります。 「仕事にかまけて」は「仕事に気が取られて」という意味で使う場合は正しいのですが、「仕事にかまけて」を「仕事を言い訳にして」というニュアンスで使うことは誤用です。 例えば、「仕事にかまけて近年は帰省していない」といったように「仕事を言い訳にして近年は帰省していない」という意味の使い方は正しくありません。 「かまける」を使用して「仕事を理由に帰省していない」と伝えたいのならば、「仕事にかまけて帰省する時間をとることができなかった」というような使い方をするほうが自然だといえるでしょう。
「忙しさにかまける」とは「忙しいことに注意が奪われる」という意味になります。 一般的な表現を例にあげると、「忙しさにかまけて、運動する暇がない」という使い方をすると「忙しいことに注意を奪われて運動をする暇がない」という意味になります。 なんだか不自然に感じませんか? 「忙しさにかまけて、運動する暇ない」というならば、「忙しくて、運動する暇がない」と表現する方が自然です。 しかし、「忙しさにかまける」は誤用ではありません。 「忙しさにかまけて~、〇〇〇」という使い方をするよりも、「忙しさにかまける」<忙しくて物事をおろそかにする>という使い方をするほうが、より自然です。
「かまける」を、「優しさにかまける」という使い方をすることは誤用です。 「優しさにかまける」とは、「優しさに甘える」という意味で使われているものだと思われますが、「かまける」に「甘える」という意味はありません。 「かまける」を本来の意味で使うとするのであれば、「優しさに注意をとられて」という意味になっていまいます。 よって、「甘える」というニュアンスで使用することは誤用だといえるでしょう。 また、「欲にかまける」といったように、「誘惑に負ける」というニュアンスで使うのも誤用です。 例えば「遊びにかまけて勉強ができなかった」という使い方であれば間違いではありませんが、「欲にかまけて勉強ができなかった」という使い方をしてしまうと誤用になってしまうので注意しましょう。
「なおざり」の意味はいい加減にする様・何もしないことです。 「なおざり」を漢字で書くと「等閑」となります。 「なおざり」は平安時代から使われていたとされており、「なお去り」と表記されていました。 「なお」は「そのまま何もせずにいること」で、「去り」は「遠ざける」という意味で、「何もしない」という意味になります。 こうしたことから、現在も「いい加減にする」や「何もしない」といった意味で使われています。
「おざなり」の意味は当座をとりつくろうこと・その場のがれにという意味です。 「当座」とは、「その場」や、「即座に」という意味があるので、物事に直面したその場のがれに物事を済ますという意味になります。 「おざなり」を漢字で書くと「御座なり」となります。 「座」は「座敷」という意味で、ここでいう座敷とは、江戸時代の芸人が宴をする席を指しています。 芸人が、それぞれ演じる座敷に合わせて芸を行う様から、「即座・その場しのぎ」といった意味で使用するようになったと言われています。 「おざなり」は、「なおざり」ととても良く似ているので意味が混合されてしまったり、誤用されがちなので注意いましょう。 「おざなり」は、その場しのぎの適当な対応をすること。 「なほざり」は、怠けて何もしないことです。 「おざなり」の使い方は下記の例文を参考にしてください。
「こうでい」の意味は、一つのことに執着して融通がきかないことです。 「こうでい」を漢字で書くと「拘泥」となります。 「拘」という漢字には、「とらえること・こだわること」という意味がります。 また、「泥」も「こだわること」という意味をもつ漢字です。 つまり「拘泥」とは、同じ意味の漢字を重ね、「こだわること」と強調している言葉だということになります。 「こだわる」とは、「こだわりの作品」といったように、いい意味で使われるおともありますが。「拘泥」の場合は、「一つのことに執着しすぎて、ほかの事ができない・融通がきかない」というあまり良くない意味で使用されます。
「かまける」の英語表現を見ていきましょう。 「かまける」は「忙しいすぎて〜できない」と解釈できるので、「I am too busy with...(...で忙しすぎる)」「I am so busy that I can't deal with...(忙しくて...に対応することができない)」などと表現すればよいでしょう。
I am so busy with work that I can't have time with my family.
仕事にかまけて、家族との時間をないがしろにする。
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「かまける」の意味や使い方は理解していただけたでしょうか? ✓「かまける」は「感ける」と書くが、漢字で表記されることはほとんどない ✓「かまける」の意味は「ある一つのことだけに注意を奪われる」 ✓「かまける」に「怠ける」や「言い訳にする」という意味はない 「かまける」という言葉は、よく耳にすると思いますが、誤用されやすい言葉です。 意味や使い方をきちんと理解しておくことが必要になりますので、この機会に頭の隅に入れておくと、日常生活やビジネスシーンで役立つかましれません。