「丁重」という言葉をご存知でしょうか。「丁重にお断りします」と聞いたことが有ると思いますが、実際に相手に断るときは使ってはいけないフレーズです。では「丁重」は実際にどのように使うのでしょうか。今回は「丁重」の正しい意味や使い方を例文付きで解説します。また「丁寧」との違い、類語や対義語、英語表現も紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
「丁重」の意味は「心がこもっていて応対が手厚いこと」「注意深く大切に扱うこと」です。 人の言動や態度、行為などに対して用いられます。
「丁重」は「ていちょう」と読みます。 「ちょうじゅう」などは誤用ですので注意しましょう。
「丁重」は本来「鄭重」といった漢字が使われていましたが、「鄭」が常用漢字ではないため「丁」の字が使われています。 また「鄭重」は「ていじゅう」と読まれることもありますが、「注意深く大切に扱うこと」と同じ意味があります。 さらに「鄭重(ていじゅう)」の場合は「しきりに繰り返すこと、何回も重なること」といった意味もあります。
「丁重語」は敬語の一種です。 「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つで分けた場合は「謙譲語」に含まれます。 主に「いたす」「申す」「参る」「おる」「存じる」などがあり、自分自身の言動をへりくだって聞き手に敬意を示します。 「謙譲語」と「丁重語」の違いは 「謙譲語」・・・自分の行動をへりくだり、行為の受け手に敬意を示す 「丁重語」・・・自分の行動をへりくだり、話の聞き手に敬意を示す となります。
「丁重」は主語にならない名詞です。 そのため「に」や「な」を用いて形容動詞として使われます。 「丁重に〜」は相手や自分自身の動作の前に用いて文章にします。
例文
「丁重な」の場合は名詞の前に用いて文章にします。 この場合も相手や自分の動作を表す名詞となります。 「丁重な食事」「丁重な書類」などとは使いません。 ビジネスシーンでは主に「丁重な対応」が使われています。 また「ご丁重なる」といった言い回しでも使われています。
例文
「丁重」の敬語表現は「ご丁重」です。 主に相手の動作に対して使います。 そのため尊敬語として用います。
例文
「丁重にお断りします」など聞いたことあるかと思います。 しかし、これは「丁重に断るという行為をする」ということを指して使います。 例えば社内で、「その案件は丁重にお断りしておいて」といった使い方をします。 相手に直接「丁重にお断りさせていただきます」と伝えるのは失礼にあたります。 相手からのお願いや依頼を断る場合は、 「せっかくのお誘いではありますが」 「恐れ入りますが」 「都合上難しいと判断したため」 など、相手に配慮したクッション言葉を入れるようにしましょう。 断る理由も伝えられる場合はしっかりと伝えましょう。
例文
相手からの連絡など、丁寧にしてくれたことに対してお礼を言う際に「丁重にもご連絡いただき、ありがとうございます」が使うことができます。 この場合、連絡の内容ではなく連絡をしてくれたことに対しての感謝となります。
例文
「丁寧」は「丁重」と似た意味を持っています。 しかし使い方に違いがあり 「丁重」は「相手に対する言動や行為が手厚いこと」 「丁寧」は「本人の言動や仕草が念入りで注意が行き届いていること」 を表します。 例えば「丁寧に服を折りたたむ」とは言いますが、「丁重に服を折りたたむ」とは言いません。 また「丁重にお断りします」とは言いますが、「丁寧にお断りします」とは言いません。 また「丁重」は「慎重である様子」、「丁寧」は「心配りが行き届いている様子」といったニュアンスがあります。
例文
「謹厚(きんこう) 意味は「つつしみ深く温厚なこと、まじめなこと」です。 主に性格を指して使われます。 例文
「慇懃(いんぎん)」 意味は「ねんごろなこと、人に接する物腰が礼儀正しいこと」です。 「慇懃無礼」とよく使われ、「丁寧すぎてかえって無礼であること」「嫌味っぽいこと」を表して使われています。また「表面は丁寧だが、実際は横柄であること」といった意味もあります。 例文
「慎重(しんちょう)」 意味は「物事を行うにあたって注意深いこと、軽はずみな態度をとらないこと」です。 人の言動や態度に対して主に使われています。 例文
「折目高(おりめだか)」 意味は「礼儀作法を重んじていること」「きちんとして堅苦しいこと」です。 元々は「衣服の折目が目立つほど高くあらわれていること」を表しており、それが転じて「礼儀正しい」といった意味になりました。 ただ一般的にはあまり使われていません。 例文
「恭しい(うやうやしい)」 意味は「礼儀にかなっていること、相手を振る舞って丁重に振る舞うさま」です。 例文
「粗略(そりゃく)」 意味は「物事の扱いがいい加減なこと」です。 例文
「ぞんざい」 意味は「丁寧ではなく、なげやりで乱暴なこと」です。 物事の扱いや言動を指して使われています。 例文
「大雑把(おおざっぱ)」 意味は「細かいところに注意を払わないさま」です。 また、「細部にわたらず全体を大きく捉えること、大まか」といった意味もあります。 例文
「軽率」 意味は「深く考えず判断したり行動したりすること」です。 例文
「丁重」の英語は、
などになります。 副詞「丁重に」はそれぞれ「politely」「courteously」「respectfully」になります。
He declined the CEO's offer politely.
彼は社長のオファーを丁重に断った。
I was courteously entertained.
私は丁重なおもてなしを受けた。
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「丁重」について理解できたでしょうか? ✔「丁重」の意味は「応対が手厚いこと」 ✔「丁重」の敬語は「ご丁重」 ✔「丁寧」と意味はほぼ同じだが使い方が異なる ✔「丁重」の類語は「慎重」など、対義語は「粗略」など