「芳しくない」とは、「あまりよくない」といった状態を表した言葉です。敬語ではありませんが、ビジネスシーンや目上の人にも使える言葉であることをご存知でしょうか?正しい意味や使い方を覚えておくととても便利です。今回は、「芳しい」の意味や正しい使い方を例文付きで紹介します。類語や英語も紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
「芳しくない」は「かんばしくない」と読みます。 「よろしくない」と読むのは多くみかける誤用ですので注意しましょう。
「芳しくない」の意味は「状態がよくないこと」です。 「芳しくない」は、「芳しい」に、「ない」で打ち消した言葉です。 「芳しい」には、「香りが良い・立派である・すばらしい」という状態の良さを表す言葉です。 「芳しくない」は、「ない」という打ち消しの言葉がついているので、「芳しい」の逆の意味をもつ言葉です。 したがって、「芳しくない」とは「状態がよくない」という意味を持つ言葉になります。 「状態が悪い」と断定した言い方をするよりも、「良いか悪いかで言えば、悪い」というような意味合いです。 また、「思っていたよりも悪い」というような、「想定外」や「期待外れ」といったニュアンスも含まれています。
「芳しくない」は、天候を表す言葉としてよく使用されます。 「天気が芳しくない」とは、「雨や曇りなど良くない天候」を意味しています。 また、これから天気が崩れそうな曇り空などにも「天気が芳しくない」といいます。 例えば、「これから外出する予定なのに天気が芳しくなく残念だ」といったように、「あまり天気が良くなくて残念だ」というような使い方をします。
「天気が芳しくないのでスケジュールを若干変更します」 「楽しみにしていた旅行なのに天気が芳しくなく残念だ」 「来週からは天気が芳しくないという予報だ」
「芳しくない」は、健康状態を表現する言葉としても使用されます。 「体調が芳しくない」のような使い方をします。 「体調が芳しくない」とは、「体調が思わしくない」「体調がすぐれない」といったような意味です。 寝込んだり、入院してしまったりするほどの、思い症状ではなく、「風邪っぽい」「なんとなく体調が悪い気がする」というような症状に「体調が芳しくない」と使用します。 同じく健康状態を表現するのに「病状が芳しくない」といった使われ方もします。 これは「病状の回復が思わしくない」というような意味合いになります。
「体調が芳しくないようで、ここ数日は休みがちだ」 「体調が芳しいくないのなら、無理をせず休息をとるべきだよ」 「祖父の体調が芳しくないようで、心配なので早めに病院へ連れていきます。」
「芳しくない」は、「天候」や「体調」などの他にも、成績や評判、容態など様々なことに使用することができます。 例えば、「成績が思わしくない」「思っていたよりも成績がよくない」という意味で、「成績が芳しくない」というような使い方をします。 また、「評判が芳しくない」というような使い方をした場合には、「評判がそれほど良くない」「期待していたより評判が悪い」という意味合いになります。
「必死に机に向かい勉強をしている割には成績が芳しくない」 「新入社員の評判が芳しくなく、頭を悩ませる」 「新店をオープンしたのは良いが、客の入りが芳しくない」 「新しいサービスの展開をはじめたが、周りの反応が芳しくない」 「容態が芳しくなく、入院期間が1週間伸びた」
「芳しくない」は、ビジネスシーンで「進歩状況や業績」などに使用することができます。 例えば、ビジネスシーンで、「進歩状況が芳しくない」という使い方をすると、「仕事の進み具合が遅い・うまく進んでない」という意味合いになります。 「新しいプロジェクトの進歩状況が芳しくない」というような使い方です。 「業績が芳しくない」という使い方をすると、「業績があまり良くない・業績が落ちている」というような意味合いになります。 「昨年に比べて業績が芳しくない」というような使い方をします。
「新事業の業績が芳しくないので解決策を練るべきだ」 「進歩状況が芳しくなく、大変申し訳ないのですが納期を変更していただいてもよろしいですか?」 「昨年と比べて業績が芳しくないなんてことは避けたい」
「芳しくない」は「敬語」ではありませんが、敬語表現と合わせて目上の人に使用することができます。 例えば目上の人に、「業績が芳しくないので、改善策をご提案させていただきたいのですが」というように、「あまりよくないので」と直接的ないいかたをするより、「芳しくない」という言葉を使用すると、柔らかく、かつ丁寧に伝えることができます。
「芳しくない」は、「良くない」よりも丁寧な表現です。 「状態がよくない」というマイナスの意味合いをもっていますが、直接「状態がよくない」と伝えるよりも、「芳しい」を使用することによって、悪い印象を絶えずにすみます。 例えば、「体調が良くないためお休みをいただけないでしょうか」というより「体調が芳しくないためお休みをいただけないでしょうか」のほうが丁寧で、良い印象です。 しかし、受け取りにとっては「正しい意味をあまり知らない」または、「ニュアンスが違う」といった場合も考えられるので、状況見て判断しましょう。 「状況が良くない」より「状況が芳しくない」
「今日は、体調が芳しくないのでお休みさせていただきます」 「体調が芳しくない為、本日の商談を延期にさせていただきたいのですが」 「子どもの体調が芳しくないようで、早退させていただいてもよろしいですか?」
▶「芳しくない」・・・「状態があまりよくないこと」 ▶「思わしくない」・・・「思っている通りでないこと」 ▶「捗々しくない」・・・「順調ではないこと」
「思わしくない」の意味は、「思っているとおりでない」です。 「思わしくない」は「思わしい」を打ち消しを伴って「思わしくない」としている言葉です。 「思わしい」には「思いどおりで望ましい・よいと思われる」という意味があります。 つまり、「思わしい」を打ち消した「思わしくない」という言葉は、「思い通りではない・良くない」という意味になります。 例えば、「病状が思わしくない」というような使い方をすると、「病状が思っているよりもあまりよくない」というような意味になります。 「芳しいくない」とほぼ同じ意味ですが、「思わしくない」と「芳しくない」では、「芳しくない」のほうがより状態が良くないニュアンスをもっているとされています。
「思わしくない」を用いた例文 「術後の経過が思わしくなく、退院がのびてしまった」 「父の会社は、経営が思わしくないようで倒産寸前だった」 「思わしくない状況であることは、表情を見ればわかった」
「捗々しくない」は、「はかばかしくない」と読みます 「捗々しくない」は、「順調ではない」という意味です。 「捗々しくない」とは、「捗々しい」という言葉に打ち消しの言い方を伴った言葉です。 「捗々しい」とは「物事が順調にすすんでいる・うまくいっている」という意味です。 つまり、「捗々しい」に打ち消しの言い方を伴っている「捗々しくない」は「順調ではない・うまくいっていない」という意味になります。
「捗々しくない」を用いた例文 「新しいプロジェクトの進歩状況は、捗々しくないようだった」 「術後、リハビリをうけていたがどうも捗々しくなく、苛立ちを隠せなくなってきた」 「様子をみているかぎり、捗々しくない感じがある」
「よろしくない」は、「よろしい」という言葉に、打消しの助動詞の「ない」をつけた言葉です。 「よろしい」とは、「よい」という言葉を丁寧に改まった言い方にしたもので、意味は「結構である・好ましい」です。 つまり、打消しの助動詞の「ない」がついている「よろしくない」は、「結構でない・好ましくない」という意味になり、「よくない」というニュアンスをもつ言葉です。
「よろしくない」を用いた例文 「ご気分がよろしくないようですので、お休みになってはいかがでしょうか」 「あまり機嫌がよろしくなかったようで、口をひらくことはありませんでした」 「体によろしくないので、暴飲暴食は避けてくださいね」
「あまり良くない」は、「良いとはいえない・好ましくない」という意味です。 「良いか悪いかでいえば、悪い」というようなニュアンスがあり、遠回しに「悪い」と表現している言葉です。 「~はあまり良くない」「~はあまり良くなかった」「あまり良くない~」といったように使用されます。
「あまり良くない」を用いた例文 「その場所に荷物を置くのは、あまり良くない」 「あの二つの会社の仲はあまり良くない」 「この時期にこの進行状況は、あまり良くないと言えるだろう」
「好ましくない」は、「好ましい」に打消しの助動詞「ない」がついた言葉です。 「好ましい」は、「好感がもてるもの・感じのいいもの」といったような意味です。 したがって、「打消しの助動詞」がついた「好ましくない」は、「好感がもてない・感じの悪い」といったニュアンスの「良くない」という意味をもつ言葉です。 「~をすることは好ましくない」などような使い方をします。
「好ましくない」を用いた例文 「彼にとって、今の状況は好ましくないものであることに違いない」 「一生懸命働いて稼いだお金を無駄使いしてしまうのは、好ましくないです」 「甘いものを食べ過ぎるのは、健康の為にも好ましくないことだ」
「望ましくない」とは、「望ましい」という言葉に、打消しの助動詞「ない」をつけた言葉です。 「望ましい」とは、「そうあってほしいという・願わしくない」という意味です。 つまり、打消しの助動詞を使用している「望ましくない」は、「そうならないでほしいこと・願わしくないこと」という意味になります。
「望ましくない」を用いた例文 「この望ましくない状況をきりぬけるのに必死だった」 「望ましくないことだと思いながらも、さからうことができなかった」 「育ち盛りの幼児が夜更かしをすることは望ましくなし」
「万全ではない」は、「ばんぜんではない」と読みます。 「万全ではない」は、「万全」という言葉に打ち消しの「ない」を用いている言葉です。 「万全」とは、「完全であること」という意味です。 つまり、「万全」に打ち消しの言葉がついている「万全ではない」は「完全ではない」というニュアンスになります。
「万全ではない」を用いた例文 「体調が万全ではない為、おとなしくしている」 「準備が万全ではなかった為、忘れ物の多い遠足となった」 「最悪な状況は免れたけど、まだまだ万全ではない」
「芳しくない」の英語表現を見ていきましょう。 「芳しくない」は「望ましくない」という意味なので、様々な表現が考えられます。
などと表現できます。文章によって使い分けが必要です。
I didn't do very well in school.
学生時代の私の成績は芳しくなかった。
The results was not what I wanted.
結果は芳しくなかった。
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