「及び」という言葉をご存知でしょうか。「〜及び」といったように見聞きした覚えがあると思います。少々堅い響きがするということもあって、日常会話ではなく書類においてよく見かけますよね。では、「及び」の意味についてしっかりと理解しているでしょうか。意外と見過ごしがちな「及び」ですが、正しく使えているでしょうか。文章は相手に分かりやすく伝えなければいけないので、言葉を間違って使ってしまうのはNGです。適切に使用するためには、意味を覚えておきましょう!そこで今回は「及び」の意味や使い方、「又は・並びに」との違いについて解説していきます。
「及び」はおよびと読みます。
「及び」は「複数の事柄を並べて挙げたり、別の事柄を付け加えて言及する場合に用いる語」です。 簡単に言ってしまうと「及び」は「〜と」となり、「ご飯及びパン」と言った場合は「ご飯とパン」ということになります。 「及び」には「およぶこと。行き届くこと」という意味もありますが、こちらの意味ではほとんど使いません。
「A及びB」と使う場合、AとBは同じジャンルもしくは同じ程度・地位などが同じであるものにのみ使うことができます。 そのため「犬及び携帯電話」や「木曜日及び15時」など別ジャンルを並べて使うことは出来ません。
2つのことを列挙する場合は、「A及びB」と基本的に句読点は使いません。 また文化庁が出している問答集で「A、及びB」といった表記も確認されているため、正しい使い方となります。
例文
3つ以上の語句を列挙させる場合は「A、B及びC」「A、B、C、D及びE」と読点を入れます。 「A、B及びC」とした場合、AとB,Cで分かれているように見えますが、A,B,Cの3つとも同列となります。 また上記同様に「A、B、及びC」「A、B、C、及びD」と表記しても間違いではありません。 ただし「A及びB、C」と「及び」を最初の位置に入れて使うことはできません。
例文
「A及びB及びC」と使うことはほとんどありません。 誤用というわけではありませんが、「A、B及びC」が一般的な表記となります。
例文
「及び」は敬語ではありませんがかしこまった表現なので、目上の相手に使うことができます。 主にビジネスメールや資料などで使われています。 また試験問題や公共の場で連絡をするときなど書き言葉としてもよく使われています。 そのため日常会話で「先日、Aちゃん及びBくんと久しぶりに会ったよ」などと使うと不自然になるため注意しましょう。
「並びに」は「前後二つの事柄を並べて述べる語」です。 「及び」と「並びに」は同じ意味ですが、使い方に違いがあります。 「並びに」は異なるジャンルのものを列挙する場合に用います。 例えば「お箸並びに携帯電話」などと使うことができますが、「お箸及び携帯電話」と使うことはできません。 また「人事部の部長及び担当スタッフ、並びに総務部の部長及び担当スタッフ」などと「及び」と「並びに」を組み合わせて使うこともできます。 「人事部の部長と担当」は地位は違いますが同じ部署に所属しており、「人事部と総務部」は別の部署となります。 同列のものを挙げるときは「及び」、異なるジャンルや程度のものを挙げるときは「並びに」を使うと覚えておきましょう。 また「A及びB並びにC」といった使い方もします。 この場合「AとBは同等・同ジャンル」であり「Cだけ異なる程度・ジャンル」ということになります。
例文
「且つ」は「二つの動作や状態が、並行して行われることを表す語」です。 「及び」と「且つ」は意味が同じですが、使い方が異なります。 「及び」が「名詞」を接続するのに対して、「且つ」は「動詞・形容詞」を接続します。 例えば、
と使います。 どちらの文章も「彼女は勉強と運動、両方できる」ということを表していますが、表現の仕方が異なります。
例文
そして (意味:先に述べた物事を受けて、引き続いて起こる事柄を述べる) 「雨が降ってきた。そしてあちこちで雷が鳴ってきた」 その上 (意味:その事柄に加えて) 「ご飯までいただき、その上デザートまでいただいてご馳走様です」 更に (意味:その事柄に加えて) 「暗くなってきて、更に雨が降り出した」 加えて (意味:前に述べた事柄の他に) 「その料理はとても不味かった。加えて変な虫が混入していた」 かつまた (意味:その事柄に加えて) 「リラックスできる空間として、かつまた絶景を眺められる地として有名だ」 〜だけでなく (意味:その事柄だけではなく他にも) 「そのお店はハンバーグだけでなくステーキも人気だ」 〜と (意味:複数の事柄を並べて挙げる) 「今日はA定食とB定食を食べる」 〜のみならず (意味:その事柄だけでなく) 「体力のみならずやる気もだんだん削げてくる」
「又は」は「二つ以上ある事柄からどれかを選ぶことを表す語」です。 「A及びB」は「AとB両方」であるのに対し、「A又はB」は「AとBのどちらか」という意味になります。 例えば、 1.診察を受けるには、印鑑及び診察券を持参してください 2.診察を受けるには、印鑑又は診察券を持参してください と言った場合、 1は「印鑑と診察券、両方が必要」となり、2は「印鑑か診察券、どちらか1つが必要」となります。 複数の事柄を並べて言及する場合は「及び」、二つの事柄から一つを選ぶ場合は「又は」を使います。 このように、「及び」と「又は」では意味が全く異なります。
例文
「或いは」は「同類の事柄の中のどれか一つであることを表す語」です。 「A及びB」は「AとB両方」であるのに対し、「A或いはB」は「AとBのどちらか」という意味になります。 例えば、 1.本人及び保護者のサインが必要となる 2.本人或いは保護者のサインが必要となる と言った場合。 1だったら「本人のサインと保護者のサイン、両方が必要」で、2だったら「本人か保護者か、どちらかのサインが必要」となります。 複数の事柄を並べて言及する場合は「及び」、複数の事柄からどちらかを選ぶ場合は「或いは」を使います。 このように、「及び」と「或いは」では意味が全く異なります。
例文
「若しくは(もしくは)」は「前後の事柄のいずれかを表す語」です。 「A及びB」は「AとB両方」であるのに対し、「AもしくはB」は「AとBのどちらか」という意味になります。 また大きな選択には「又は」を使い、小さな選択には「もしくは」を使うとされています。 そのため「AもしくはB、又はCもしくはD」とした場合「AとB」が同じジャンル「CとD」が同じジャンルであるということになります。
例文
接続詞の「及び」ではなく、動詞に「及ぶ」という言葉があります。 意味は「ある時・所・程度に達する」で、物事が続いたり広がったりする様子を表します。 「被害が及ぶ」「3時間にも及ぶ」などと使われています。
例文
「及ぶ」の原義は「足の位置を動かさずに離れた位置に手を伸ばすこと」です。 そこから「腰が引けて不安定な腰つき、自信のなさそうな様子、へっぴり腰」を「及び腰」と言います。 元々は姿勢のみに言っていた言葉ですが、自信のない様子や不安定な状態のことに対しても「及び腰」というようになりました。
「及び」「並びに」「且つ」・・・「and」 「又は」「或いは」・・・「or」 になります。
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「及び」について理解できたでしょうか? ✔︎「及び」は「および」と読む ✔︎「及び」は「複数の事柄を並べて挙げたり、別の事柄を付け加えて言及する場合に用いる語」を意味 ✔︎「A及びBを購入」と言った場合は「AとBをどちらも購入」という意味 ✔︎「及び」の類語には、「そして」「その上」「加えて」「〜と」などがある