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「謙遜」「謙虚」「卑下」の意味の違いと使い分け

「謙遜」「謙虚」「卑下」という言葉をご存知でしょうか。「謙遜する」「謙虚な人」「卑下する」などと言いますよね。あまり違いはなさそうな感じがする3つの言葉ですが、実はそれぞれ意味が異なります。違いがわからずに、今まで適当に使っていたという人も多いのではないでしょうか。意味が異なるため、正しく使い分けないと相手に誤解されてしまうことがあります。そこで今回は「謙遜」「謙虚」「卑下」の意味と使い分けについて解説していきます。違いを適切に知って、上手く使い分けできるようにしましょう!

「謙遜」「謙虚」「卑下」の違い

▶︎「謙遜」

  • 自分の能力や価値などを低く評価すること
  • 動詞としても形容動詞としても使う

▶︎「謙虚」

  • 自分のことは決して下げないけれど、控え目で素直なこと
  • 動詞としては使えない

▶︎「卑下」

  • 自分を人より劣っているものとしていやしめること
  • 動詞として使う

それぞれの違いとしては、例えば『◯◯さんって本当に素敵な人ですよね』と言われた場合に、 (謙遜)『いやいや、私なんか大したことありません』 (謙虚)『ありがとうございます。とても嬉しいです』 (卑下)『そんなことないです。私は本当に最低な人間でして.....』 といったようになります。

「謙遜」の意味と使い方

「謙遜」は<けんそん>と読みます。 「謙」は音読みだと「ケン」、訓読みだと「へりくだる」と読みます。 「謙」は「控え目にして人にゆずる」を意味します。 「遜」は音読みだと「ソン」、訓読みだと「へりくだる」と読みます。 「遜」は「へりくだる」を意味します。 「謙遜」の意味は「控え目な態度で振る舞うこと。へりくだること」です。 自分の能力や価値などを低く評価すること・控え目に振る舞うことを表します。 「謙」も「遜」も「へりくだる」という意味を持ちます。 「へりくだる」とは「他を敬って、自分を控え目にする」という意味を持つ言葉です。 自身の能力や功績を決しておごらず、控え目に振る舞うという場合に「謙遜」を使います。 例えば、自分の作品が褒められたときに『いやいや大したものではありません』などと否定することを「謙遜」と言います。 決してそれが本心でなくても、そういったことを口にします。 「謙遜」は「謙遜する」や「謙遜な◯◯」といったように、動詞としても形容動詞としても使います。 それでは例文を見ていきましょう。

例文

  • 「私なんか大したことありません」と謙遜して言う。
  • 彼は謙遜した言い方をしていたものの、喜びを隠しきれていなかった。
  • 彼女は謙遜しているせいか、何も語らなかった。
  • いつにもまして珍しく謙遜した態度をとっていた。
  • 彼は横柄であるので、謙遜なんかするはずがない。
  • そんなに謙遜なさらなくても、よろしいですよ。
  • ものすごく褒められたので、ついつい謙遜してしまった。
  • 「あなたの作品は本当に素晴らしかったです」「いやいやそんなことないです」「また、そんなご謙遜を.....」

「謙虚」の意味と使い方

「謙虚」は<けんきょ>と読みます。 「謙」は音読みだと「ケン」、訓読みだと「へりくだる」と読みます。 「謙」は「控え目にして人にゆずる」を意味します。 「虚」は音読みだと「キョ・コ」、訓読みだと「むなしい・うそ・そら」と読みます。 「虚」は「邪心を持たない」を意味します。 「謙虚」の意味は「控え目で素直なこと」です。 「自分自身の能力・地位などに驕ることなく謙り、相手に対して素直に意見を受け入れ接すること、またそのさま」を表します。 例えば、何かのコンテストで入賞したとして、決してそのことを自慢するのではなく、現状に満足せずにさらに上を目指すために努力するような人に対して「謙虚な人」と言います。 自分の価値を低く評価することは「謙虚」と言いません。 また、「謙虚」は人の性格を指すものであるため「謙遜」とは違い、本心からの言動に対して使います。 「謙虚な◯◯」「謙虚に◯◯」と形容動詞として使うので、「謙虚する」などと動詞として使うことはできません。 「謙虚な態度」は「控え目でつつましい態度」、「謙虚に反省する」は「素直に反省する」という意味になります。 それでは例文を見ていきましょう。

例文

  • 彼はやや謙虚さに欠けている。
  • 今日のことはしっかりと謙虚に反省する。
  • 謙虚な人というのは常に低姿勢でいる。
  • あの人は誰に対しても謙虚な態度をとっている。
  • 謙虚に対応するというのは大切なことだ。
  • 彼女は非常に謙虚で、とても好感が持てる。
  • いかなる時であっても謙虚な姿勢を崩さない。
  • 素敵な人になれるよう、謙虚さを心がける。

「卑下」の意味と使い方

「卑下」は<ひげ>と読みます。 「卑」は音読みだと「ヒ」、訓読みだと「いやしい・いやしめる」と読みます。 「卑」は「低い位に置く。いやしめる」を意味します。 「下」は音読みだと「カ・ゲ」、訓読みだと「した・もと・さがる・くだす」と読みます。 「下」は「へりくだる」を意味します。 「卑下」の意味は、

  • 自分を劣ったものとしていやしめること。へりくだること
  • いやしめ見下すこと

です。 自分を人より劣っているものとして扱うこと・自身を劣っているとしていやしめることを表します。 自分そのものを低く評価するという場合に「卑下」を使います。 例えば、「あなたって本当に綺麗ですよね〜」と言われた場合に「いやいや、私なんか本当に不細工で性格は最悪なんですよ〜。全然綺麗じゃないです」といったように自分を卑しめることを「卑下」と言います。 主に、「卑下する」などと動詞として使います。 「卑下」は自分に対して使うので、「相手を卑下する」「他人を卑下する」などとは使いません。 この場合は、「相手を見下す」「他人を侮る」「彼女を嘲る」などというのが良いでしょう。 それでは例文を見ていきましょう。

例文

  • 彼女は必要以上に自分のことを卑下した。
  • 彼の卑下した態度に驚きを隠せなかった。
  • そんなに自分のことを卑下しなくてもいいと思うよ。
  • 「私って本当にバカだから....」「そこまで卑下しないでよ」
  • 自分のことを卑下するようなネガティブ人間とはあまり付き合いたくない。
  • プライドが高い彼が、あそこまで自分を卑下するなんて.....。
  • 自分を卑下しているというよりも、ただ言い訳をしているようにしか聞こえない。
  • 己を卑下することによって、安心感を得ようとする。

《まとめ》「謙遜」「謙虚」「卑下」は嫌味になる場合があるので注意

「謙遜」「謙虚」「卑下」は控え目に振る舞うことで良いことですが、度が過ぎてしまうと嫌味になってしまいます。 例えば、何かを褒められたときに謙遜するつもりで「そんな、大したことではないです」と言っても、相手からすると一見謙虚な態度に見えても、実は傲慢な態度であると思われてしまいます。 「大したことない」といっても、見方を変えると「相手の気持ちを否定している」ということになります。このように、謙遜で自分への賛辞を否定すると、相手の気分を害する可能性があります。 自分としては良かれと思って控え目にしても、相手によっては勘違いされてしまうことがあるので、人から褒められたときは素直に「ありがとうございます」と感謝の気持ちを述べるのが良いでしょう。

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