「対岸の火事」という言葉をご存知でしょうか。「対岸の火事と言うように」「対岸の火事とせず」などと言います。では、「対岸の火事」とはどのような意味なのでしょうか。「火事」という言葉が使われていることもあり、あまり良いイメージはしませんよね。何気なく使っているという人もいれば、初めて聞いたという人もいるかもしれません。比較的よく使う言葉ではありますが、誤用されていることもあるので、しっかりと意味を知っておきたいです。そこで今回は「対岸の火事」の意味や使い方、読み方、類語「他山の石・高みの見物」との違いについて解説していきます。「対岸の火事」を適切に知って、上手く使えるようにしましょう!
「対岸の火事」は<たいがんのかじ>と読みます。 「対岸の火事」の意味は「他人にとって重要な物事でも、自分にとっては痛くも痒くもない物事のこと」です。 「対岸」とは「向こう側にある岸。川・湖を隔てた向こう側」を意味します。 「向こう側の岸で起きている火事は、自分に被害をもたらすことはないと心配しない」という意味からきています。 確かに、自分の家や隣家などで火事が起きたのとは違い、向こう側の岸で火事が起きた時は燃え移らないだろうと内心はほっと一安心してしまいますよね。そんな心情がこのことわざの背景にあります。
自分には全く影響がないと考えて、心配する必要を感じないことを表す場合に「対岸の火事」を使います。 「対岸の火事」は、たとえ大きな問題だったとしても、自分には無関係の問題であるという時に使うのが適します。 「対岸の火事」は否定形「対岸の火事とせず」という言い回しでもよく使います。 例えば、「友人が家庭のことで悩んでいることを対岸の火事とせず、相談に乗る」などと言います。 これは「友人が悩んでいることを他人事とせず、一緒になって対応を考える」という意味です。 「対岸の火事とせず」は、「自分には関係ない事ではあるが、他人の事情を "自分ごと化" して考えることで、今後自分に同じことが起こっても対応できるように準備しておく」というニュアンスになります。 言い回しとしては、
などとなります。 「対岸の火事」は「対岸の火災」と言うこともできます。
例文
「他山の石」の意味は「自分の修養の助けとなる他人の誤った言行」です。 「他人の良い行いを教訓にする」という意味ではなく、「他人の悪い行いを教訓とする」ということを表します。 「対岸の火事」は「他人にとって重要な物事でも、自分にとっては関係ないので痛くも痒くもない物事のこと」 「他山の石」は「他人の悪い行動や見習いたくない発言でも、自身を磨くのに役立つ材料となること」 「対岸の火事」が「他人の苦労は自分とは無関係なこと」に対して、「他山の石」は「他人の過ちが自分のためになること」を意味します。 このように、「対岸の火事」と「他山の石」では反対の意味を持っていると言えます。 「対岸の火事」と「他山の石」が混同して、「他山の火事」と使われていることがありますが間違いなので注意しましょう。
例文
「高みの見物」の意味は「直接関わりのない立場にいて、物事の成り行きを様子見すること」です。 周囲より高い場所から、下でわちゃわちゃと騒いでいる人々を興味深げに見通す様子からきています。 「対岸の火事」は「他人にとって重要な物事でも、自分にとっては関係ないので痛くも痒くもない物事のこと」 「高みの見物」は「直接的に関係がないため、物事の経過を興味本位で傍観すること」 「対岸の火事」と「高みの見物」はどちらも「自分とは関係ないと思うこと」という点では共通していますが、意味が異なります。 「関係ないとただ思うこと」が「対岸の火事」で、「関係ないと思い、横から面白半分に見ること」が「高みの見物」です。 「対岸の火事」よりも「高みの見物」の方が、悪質でねじ曲がったイメージとなります。 「高みの見物だ」「高みの見物でいる」「高みの見物を決め込む」「高みの見物をしていられない」などと言います。
例文
「明日は我が身」の意味は「悪い事がいつ自分自身のことに襲い来るか分からないこと」です。 「対岸の火事」は「他人にとって重要な物事でも、自分にとっては関係ないので痛くも痒くもない物事のこと」 「明日は我が身」は「災難がいつ自分にふりかかるか分からないこと」 「対岸の火事」は「他人事」、「明日は我が身」は「他人事ではないこと」を表します。 反対の意味を表しているように思いますが、「対岸の火事」も「対岸の火事せず」と否定形にすると、「他人の災難を他人事だと思っていても、いつかは自分に災難が訪れることを頭に入れておくこと」を表します。 「明日は我が身と言うように...」と「対岸の火事とせず」は、どちらも同じ意味として使うことができます。 「明日は我が身」は座右の銘として使うことも多いです。
例文
他人事(ひとごと) (意味:自分には縁のないが、他人にとっては重大な物事) 「随分と他人事だけど、君も関係あるんだよ」 余所事(よそごと) (意味:直接は自分とは関わりがないこと) 「その事件は余所事とは思えない」 無関係 (意味:そのことに関係がないこと) 「私は無関係だから巻き込まないで」 我関せず(われかんせず) (意味:自分には関わりがないと思っているさま) 「我関せずと言うように、私には関係ない」 お門違い (意味:見当している事が違うこと) 「勘違いしているようだが、それはお門違いだよ」 見殺し (意味:他人の苦しみを知っておきながら救わないこと) 「溺れている人を見殺しにする」 傍観 (意味:関わらないでそばで見ていること) 「騒ぎを傍観する」 明日は我が身 (意味:悪い事が、いつか自分に起こること) 「明日は我が身だと思い生活する」 川向こうの火事 (意味:自分とは無関係の物事) 「川向こうの家事だし、何とかなるだろう」 川向かいの喧嘩 (意味:自分とは関係ない物事) 「川向かいの喧嘩と言うし、関わらないでおこう」
介入 (意味:ある物事に、当事者ではない人物が関わってくること) 「あなたは関係ないし介入してこないで」 干渉 (意味:ある物事に強引に関わって、自分の考えに従わせようとすること) 「干渉しすぎるのは良くないと思う」 口出し (意味:関係ない話に傍から色々と言うこと) 「彼女は口出ししてくるから嫌いだ」 お節介 (意味:関係ないのに迷惑をかけるような事をすること) 「お節介ほど厄介なものはない」 手出し (意味:関わりがないようにわきから色々とすること) 「他の人の手出しはいらない」 容喙(ようかい) (意味:横から色々と口を出してくること) 「頼むから容喙はしないでくれ」 差出口 (意味:ある範囲を超えて口出しすること) 「余計な差出口をするな」 ちょっかい (意味:余計な事をすること) 「しつこくちょっかいを出さないで」 仲介 (意味:どちらかの間に入って特別な計らいをすること) 「仲介してもらうように取り繕う」 斡旋(あっせん) (意味:物事が上手く進むように、両者の間に入ってとりもつこと) 「彼は人を斡旋するのが上手い」
「対岸の火事」の英語表現を見ていきましょう。 「対岸の火事」を直訳すると「fire on the opposite shore」になります。 「fire on the opposite shore」という表現が英語にも実はあるのですが、一般的ではないためネイティブに対して使っても、意味が通じない場合がほとんどでしょう。 ですので、下記のような表現を使うとよいでしょう。
That's not related to me.
それは私には関係ない。
That doesn't matter with me.
それは私には関係ない。
That has nothing to do with me.
それは私にはどうすることもできない。
There's nothing I can do for you.
あなたにできることは何もない。
That's no skin off my nose.
それは私には痛くも痒くもない。
That's somebody's else problem.
それは他人の問題だ。
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「対岸の火事」について理解できたでしょうか? ✔︎「対岸の火事」は「たいがんのかじ」と読む ✔︎「対岸の火事」は「他人にとって重要な物事でも、自分にとっては痛くも痒くもない物事のこと」を意味 ✔︎「対岸の火事とせず」などと否定形にすると、教訓として使うことができる ✔︎「対岸の火事」の類語には、「他人事」「余所事」「傍観」「明日は我が身」などがある