「これは喫緊の課題である」といった言葉を聞いたことがありますか? 時折、ニュースや会見で耳にする言葉です。 今回はそんな「喫緊(きっきん)」について詳しく説明します。 正しい意味と使い方を例文つきで解説します。 また、類義語の「緊急」「直近」「近々」との違いも説明します。 英語表現も紹介しますので、ぜひ覚えてください。
「喫緊」は<きっきん>と読みます。 本来「喫」は、一文字では「キツ」と音読みされる漢字です。 ですが、すぐ後に「キン」という音が続くため、「促音(そくおん)」といって「語中において無声閉鎖音である「k」「t」「p」と無声摩擦音である「s」の前では、次に来るそれらの言葉を発音しやすいように「っ(一音節分の休止)」を挟み、発音しやすくなることを目的とした方法により「きっ」という読み方に変化します。
意味は「差し迫っていて大切なこと、またそのさま」です。 急いでどうにかしなくてはならない状況である様子が伺えます。
「喫」という字は音読みで「キツ」と読む漢字です。 「口に入れる」「身に受ける」「〜される」といった意味を持ちます。 「緊」という字は音読みで「キン」と読む漢字です。訓読みはありません。 「きびしい(少しのゆるみも許さないまま)」「締める、締まる」「迫る、差し迫る、急ぐ」などといった意味を持ちます。 ちょっと違和感がありますよね。 「緊」という字に「差し迫る」などといった意味があるのはわかりましたが、なぜ「喫」が使われているのか。 実は、「きっきん」という言葉は本来「吃緊」といった漢字でした。 しかし「吃」という字が当用漢字表に掲載されなかったことから、そもそも「きっきん」とは使われなくなっていたようです。 そして、「常用漢字表」内における同音の漢字による書き換えが行われた際に「吃水」という言葉が「喫水」へと書き換えられました。それによって「吃緊」も「喫緊」と表記するようになりました。 しかし、「吃緊」から「喫緊」、そもそも「吃」から「喫」へと書き換えるとは正式に挙げられていないために、公用文・法令・新聞などでは「喫緊」とは使われていないようです。 ちなみに「吃」という字には「どもる」といった意味があり、「吃音」といった言葉があります。 これは、構音障害のひとつであり、差別用語だとされたことによって常用漢字表から除外されました。
主にビジネスシーンやニュース、また会見などで使われています。 特に政治家は、難しい言葉を使うことが多いので「喫緊」を用いています。 やはり難しい言葉を使うと、真面目な雰囲気が出てとても重要なことを話していることが相手にも伝わります。 しかし、ほとんどの人が「この問題は早めに解決すべき大切な課題です」などと言い回しています。 その方が相手もよく伝わります。 ただ、使われていることもありますので、意味をすぐに理解できるよう覚えておきましょう。 また、「喫緊」を使う場合ほとんどが「喫緊の課題」もしくは「喫緊の問題」と言い回します。 それ以外ではほとんど使われませんが
などと使われます。 詳しくは例文を参考にしていください。
「待機児童は解決すべき喫緊の問題だ」 「最も喫緊な課題が環境面での取り組みの強化である」 「我が社において人員確保と人材の強化が喫緊事です」 「まず売上を10%上げることを喫緊の目標とする」 「問題は起きてはいけないが、喫緊の対応をしてくれた社員に感謝する」 「新プロジェクトの会議は喫緊に必要なのでセッティングする」
「喫緊」という言葉のほとんどが、「喫緊の課題」といった言い回しで使われています。 「急いで解決する必要のある、切迫した課題」といった意味になります。 また、「喫緊の問題」とも言われています。 主に、環境問題やビジネスシーンで起きた問題などにおいて使われます。
「喫緊の対応」とは「重要で差し迫っている対応」といった意味です。 ちょっと日本語が不自然ですよね。 ほとんどが「○○の喫緊の対応をすべき」「喫緊の対応が必要な○○」などと使われています。 そのため文章を通して「○○を解決するために早めの対応が必要である」となります。
まず、二つの意味を比較してみます。 「喫緊」は、「差し迫っていて大切なこと」 「緊急」は、「重大であり即座に対応しなければならないこと」 どちらも重要であることが伝わる表現です。 漢字を見れば分かる通り、「緊急」には「急」という字が入っています。 たとえば「緊急事態」というと、救急車で患者を病院を運ぶ時を想像すると分かりやすいですが、一秒一分を争う事態のことを指します。 それに対して「喫緊」は、「待機児童の増加は喫緊の課題」と言うように、何分や何時間という単位でといった「今すぐに」といった意味はなく「速やかに」といったニュアンスです。
まず、二つの意味を比較してみます。 「喫緊」は、「差し迫っていて大切なこと」 「直近」は、「当該事項に最も近いこと、すぐそば」 違いは一目瞭然ですね。 「直近」には、「大切・重要」といった意味はありません。 そして「喫緊」には、「差し迫っている」といった意味はありますが「最も近い」といった意味はありません。 「直近」の使い方は、 「直近の会議は明後日です」 「次の予定、直近でいつなら都合いいですか」 などです。 そして「直近」は「未来だけではなく過去」のことも指す言葉です。 その場合は、 「直近では昨日その作業しました」 「直近1年のデータを送ってください」 などと使います。 「直近」は、ニュースや政治家の発言などだけではなく、一般的にもよく使われている言葉です。 ちなみに、「直近」は「ちょくきん」ではなく「ちょっきん」と読みます。
まず、二つの意味を比較してみます。 「喫緊」は、「差し迫っていて大切なこと」 「近々」は、「近い未来を指す表現、もうすぐ」 こちらも一目瞭然ですね。 「直近」同様に、「近々」にも「大切・重要」といった意味合いは含まれていません。 「近々」も一般的によく使われている言葉です。 「近々ご飯行こうよ」 「近々社長がいらっしゃる」 などと「近いうちに」を表す言葉です。 「近々」の読み方は「ちかぢか」「きんきん」とあります。 同じ意味で使われますが、「ちかぢか」には「距離的にも近い」ことを表す用法もあります。
○緊切 意味:差し迫って大切なこと、ぴったりとくっつくこと ○切迫 意味:期限などが差し迫ること、緊張した状態になってくること ○早急 意味:非常に急いでいること、そのさま ○火急 意味:火のついたように、差し迫った状態であること
○気長 意味:のんびりしていて焦らないさま ○悠長 意味:動作や態度が落ち着いていて気の長いこと ○気楽 意味:心配や苦労がなくのんびりとしていること ○後回し 意味:順序を変えて後にすること
「喫緊」は英語で「urgent」「urgently」を使います。「差し迫った、緊急の」という意味で使います。
We need to deal with that issue urgently.
この問題は喫緊の対応が必要だ。
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「喫緊」について理解できたでしょうか? ✔「きっきん」と読む ✔意味は「差し迫って大切なこと」 ✔主に「喫緊の課題」「喫緊の問題」と使われる ✔「喫緊」に対して「緊急」は、「今すぐに」の意味合いが強い ✔「直近」「近々」に重要性はない 普段あまり使われていない難しい日本語はたくさんありますが、知っておくと話がスムーズにいったり真摯である様子が伝わることもあります。 社会人として知識はしっかりとつけておきましょう!