「奇しくも」という言葉をご存知でしょうか。「奇しくも同じだ」「奇しくも...だった」などと聞いたことがあると思います。「奇しくも」を「悔しくも」「惜しくも」という意味だと思っている人が多いですが、実はこれは間違いです。「奇しくも」は誤用が多い言葉の一つです。言葉を正しく使うには、適切な意味を理解する必要があります。意味を勘違いして使っていた、意味を知らないがなんとなく使っていたという人も今一度「奇しくも」についてしっかりと確認しておきましょう。そこで今回は「奇しくも」の意味や使い方、類語、反対語について解説していきます。
「奇しくも」は<くしくも>と読みます。 「きしくも」とは読まないので注意しましょう。 「奇しくも」の意味は「ふしぎにも。偶然にも。あやしくも」です。 起こった事態の偶然性を不思議に思う様子・普通では考えられないことが起こり、不思議に思うさまを表します。 「奇しくも」は、形容詞「くし」の連用形「くしく」+係助詞「も」から成り立っている副詞です。 「くし」は「不思議である。霊妙である」、「も」は「意味を強める」ことを表します。 「奇」は「不思議だ。あやしい。普通とは違っている。珍しい」を意味しています。 「奇」を用いた言葉には、「奇怪・奇術・怪奇・猟奇・奇抜・奇妙」などがあります。
「奇しくも」というと、「奇しくも決勝戦までいくことができなかった」「奇しくもイベントに参加することができなかった」などと「悔しくも・惜しくも」という意味を想像するかもしれませんがこれは間違いです。 「奇しくも」は「偶然にも・不思議にも」という意味でしか使うことができません。 「奇」という感じをイメージできれば、誤用を避けることができます。 また、「皮肉にも」という意味で使用している方も稀にいますが、これも誤用です。 「皮肉にも」は、当初の期待と反対の結果になるさまを意味する表現です。ですので、「奇しくも予想よりも遥かに下であった」などとは使うことができないので注意しましょう。
「奇しくも」は普通では考えられないようなこと、想像していなかったことが起きたときに使います。 事態が起こったことを不思議に思うという場合に、「奇しくも◯◯だ」「奇しくも◯◯である」などと言います。 例えば、「奇しくも彼とは同じ日に生まれた」といった場合は「偶然にも彼とは同じ日に生まれた」、「私が学校に合格した日は、奇しくも祖父の命日であった」といった場合は「私が学校に合格した日は、不思議にも祖父の命日であった」という意味になります。 「奇しくも」は「起こった事態の偶然性を不思議に思う」という意味なので、「奇しくも私と父の誕生日は一緒である」などと、偶然度が高い・不思議度が高いことのみに対して用います。 「奇しくも」の言い回しとしては、
などとなります。 「奇しくも同じ構えだ」という言い回しは、TVアニメに出てくる台詞として有名です。 それでは例文を見ていきましょう。
例文
奇妙にも (意味:珍しいことに。説明できないような不思議なことに) 「奇妙にも彼女とは前に会ったことがある」 不思議なことに (意味:よく考えても原因・理由がわからないが。解釈がつかないが) 「不思議なことに彼は怪我ひとつなく助かった」 奇跡的に (意味:極めて珍しく不思議なさま) 「奇跡的に生還した」 人知を超える (意味:人の知恵や知識では到達できないと思うさま。人間の知が及ばない様子) 「その現象は人知を超えていた」 妙なことに (意味:不思議なことに。普通でないこと) 「妙なことに同じ夢を3日連続で見た」 なぜかしら (意味:理由・原因などを口調を和らげ問いかける語) 「このような事態になったのはなぜかしら」 不可思議 (意味:思いはかることもできず、言語でも表現できないこと) 「ここ最近不可思議な現象が起こっている」
案の定<あんのじょう> (意味:思った通り。予期した通り) 「あんのじょう雨が降ってきた」 矢張り<やはり> (意味:思った通りに。色々と考えてみても結局は) 「矢張り彼女は素晴らしい人である」 やっぱり (意味:思った通りに。色々と考えてみても結局は) 「やっぱりそうなると思ってたんだ〜」 果然 (意味:予想通りであること。案のとおり) 「その噂は果然事実無根であった」 思った通り (意味:自分の予測・推測が当たっていたさま) 「思った通りに事が運んだ」 例のごとく (意味:いつも行われている通りに。普段と同じく) 「例のごとく計画を進めていく」 予想通り (意味:こうなるのではないかと前もって考えていたことが、その通りに実現すること) 「予想通り決勝まで進んだ」
上記で説明したように「奇しくも」は、形容詞「くし」の連用形「くしく」+係助詞「も」から成り立っている副詞です。 「奇しくも」の他にも、形容詞+係助詞「も」で成り立っている副詞があるので紹介します。
微妙くも(いみじくも):まことにうまく。適切に 例文:「彼女の言っていることはいみじくも真相を言い得ている」 苟も(いやしくも):身分不相応にも。仮にも。かりそめにも。まことに。もしも 例文:「その言動は苟も彼のような人の上に立つ者のすべきことでない」 畏くも(かしこくも):もったいなくも。恐れ多くも 例文:「畏くも御手ずから賜った」 惜しくも(おしくも):惜しいことに 例文:「惜しくもあと一歩届かなかった」 辛くも(からくも):やっとのことで 例文:「辛くもここまで来ることができた」
「奇しくも」は英語で、
などになります。 上記の表現は副詞的な表現になりますが、「happen to...」で「偶然にも...する」と動詞で表現することも可能です。
She happened to arrive in the right place very soon.
彼女は奇しくも正しい場所にすぐ着いた。
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「奇しくも」について理解できたでしょうか? ✔︎「奇しくも」は「きしくも」ではなく「くしくも」と読む ✔︎「奇しくも」は「ふしぎにも。偶然にも。あやしくも」を意味 ✔︎「奇しくも」は「悔しくも。惜しくも。皮肉にも」という意味では使わない ✔︎「奇しくも」の類語には、「奇妙にも」「奇跡的に」「不可思議」などがある