「培う」という言葉をご存知でしょうか。「向上心を培う」「自信を培う」などと言います。日常会話でも使うことが多いので、見聞きした覚えがあるという人も多いと思います。では、「培う」とはどのような意味なのでしょうか。何かを育てるときに使う表現であることは大体分かりますが、似た言葉の「養う」や「育む」とはどういった違いがあるのでしょうか。色々と疑問に思うことがありますよね。そこで今回は「培う」の意味や使い方、読み方、類語との違いについて解説していきます。「培う」を正しく知って、上手く使えるようにしましょう!
「培う」は<つちかう>と読みます。 「培」は音読みで「バイ」、訓読みで「つちかう」と読みます。 「培」は「根元や種に土をかけて植物を育てること」を意味します。 「培」を用いた言葉には、「栽培」「培養」などがあります。 「培う」の意味は、 1.草木の根元に土をかけて植物を育てること 2.長い時間をかけて、性質や能力を大切に育てること です。 元々「植物が育つためには、長い時間がかかる」という意味から、「何か大切なものを育成する場合は、とても長い時間が必要となる」という意味になりました。 本来は「土養う(つちかう)」と書いていましたが、だんだんと「培う」に変化しました。 自分の経験が「土」に置き換えていて、土を「栄養」とし自身が育つ様子を表します。 自分を成長させるためには、良い経験も辛い経験も必要ということです。
「培う」は能力・性質・学力・体力・精神力といった目に見えないスキルを大切に育てる、という場合に使います。 例えば、「子供の頃の色々な遊びは思考力を培うのに役立っている」と言います。これは「子供の遊びは思考力を育てるためには必要である」という意味です。 このように、「培う」は「その人にとって何かプラスになるものを育てる」場合に使うことが多い語です。 また、「培う」は人以外にものに対して使うこともできます。 「静岡で培われたお茶の歴史」「歴史を通じて培われた日本の伝統文化」などと言います。 植物を大事に育てるという場合にも「培う」を用います。「苗木を培う」「土を培う」などと言います。 ただ、この意味での「培う」はやや古い言い方ということもあって、今ではあまり使いません。 本来は「●●に培う」というように使われていましたが、現在は「●●を培う」という形で使うことも多いです。 言い回しとしては、
などとなります。
例文 「植物を育てる」という意味
「大切に育てる」という意味
「知識を培う」とは言いません。 「培う」は、能力や資質を手間暇かけて育てるという場合に使います。 「知識」は「自身の中で育つものではなく、色々することによって外部から増えるもの」です。 ですので、「知識を培う」は誤った表現となります。 知識をより深めることを表したい場合は、「知識を蓄える」「知識を得る」「知識を広げる」「知識を集める」「知識を身につける」などと言うのが良いでしょう。
「養う」は<やしなう>と読みます。 「養う」の意味は、 1.家族の面倒を見ること。扶養すること 2.修行を重ねてちょっとずつ作り上げること 3.食物をとったりして、体力をおとろえないようにすること 4.餌をあげたり、面倒を見てあげるなどして動物を育てること です。 「養う」にはたくさん意味があります。 1つめは「妻子を養う」、2つめは「英気を養う」、3つめは「病を養う」、4つめは「馬を養う」などと使います。 例えば、「夫に養ってもらう」だったら「夫の稼ぎによって、生活していくために必要なものが与えられ、自身が生きていけること」を意味します。 2つめの意味では、「思考力を培う」「思考力を養う」などと同じように使うことができますが、意味が異なります。 「培う」は「自身の経験を生かして育つ様子」、「養う」は「他から色々と援助を受けながら育つ様子」を表します。 「培う」は植物や能力を育てる場合に使いますが、「養う」は植物やものを育てる場合には使えません。 資質を育てるという場合は「培う」と「養う」の両方を使えますが、他の用法は異なります。間違えないように注意しましょう。
例文
「育む」は<はぐくむ>と読みます。 「育む」の意味は、 1.親鳥が自分の羽で雛を覆い包んで守り育てること 2.成長や発展を願って、養い育てること 3.かばい守って、大きくすること です。 「培う」は「能力や学力を手間をかけて育てること」 「育む」は「愛情を持って大事に優しく育てること」 「培う」と「育む」では意味が異なります。「育む」の方が、思いやりがあってあたたかいイメージです。 「育む」は親鳥が雛を育てているように、大切に慈しみを持って育てているような様子を表現しています。「ひな鳥を育む」「親に育まれる」「夢を育む」「愛を育む」などと言います。
例文
培養(ばいよう) (意味:植物を育てること) 「樹木を培養することが好きだ」 栽培 (意味:食用や薬用などといった目的で、植物を育てること) 「私の家では梨を栽培しています」 養殖 (意味:魚介類や海藻を、人工的に飼育すること) 「マグロの養殖を行っています」 耕す (意味:作物を育てるため、田畑を掘り返して土を柔らかくすること) 「土が硬いので耕す作業を行う」 耕作 (意味:田畑を掘り返すことによって、作物を栽培すること) 「この地は耕作に向いていない」 生育 (意味:作物が生まれ育っていること) 「稲の生育に力を入れる」 醸成 (意味:発酵作用で、味噌や酒をつくること) 「醤油を醸成する」
育成 (意味:しっかりと育て上げること) 「次のエースを育成する」 修養 (意味:立派な人格を形成すること) 「修養を積み重ねる」 鍛錬(たんれん) (意味:修行を積み重ねて、心身を鍛えること) 「鍛錬を積むことによって、体を丈夫にする」 磨く (意味: 上手くなろうと、練習に励むこと) 「優勝を目指すためには、技を磨く必要がある」 養成 (意味:育て成長させること) 「お笑い養成所に通う」 成長 (意味:育って一人前になること) 「その訓練は私を成長させてくれた」 鍛える (意味:修行を重ねて、心身を強くすること) 「精神を鍛えたおかげで、何事にも動じなくなった」 伸ばす (意味:成績や能力を高めたり、上げること) 「もっと勉強して成績を伸ばす」 涵養(かんよう) (意味:水が自然と染み込むよう、だんだんと養い育てること) 「克己心を涵養する」 トレーニング (意味:訓練や修行をすること) 「毎日のトレーニングを欠かさない」
「培う」は英語で、
などになります。 「培う」に一番近い英語は「foster」になります。「(才能など)を育成する」という意味になります。 「cultivate」も「foster」に近いですが、「cultivate」は「(自分自身の利益のために才能など)を育む」という意味になります。 「accumalate」は「◯◯を蓄積する」が基本的な意味で、「(経験・実績など)を積み上げてる」というニュアンスになり、採用面接などでよく使う文言になります。 「learn」は「学んで習得する」という意味になります。
His entrepreneurial spirit was fostered in Silicon Valley where he spent his childhood.
彼の起業家精神は、幼少期を過ごしたシリコンバレーで培われた。
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「培う」について理解できたでしょうか? ✔︎「培う」は「つちかう」と読む ✔︎「培う」は「草木の根元に土をかけて植物を育てること。長い時間をかけて、性質や能力を大切に育てること」を意味 ✔︎「自信を培う」「自己を培う」「向上心を培う」などと使う ✔︎「培う」の類語には、「培養」「栽培」「育成」「鍛錬」などがある