「認識」という言葉をご存知ですか?「~と認識している」というような使いかたで、日常的にもよく耳にしている言葉だと思いますが、「ご認識ください」というような使い方を目上の人に使用すると失礼にあたる場合があるということをご存知でしょうか。今回は、「認識」の正しい意味を使い方を例文つきでで紹介します。また、「認識」の類語や英語表現も紹介するので参考にしてください。
「認識」の読み方は「にんしき」です。
「認識」の意味は「物事を見分けて、本質や意識を理解すること」です。 対象となるものを、どんな物であるかを知る・理解するということを「認識する」というように言い表します。 より理解することは「認識を深める」と表します。 また、「コンピューターが外部からのデータを判別してその性質を理解すること」という意味もあります。 例えば「メールでパソコンに送った画像を認識することができなかったので送り直した」というように使用します。
「認識」を敬語で言い表すときは「ご認識」となります。 「ご認識」の「ご」は、尊敬をあらわす接頭語になります。 「ご認識」は主に「ご認識ください」「ご認識の通りです」など尊敬語として使用します。
上記で、「ご認識」は敬語であると説明しましたが、ビジネスシーンや目上の人に対して敬意を表し「ご認識ください」「ご認識の通り」と使用する場合は注意が必要です。 「ご認識ください」は、そもそも「分かってください」といったニュアンスがあり、命令のように思い、上から目線に感じてしまう可能性があります。 「〇日の期日までにお支払いいただけない場合は、法的処置をとらせていただきますことをご認識ください」といったように、相手に督促する場合以外での使用はさけたほうが良いとされています。 このような場合は、「ご了承のほどお願い申し上げます」「ご承知賜りますようお願い申し上げます」などを使用したほうがいいとされています。 「ご認識の通り」も、「わかっていると思いますが」というように上から目線に感じてしまうニュアンスがあります。 「当たり前のこと」なのであれば口にださない、若しくは「ご承知のこととは存じますが」というような言葉に言い換えるといいでしょう。
自分が認識しているという場合は、「○○と認識しています」という使い方をし、「○○だと解釈しています」という意味になります。 例えば、「私は今出ている報道は事実ではないと認識しています」というように使用すると、「私はこの報道は事実ではないと解釈しています」という意味になります。 また、自分の認識が正しいか確認するときは「○○という認識でよろしいでしょうか」というように使用し、「この報道は事実ではないと解釈していますがよろしいですか?」という意味になります。 「認識しています」は、自分自身のことに対して使用する言葉なので、相手に「○○と認識していますか?」と聞くのは不適切です。
「認識の相違」とは絶え方や意見が一致しないときに使用する言葉です。 「相違」とは、「二つの物・事柄に間違いがあること」をいいます。 つまり、「認識の相違」は「認識していた内容に間違いがあるということ」です。 「開催場所について認識の相違があったようで、大変申し訳ありません」というように、ビジネスシーンでの謝罪文で用いられることもあります。
「認識に齟齬」は、「にんしきにそご」と読みます。 「齟齬」は「物事がうまくかみあわないこと・食い違ってうまくいかないこと」をいう意味です。 「解釈に食い違いが生じ噛み合わない」という場合に「認識に齟齬がある」というように使用します。 「認識に誤りがある」ということをへりくだった言い方をすると「認識に齟齬」という事になります。 使いかたは、例文を紹介しますので参考にしてください。
「認識を新たにする」「認識を改める」は、考え方を柔軟にし意見や解釈を変えることです。 ビジネスなどで考え方や意見や解釈を変えるという意味合いで使用されます。 例えばプロジェクトが行き詰まったときや、取引先との相違があった場合に「認識を新たにして一度考えを改めなおそう」という場合に用いられる言葉です。
「共通認識」とは、「同じ見識を持ち同じように理解すること」という意味です。 つまり、「共通の意識をもつ」という意味になります。 良く使う言い回しとしては
などがあります。 使い方は例文を参考にしてください。
▶「認識」・・・「物事を見分けて、本質や意識を理解すること」 ▶「認知」・・・「ある事柄をはっきりと認めること」 ▶「意識」・・・「物事や状態に気づく事・気にかけること」
「認識」「認知」「意識」の違いは何なのか、簡単に説明したいと思います。 例えば、「彼を認識する」ということを例に挙げて説明すると、 「彼を認識する」は、「彼の事を理解すること」 「彼を認知する」は、「彼の存在を認める」 「彼を意識する」は、「彼のことを気にかけている」ということを言い表しています。 同じような意味合いではありますが、「理解すること」「認める」「気にかける」という状態の違いがあるということがわかります。
「認知」は「にんち」と読みます。 「認知」の意味は「ある事柄をはっきりを認めること」です。 例えば、「この会社は去年あたりから社会的に認知されだした」というような使いかたをすると、「この会社は去年あたりから、社会的に認められだした」ということになります。 「認識」と「認知」はとても良く似ている言葉ですが、「認知」は「認めること」であり、「認識」は、「その事柄についての意義や本質を理解する」という意味合いが含まれています。
「意識」の意味は「物事や状態に気づく事・気に掛けること」です。 「意識」とは、「自分のある状態や、周囲の状況などを認識できている状態のこと」をいいます。 例えば「彼女のことを意識する」というような使いかたをすると、「彼女を気にかけている」という意味になります。 また、「仕事に対する意識が高い」というような使いかたをすることで、「関心や態度、強い自覚がある」といった意味合いにもなります。
▶「認識」・・・「物事を見分けて、本質や意義を理解すること」 ▶「理解」・・・「物事の道理がわかること」 ▶「納得」・・・「他人の考えや行為を認めること」 ▶「受容」・・・「受けいれること」
「認識」「理解」「納得」「受容」の違いを簡単に説明します。 例えば、「彼女の考えを認識した」という言葉で説明すると、「納得した」という言葉を使用した場合「彼女の考えの本質や意義を理解した」という意味になります。 「彼女の考えを理解した」とすると、「彼女の考えの正しい道理がわかった」となります。 「納得」という言葉を使用すると、「彼女の考えを認めた」という言い表し方になり、「受容」という言葉を使用すると、「彼女の考えを受け入れた」という意味になります。
「理解」の意味は、「物事も通りがわかり、意味・内容などを正しく判断すること」です。 「物事の道理や筋道が正しくわかること・意味内容をのみこむこと」を「理解する」というように言い表します。 例えば、「彼女の考えを理解する」というような使いかたです。 「理解」は「他人の気持ちや立場を察する」という意味でも使用され、「彼を理解できるのは私だけだ」というような使い方をすることもできます。
「納得」の意味は「他人の考えや行為を認めること」です。 「納得」とは「他人の考や行動などを十分に理解して恵心すること」をいいます。 例えば、「母親を納得させる」というような使い方をすると、「母親に説明等、何か手段をとって認めてもらう」という意味になります。
「わかる」は、漢字で書くと「分かる」「解る」「判る」と三種類に分けられます。 それぞれの意味は、 ▶︎「分かる」・・・モヤモヤしていた物事の筋道や事情が、はっきりとすること ▶︎「解る」・・・物事の理論や価値が、それであると理解できること ▶︎「判る」・・・物事を白黒はっきりつけること。しっかり区別すること となります。 「解る」「判る」は「分かる」に置き換えることができるので、どれを使えばいいか迷った時は「分かる」を使いましょう。
「気付く」の意味は「それまで意識になかったことに、思いが及ぶこと」です。 なんとも思っていなかったことをふと感じたり、思い出すことを「気が付く」といいます。 また、「気が付くと病院のベットの上にいた」というように、「意識を取り戻す・正気を取り戻す」という意味でも使用される言葉です。
「感知」は「かんち」と読みます。 「感知」の意味は「感じとってきづくこと」です。 匂いなど、外観的な変化を感じとることを「感知する」といい、例えば「火災感知器」は火から出ている煙で火事ががおきていることを感知する機械です。
「察知」は「さっち」と読みます。 「察知」の意味は、「推測して知ること」です。 例えば、「起き得る危険を事前に推測する」という意味で、「危険を察知する」というような使い方をします。
「識別」は「しきべつ」と読みます。 「識別」の意味は「物事の相違を見分けること」です。 例えば、「赤と青を識別する」というように、いくつかある中から特定の対象物を選択したり、わけたりすることを「認識」といいます。
「認識」の英語は「recognition」です。 動詞「認識する」は「recognize」になります。 例文です。
I hadn't seen him for ten years, but I recognized him right away.
10年間会っていなかったが、彼のことをただちに認識できた。
It's not until I came to the United States that I recognized Sushi is popular in the West.
アメリカに来てはじめて寿司が西洋でも人気であることを認識した。
似た英単語に「cognition」があります。 「cognition」は、日本語では「認知」になります。「認知」とは「事象について知識を得ること」です。 「認知」は「認識」を内包します。「認知」は事象を認識した上で、より抽象度の高い性質を論理的に知ることを指します。 ちなみに「認知科学」は、形容詞形「cognitive」を使い、「cognitive science」といいます。
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