死語とも言われる「オミット」の意味を解説します。「オミット」はIT業界で主に使われる言葉ですが、音楽業界や食品業界でも使用されます。「オミット」の類語、対義語「コミット」との違い、語源の英語「omit」も紹介していきます。
「オミット」の意味は「除外する」「省く」「却下する」「不要なものとして無視する」などです。 「オミットする」「オミットされる」の形で使います。 例えば「私の企画がオミットされた」と使うと、「自分が提案した企画が上層部に却下されボツになった」という意味になります。 ビジネスシーンで主に使うカタカナ語です。 「オミット」は外資系やIT企業で国内では使われ始めましたが、「除外」「却下」などの日本語が直接的なため、それらの婉曲表現としてビジネスシーンで広く使われるようになりました。 スポーツで使われた場合、「(反則行為などにより)失格になる」という意味になります。
「オミット」の例文
「オミット」の語源は英語「omit」です。 「omit」は動詞ですが、名詞は「omission」です。 スペルがtからsに変化しているので注意してください。 英語「omit」のニュアンスはカタカナ語「オミット」とは少し違う点にも注意が必要です。 英語「omit」の意味は「〜をしそこなう」「うっかりと除外してしまう」です。 カタカナ語「オミットする」のように「故意に除外する」という意味合いでは使いません。 「故意に除外する」の英語表現は本記事の最後に紹介します。 ちなみに英語「omit」の語源は、ラテン語「omitten」で、15世紀初頭から使用されています。 ラテン語でも意味は英語と同じで「fail to do something(〜をしそこなう)」です。
「オミット」と似たカタカナ語に「コミット」があります。 しかし、「コミット」は「オミット」の対義語にあたります。 「コミット」は「コミットする」の形で使います。 「コミット」の元の意味は「かかわりを持つ。関係すること」で、「その件にはコミットしない」などと使っていました。 現在では、ビジネスシーンで使用される際は「特定の目標達成に対して積極的に関わる」「責任の伴った約束をする」というニュアンスで使います。 テレビCMで一度は聞いたことがある「結果にコミット」とは「お客様が結果を出せるように責任を持って積極的に関わらせていただく」という意味合いです。 「コミットメント」とすると名詞になります。 「コミッション」とすると「仲介手数料」という意味の意味の名詞になります。 「コミット」の語源は英語「commit(動詞)」です。 名詞は「commitment(コミットメント)」です。 英語「commit」の語源はラテン語で「参加する。委託する」を意味する「committere」です。 「com」は「ともに」を意味し、「mittere」は「置く。送る」を意味しています。
「コミット」の例文
「オミット」の類語にあたるカタカナ語には、
などがあります。 「カット」は「(人などを)削減する」、「シャットアウト」は「(人などを)締め出す」、「パージ」は「(人を)追放する」という意味です。 「パージ」は特に「公職から人を追放する」という意味で使われます。
例文
「オミット」は色々な業界で違う使われ方がしていますので、1つずつ紹介していきます。
「オミット」という言葉は一般的な日本企業ではあまり頻繁に使われません。 外資系やIT業界で主に「オミット」は使われます。 「オミット」は死語だと言われることもありますが、未だに使用する業界はあるため完全に死語とは言い切れません。 IT業界はカタカナ語を頻繁に使用する傾向にありますが、使いすぎると「意識高い系」と揶揄される可能性がありますので注意です。。。 他の業界の人と話すときには「オミット」は通じないことも考えられますので、「省く」などと言い換えるのが無難でしょう。 リソース、ナレッジ、マター、キャッチアップ、イニシアチブ、デフォルト、、、、 などなど、IT業界には他にもカタカナ語がたくさん存在します。。。
音楽業界でも「オミット」という言葉が使用されます。 「オミットコード」とは、「コードを構成する音を省略する」という意味です。 オミットの中でも頻出するのが「omit3(オミット・サード)」です。 「omit3(オミット・サード)」とはメジャーコードの1度、3度、5度のうち3度のコード音を省略するという意味になります。 「Comit3」ならば、Cメジャーのド(1度)、ミ(3度)、ソ(5度)のうちミだけを省略するという意味になります。
映像の世界では「オミットシーン」という言葉が存在します。 ドラマや映画、アニメーションなどで一度制作したが後から削除されたシーンのことを「オミットシーン」といいます。 「カットシーン」という方が一般的です。 ドラマのDVDなどではファンのために「オミットシーン集」があることがあります。
和平フレイズ株式会社が製造しているマグボトルに「オミット」というブランドがあります。 真空断熱構造で保温・保冷機能のあるマグボトルなので、外気を「オミット」していることから、「オミット」と名付けられたのではないでしょうか。(推測)
「オミット」の名詞形である「オミッション」という言葉は、単体では日本語で使われることはありません。 英語「omission」の意味は、「見落とし」「怠慢」などの意味になります。 「オミッション」は他の言葉と組み合わせて使用されています。 その例をいくつか紹介したいと思います。
人的行為が原因で引き起こされる誤りを「ヒューマンエラー」といいますよね。 「ヒューマンエラー」の中には、「オミッションエラー」と「コミッションエラー」があります。 「オミッションエラー」とは、「本来すべきことをしていなかったことが原因の失敗」を指します。つまり「やり忘れ」です。 語源の箇所でも解説した、英語「omit」は「〜をしそこなう」という意味であることがここでも確認できるかと思います。 一方で「コミッションエラー」とは、「すべきことと違うことをしたのが原因である失敗」になります。つまり「やり損ない」です。
心理学用語には「オミッション試練」という言葉があります。 「タイムアウト法」という言い方の方が一般的です。 「オミッション試練」とは、「攻撃行動や破壊行動といった問題行動を、感覚遮断によって沈静化させる訓練技法」を指します。 具体的には、問題行動を起こす子供に注意をするのではなく、暗い部屋に入れたりすることを指します。
食品業界で使用される言葉に「オミッションテスト」があります。 「オミッションテスト」とは、食品の味付けを決定するために行う検査です。 化合物を混同して調製した「再結成エキス」から特定の化合物を取り除き、その際に味の変化を確認することで、どの化合物がどのような味や風味をもたらしているか特定することをできます。 この一連のプロセスを「オミッションテスト」といいます。 この手法は、生理学の様々な実験に応用されています。
「オミッションラガー」とは米国から輸入され販売されているグルテンフリーのビールです。 グルテンフリーの需要の高まりから、日本でも2016年から発売が開始されました。 これは文字通り、「グルテンがオミットされたビール」という意味で「オミッションラガー」という名付けがされたと思われます。 ちなみに、「ラガー」とは下面発酵で醸造されるビールのスタイルを指します。
日本語の「オミットする」と英語「omit」は微妙にニュアンスが違うことをお伝えしました。 「omit」は「故意に除外する」という意味ではなく、「〜しそこねる」「間違って〜し忘れる」という意味になります。
She was omitted from the list.
手違いで彼女はリストから除外されていた。
He omitted to mention that he will move out next week.
来週引っ越しをすることを彼を言及し忘れた。
「故意に除外する」を意味する英語は、
が最も近いです。 「exclude」「leave out」は、「人が空間に入る、またはアクティビティに参加するのを阻止する」という意味です。「締め出す」という和訳がしっくりきます。 類語には、
などがあります。
Asian people were excluded from the restaurant.
アジア人がレストランから締め出された。
I feel left out at school.
学校で疎外感を抱いている。
「オミット」の意味と使い方はご理解いただけたでしょうか? 最後に「オミット」についてまとめます。 ✔「オミット」は「オミットする」の形で使い、意味は「除外する」 ✔「オミット」の語源は英語「omit」だが、意味は「〜しそこなう」で微妙に違う ✔「オミット」の対義語は「コミット」で「積極的に関わる」の意味 ✔「オミット」の類語「カット」「シャットアウト」「パージ」 ✔「オミットする」の正しい英語表現は「exclude」「leave out」など