「履行」「遂行」「実行」「実施」「弁済」という言葉をご存知でしょうか。それぞれ、なんとなく聞いたことがあると思います。しかし、「約束を履行する」「作戦を実行する」などと同じように使うことが多いので、違いが分からない・理解できないという方もいるかもしれません。そこで今回は「履行」「遂行」「実行」「実施」「弁済」の意味の違いと使い分けについて解説していきます。この5つの言葉は、それぞれ意味や使い方が異なります。使い分けられていないと、恥をかいてしまいますので、しっかりと区別できるようにしましょう!
▶︎「履行」・・・口に出した事、決めた事をきちんと実行してそれをやり遂げること ▶︎「遂行」・・・物事を成し遂げること。最後までやり遂げること ▶︎「実行」・・・強い決意を持って、実際に行うこと。本当に行うこと ▶︎「実施」・・・行うことによって何かメリットがあるものを実際に行うこと。予定通り行うこと ▶︎「弁済」・・・借りたものを相手に返すこと。債務の内容である給付を実現し債権を消滅させること
「履行」は<りこう>と読みます。 「履行」の意味は、
となります。 「履行」は、決めた事・口に出した事・取り決めなどを実行することです。 「履」は「一歩一歩踏みしめる。着実に行う」、「行」は「おこなう。おこない」を表します。 「(約束・契約・手続き・合意・条約など)を履行する」といったように使います。 前もって行うと決めていたことをきっちりとこなす「履行」には、”債務者が債務を果たす・債務者が債務の内容を債務の本旨に従って実現する”という意味も含まれます。法律用語として使われます。 例えば、『絶対、すぐに返すから!』と言う友人に対してお金を貸し、翌日には返してもらうことができたとします。このような場合は「彼女は借金返済を履行した」と表せます。 また、ある人が会議で『自分が考えた企画を必ず実現させる!』と意気込み、本当にそうなった場合には「彼は立派にこの企画を実現させるという決意を履行した」と言うことができます。
例文
「遂行」は<すいこう>と読みます。 「ついこう」とは読まないので注意しましょう。 「遂行」の意味は「物事をなしとげること。最後までやり終えること」です。 「遂」は「最後までやりおえる。成しとげる」、「行」は「おこなう。おこない」を表します。 二つを合わせると「行いをやり終える」という意味になります。 「行いを遂げる」と書くように、『絶対に最後までやり終える!』と意気込みを表すときに使います。 「遂行する」や「遂行しつつある」などと、進行中の事態についても用いることができます。 例えば、「任務を遂行する」などとよく言いますが、これは「任された・果たすべき仕事をやり通して、最後まで完成させる」という意味になります。
例文
「実行」は<じっこう>と読みます。 「実行」の意味は、
となります。 「実」は「そらごとでない。本当。本当の事柄」、「行」は「おこなう。おこない」を表します。 二つを合わせると「本当に行う。実際に行う」という意味になります。 考えたり、計画したりしたことなどを現実のものにすることを表します。 「行うか行わないか迷っていたけれど、思い切ってやってみる」「迷うことなくやる」「他の人ならやめたほうが良いと思うことでもやる」といった強い気持ちが込められます。 強い決意を持って何かを行うという場合に使うので、「計画を実行する」「大会を実行する」などとは言いますが、「家の掃除を実行する」「洗濯を実行する」などとは言いません。
例文
「実施」は<じっし>と読みます。 「実施」の意味は「実際に施行すること。実行」です。 「実」は「そらごとでない。本当。本当の事柄」、「施」は「計画を実地に移す。実際に行う」を表します。二つを合わせると「実際に計画を移す。本当に行うこと」という意味になります。 法律・計画などを実際に行うこと・予定通りに行うことを表します。 「実施」にはそれを行うことで、”何か良いこと・メリットがある”と考えられる場合に使います。 例えば、「アンケートを実施する」だったら「人々が何を考えている・思っているかがわかる」、「試験を実施する」であったら「生徒たちの力がわかる」という意味合いとなります。
例文
「弁済」は<べんさい>と読みます。 「弁済」の意味は
となります。 「弁」は「けじめをつけて処理する」、「済」は「仕上げる。済ます」を表します。 二つを合わせると「けじめをつけて仕上げる。済ます」という意味になります。 「弁済」は法律用語として使われています。 もしお金を借りていた場合であれば、「借りたお金を全額返済し終えること」を「弁済」と言います。 債権消滅理由の1つとなります。 例えば、お店で商品を購入し、後日支払いをする場合、店側は購入された商品をお客に渡すという”義務(債務)を、お客側には代金を支払う”義務(債務)”を果たす必要があります。これにより債権が消滅します。
このように、債務者が約束の債務を果たし、債権者の債権が目的を達成し消滅することを「弁済」と言います。この場合は、双方が債務者であって、債権者にもなります。
例文
「履行」「遂行」「実行」「実施」「弁済」の意味や使い方について理解できたでしょうか? 似ているようでいて、それぞれ違いがあります。 意味や使い方をしっかり覚えて、上手く使い分けられるようにしましょう!
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