「先見の明」という言葉をご存知でしょうか。「いや〜君は先見の明があるね!!」「さすが!先見の明をお持ちで」などと聞いたことがあるかもしれません。よく相手を褒めるときに使う言葉というイメージが強いですが、実際にはどのような意味があるのでしょうか。正しい意味を知って、上手く使いこなしたいものですよね。そこで今回は「先見の明」の意味や使い方、読み方、語源について解説していきます。適切な意味を知らずに、恥をかいてしまうのも嫌なので、「先見の明」を今一度しっかりと確認しておきましょう!
「先見の明」は<せんけんのめい>と読みます。 「せんけんのみょう」「せんけんのめ」とは読まないので注意しましょう。
「先見の明」の意味は「事が起こる前にそれを見抜く見識」です。 「先見」は「事があらわれる前に見抜くこと。先を見通すこと」を表します。 「明」は「理の明らかで疑いのないこと。また、事理を弁別する知力」を表します。 先々を予測して、的確に判断する力・将来どうなるかを前もって見抜く見識を表します。 また、「先見の明」には”将来を見通す力”だけでなく、実際に行動を起こすこと、すなわち”対応する能力・行動する能力”といった意味合いも含まれます。
「先見の明」という言葉は、中国の『後漢書』の「楊彪伝」の中に出てきます。 「楊彪伝」の主人公:楊彪(ようひょう)は中国後漢末期〜三国時代の政治家・学者です。 ある日、楊彪は後漢の命運が尽きたと判断して宮中に行かなくなりました。 その頃、楊彪の子供が曹操(そうそう)に仕えていましたが、曹操の不興を買ってしまい処刑されます。 楊彪は曹操と面会しましたが、楊彪がものすごく痩せていたので、その理由を曹操が尋ねると、 「私に金日磾(きんじつてい)のような先見の明が無いことを恥じたからだ。老牛が子牛を舐めて愛おしむようなものだ」と楊彪は答えたそうです。 金日磾は政治家で子供がいましたが、その子供は成長するにつれて、段々女遊びが激しくなったため、このままでは駄目だと判断した金日磾は、自分で自分の子供を殺してしまいます。 これを、楊彪は曹操に、「金日磾は自分の子が後々迷惑をかけることが分かっていたから手をかけたが、自分はそれができなかった」と伝えたのです。 このように、楊彪は、将来のことを見抜ける判断力のことを「先見の明」と表現しました。 これが、「先見の明」の由来とされています。
「先見の明」の誤りとしてよく使われているのが、「先見の目」という表現です。 ごく稀に、「先見の目がある人物」や「先見の目を持っている」などと使っている人がいます。 「明」と「目」で発音が似ているため、「先見の明」とするところをよく「先見の目」としてしまいがちですよね。 「先を見る目がある・見通しがきく」という意味で「先見の目がある」と書いても間違いではないような感じがしますが、「先見の目」は誤用表現なので使用しないように注意しましょう。 また、「先見の妙(せんけんのみょう)」と書かれることがありますが、これも間違いです。 「妙」は「言うに言われぬほど優れていること。極めて良いこと。不思議なこと」を意味しているので、「先見の妙」だと意味不明となってしまいます。注意しましょう。
「先見の明」は、”物事が今後移り変わる様子を予測することができる力”を表したい場合に使います。 例えば、市場の流れを読み、それを事業展開に反映させる経営者といったように将来を見通す力がある人のことを「先見の明がある人物」「彼は先見の明がある」などと言うことができます。 「先見の明」は後から振り返って考えると、という場合に使うので、まだ結果が出ていない事柄に対しては使うことができません。 「先見の明」の使い方としては、
などとなります。 また、「先見性」として、「彼には素晴らしい先見性を持っています」などと言うこともできます。
例文
見通す (意味:物事の成り行きや、将来のことを予測する) 「将来を見通して準備する」 予見力 (意味:物事の起こる前に、その事を見通す力) 「物事を成功させるためには予見力が必要である」 洞察力 (意味:物事を観察して、その本質や、奥底にあるものを見抜く力) 「洞察力を磨く」 先読み (意味:これから起こるであろうことを予測すること) 「先読みしながら仕事を進めていく」 後先踏まえる (意味:あとさきをあれこれ思案する。配慮する) 「後先踏まえて行動する」 予知能力 (意味:物事が起こる前にそれを知ることができる力) 「彼女は不思議な予知能力を持っている」 識見 (意味:物事を正しく見分ける力。また、優れた意見) 「彼は識見の高い人である」 深慮遠謀<しんりょえんぼう> (意味:遠い将来のことまで考えて周到にはかりごとを立てること) 「彼女は深慮遠謀に長けている」 慧眼<けいがん> (意味:物事の本質を鋭く見抜く力) 「あの男性を選んだ彼女の慧眼に感服した」
「先見の明」は英語で「foresight」です。 「foresight」はまさに「先見の明」にぴったりな英語です。 「将来何が起こるか正しく判断する能力」という意味になります。 「have the foresight to...」の形で「...する先見の明を持つ」という意味になります。
He, as the CEO, had the foresight to raise the money just before the economic bubble collapsed.
彼は経営者として先見の明があり、経済バブルが弾ける直前に資金調達を実行した。
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「先見の明」について理解できたでしょうか? ✔︎「先見の明」は「せんけんのめい」と読む ✔︎「先見の明」は「事が起こる前にそれを見抜く見識」を意味 ✔︎「先見の明がある」「先見の明を持っている」などと使う ✔︎「先見の明」の類語には、「予見力」「洞察力」「識見」などがある