「界隈」という言葉をご存知でしょうか。「歌舞伎町界隈で働いている」「ご近所界隈で話題となっている」などと聞いたことがあると思います。最近では、ネット上でも「Twitter界隈で盛り上がっている」などと使われています。使い方を見るとなんとなく意味のイメージがつきますよね。しかし、「界隈」の意味について完璧に説明できるかと言ったらなかなかそう上手くはできません。そこで今回は「界隈」の意味や使い方、読み方、類語との違い、「界隈」を用いた慣用句について解説していきます。きちんと覚えて、「界隈」を正しく使えるようにしましょう!
「界隈」は<かいわい>と読みます。 「かいくま」「かいすみ」とは読まないので注意しましょう。 「界」は音読みだと「カイ」、訓読みだと「さかい」と読みます。 「隈」は音読みだと「ワイ」、訓読みだと「すみ・くま」と読みます。
「界隈」の意味は「その辺り一帯。付近。近辺。あたりきんじょ」です。 具体的な地名と一緒に使い、そのあたり一帯を表すのが「界隈」です。 主に、「◯◯の界隈」と使います。これは「◯◯のその辺り一帯」という意味になります。「界隈」は”ここからここまで”と線引きされているのではなく、”だいたいこの辺り、付近”ということです。 「界隈」は主に市町村レベルの範囲を表しているので、「浅草界隈」「銀座界隈」「吉祥寺界隈」などと言います。「東京界隈」「関東界隈」などとはあまり言いません。 例えば、「六本木界隈は夜になると賑やかだ」といった場合は「六本木は一丁目や二丁目などと多々あるが、どこどこと指定するのではなく、六本木一帯として賑やかだ」という意味になります。 範囲について明確な決まりは特にないため「東京界隈」でも決して間違いではありませんが、少し範囲が広すぎる感じになってしまいます。
「界隈」は業界を表す言葉と共に使い、業界の人およびその業界周辺の関係者を表すこともできます。 「◯◯業界」というよりも「◯◯界隈」といった方がより広い関連業界を指します。 示す範囲の広さには明確な決まりはなく、「〜界隈」だけでなく「〜業界界隈」「〜業界界隈」などといったように使われます。 「IT界隈」や「モバイル界隈」などとします。例えば、「モバイル業界」だと”大手通信三社をはじめとする携帯電話会社”を、「モバイル業界隈」だと”携帯電話会社だけではなく、モバイル関連部品やモバイルサービスを扱う会社”も含まれます。 ネット用語での「界隈」は、「ある共通の特性を持つ人達・同じ趣味のコミュニティ」を意味します。 同じアイドルを応援している不特定多数の人々をまとめて表すときに使われることが多いです。 主に、「アイドル界隈」「◯◯△△(アイドルの個人名)界隈」といったように使われます。これは「アイドル・◯◯△△に興味がある人たち」という意味です。 オタクと呼ばれている人たちが、自分の専門外の分野に精通している人々を「◯◯界隈の方々」と表したりします。更に、芸能人や本来その世界でない人が、アニメのコスプレをするなどとサブカルチャーの仕事をすると「◯◯がオタク界隈に進出する」といったように表します。 Twitter上では、似たような属性のツイートをしている人達や同じことに興味があるTwitterユーザーの集まりを「◯◯界隈」とします。「Twitter界隈」といった場合は「Twitterをしている人たち」という意味です。
「周辺」の意味は「あるものを取り巻く、まわりの部分。中心から離れたところ」です。 ”あるもののまわり・あるものをとりまく部分”を意味しているので、「自宅の周辺」「都市の周辺」といったように使います。 また、”ある物事に隣接して、それと関連をもっている物事”という意味も含まれているので、「周辺の事情を十分に考慮する」といったように使うこともできます。 「界隈」は「銀座界隈」や「浅草界隈」といったように「地名+界隈」という形で使います。 一方で、「周辺」は「銀座周辺」以外にも「自宅周辺」や「学校周辺」といったように、「地名+周辺」「場所+周辺」という形で用います。 また、「A界隈」は”A”を中心とした周辺一帯ということなので、”A”が必ず含まれます。 対して、「A周辺」は”A”そのものではなく、”A”の外側一帯に重点が置かれます。
例文
「近辺」の意味は「近いあたり。近く。近所」です。 「近辺」は「ある場所の周辺の地域。付近」を表しているので、基準が建築物や特定の場所である場合に使います。 主に、「近辺」は歩いていける程度の距離を表します。ですので、「学校の近辺を歩いてみる」「彼らはその近辺で消えた猫を捜した」などと使います。 「界隈」は「上野界隈」や「浅草界隈」といったように、「地名+界隈」という形で使います。 一方で、「近辺」は「上野近辺」以外にも「自宅近辺」や「ビルの近辺」といったように、「地名+近辺」「場所+近辺」という形で用います。
例文
「界隈性」とは、建築や不動産業界で用いられる専門用語です。 「新しい個性を持つ店・施設が、古くから存在する町並みに溶け込んで、新しい個性と古くからの個性が互いに良い作用を発揮し、地域経済的メリットを与えている状態」を表します。 新しい個性を持つお店ができると、古くから存在するお店の個性が人気が衰退してしまうことがあります。 しかし、界隈性がある地域では新しいものと古いものがお互いの個性を潰し合うことなく、地域経済にメリットを与える作用を発揮します。 例としては、下北沢・中目黒・銀座などが挙げられます。
「傀儡政権」は<かいらいせいけん>と読みます。 「傀儡政権」とは「ある国の意思のままに操縦される、形式的にだけ独立した国の政権」のことです。 「傀儡」の意味は「あやつり人形。人の手先になってその意のままに動く者」です。 表面上は独立している政権だが、影で他国によって操られている政権を表します。 実態として”傀儡政権”ではない政権でも、その政権に批判的な者が、非難や侮蔑の感情を込めて、マイナスなレッテルをはるために「傀儡政権」と表現することもあります。 「かいわい」と「かいらい」で非常に似ていますが、正しくは「傀儡政権」となるので間違えないようにしましょう。
「界隈」の英語表現を見てみましょう。 「周辺」という意味ならば、
などと言えばよいでしょう。 「コミュニティー、業界」というニュアンスならば、
などといいます。
Around Shibuya, there are so many IT companies.
渋谷界隈には、IT企業が集結している。
Silicon Valley is such a closed community that it's very hard for foreign entrepreneurs to get financed.
シリコンバレーはとても閉ざされた界隈なので、外国人起業家が出資受けるのはとても大変だ。
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「界隈」について理解できたでしょうか? ✔︎「界隈」は<かいわい>と読む ✔︎「界隈」は「その辺り一帯。付近。近辺。あたりきんじょ」という意味 ✔︎「六本木界隈」「上野界隈」といったように、「地名+界隈」という形で使う ✔︎ ネット上では「ある共通の特性を持つ人達」という意味で、「アイドル界隈」などと使うことがある