「耽美」という言葉をご存知でしょうか。「耽美的な作品」「耽美な世界観」などと聞いたことがあると思います。「耽美」と聞くと、なんとなく美しい・綺麗、といったような意味をイメージしますよね。「耽美」は日常的に多く使われる言葉ではありませんが、調べると芸術の歴史を背景に生み出されたものであるということが分かります。そこで今回は「耽美」の意味や使い方、類語、反対語について解説していきます。「耽美」を正しく理解して、上手く使えるようにしましょう!
「耽美」は<たんび>と読みます。 「ちんび」「ちんみ」「たんみ」などとは読まないので注意しましょう。 「耽」は音読みだと「タン」、訓読みだと「ふける」と読みます。 「耽」は「物事に深入りする。ふける」を意味します。 「美」は音読みだと「ビ・ミ」、訓読みだと「うつくしい」と読みます。 「美」は「見た目がすばらしい。形が良い。うつくしさ」を意味します。 「耽美」の意味は「美にふけり楽しむこと」です。 美を最高の価値として、ひたすらその世界に心を傾け陶酔することを表します。
「耽美」は「あぁ!なんて美しいのだろう」「とても美しい!」といったように、”美”だけを追求する、ひたすら”美”だけに魅了されるといった場合に使います。 ”美”以外は大したことない、”美”以外にはそんなに価値のない、ということを「耽美」と表せます。 現代の耽美は単に美しいだけではなくて、”少し毒気を含んだ美”も含まれます。例としては、病弱・破滅・官能・死・影・悪・闇・悲哀・狂気などがあります。 また、「耽美的」「耽美派」という表現がよく使われます。 「耽美的」は「道徳や倫理から外れたとしても美を極める性質をもったもの」を意味します。 「耽美派」は「道徳や倫理から外れたとしても美を極めることを追求する一派」を意味します。 例えば、「中世の絵画は退廃的で耽美的な要素を含んだ作品が描かれていた」といった場合は「中世の絵画は退廃的で美を極めた作品が描かれていた」という意味になります。
例文
「耽美主義」とは、美を最上の価値を認め、それを唯一の目的とする芸術や生活上の立場のことです。 19世紀後半、フランス・イギリスを中心に起こった文芸思潮で、ボードレール・ゴーチエ・ワイルドらがその代表生活を芸術化して官能の享楽を求めました。 作品の価値はそれに込められている思想やメッセージではなくて、形態と色彩の美に価値があるという考えを示しています。 別名、「唯美主義」「審美主義」とも言います。
「耽美小説」とは、ひたすら美しく幻想的な小説のことです。 耽美小説家としては、イギリスのオスカー・ワイルドやフランスのシャルル・ボードレールなどが有名です。 日本では明治末期から大正初期にかけて、永井荷風や谷崎潤一郎などが退廃的で耽美な作品を書きました。 ただ、最近ではBL作品を”耽美小説”ということもあるそうです.....。 特に、ネット上だとそちらの意味でしか知らない人も多いです。ですので、「耽美小説」というと「BL作品」だと誤解されてしまう可能性があるので、使用する際は注意しましょう。
「耽美絵」とは、ひたすら美しく幻想的な絵画のことです。 耽美絵を描く画家としては、イギリスのオーブリー・ビアズリー、フランスのギュスターヴ・モローなどがいます。日本では、月岡芳年・伊藤晴雨・金子国義などが有名です。
審美<しんび> (意味:自然や美術などのもつ本当の美しさを的確に見極めること) 「彼は審美眼を持っている」 唯美<ゆいび> (意味:美に最高の価値を認めること) 「唯美主義の人間にとって最も価値あるものは美である」 甘美<かんび> (意味:心地よくうっとりとした気持ちにさせること) 「甘美な夢を見る」 甘い (意味:心地よくうっとりさせるさま) 「あの人は甘いマスクをしている」 情緒的 (意味:そのものに接することで、ほのぼのとした良さを感じられるさま) 「とても情緒的で、心を動かされた」 ロマンチック (意味:現実を離れ、情緒的で甘美なさま) 「この映画はとてもロマンチックであった」 センチメンタル (意味:感じやすく涙もろいさま。感傷的) 「あのことを思い出すとセンチメンタルな気分になる」 幻想的 (意味:現実から離れて、まぼろしの世界を夢見ているようなさま) 「幻想的な風景が広がっている」
自然 (意味:人間の手の加わらない、そのもの本来のありのままの状態) 「野菜や果物には自然な旨味がある」 写実 (意味:物事をありのままに描写すること) 「彼の作品はとても写実的である」 現実的 (意味: 現実のものであるさま。現実に即しているさま) 「現実的に物を考える」 ナチュラル (意味:自然であること。天然であること) 「派手になりすぎないように、ナチュラルメイクをする」 リアリズム (意味:理想を追うことなく、現実の事態に即して事を処理しようとする立場) 「リアリズムを心がける」 プラクティカル (意味:実際に役立つさま。実用的。実践的) 実際的 (意味:現実に即した面を重んじて、理屈や感情などを排するさま) 「君の案には実際的な価値がない」 実用本位 (意味:人生の現実を受け入れ、実際的なことやありのままの真実を好む特性)
「耽美的な」の英語表現として一番近いのは「aesthetic」です。「エスセンティック」と読みます。 「have aesthetic value/appeal」の形で「耽美的な感覚のある」となります。 「aesthetically」で副詞として使うことができます。 ちなみに「耽美主義」は「aestheticism」と英語でいいます。 例文で「aesthetic」の使い方を見てみましょう。
Her works have little aesthetic value.
彼女の作品には耽美的な感覚がほとんどない。
The buildings I like the best are the one that are functional and aesthetically appealing.
私が最も好きな建物は、機能的であり耽美的な訴えももあるものだ。
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「耽美」について理解できたでしょうか? ✔︎「耽美」は<たんび>と読む ✔︎「耽美」は「美を最も価値のあるものと考え、美を求めて熱中すること」を意味 ✔︎「耽美」の類語には、「審美」「唯美」「情緒的」などがある ✔︎「耽美」の対義語には、「自然」「写実」「現実的」などがある